🧭 はじまりは、アンケートの“ひとこと”から
先月、ある企業で講演をさせていただきました。
テーマは「どんな状況でも捉え方で仕事が楽しくなる」という内容。60分間、たくさんの方が頷きながら聴いてくれて、私自身も手応えを感じる時間でした。
講演後、アンケートに目を通していたとき、1つのコメントが目に留まりました。
「退職再雇用者の方の、モチベーションアップの方法を教えてほしい。」
この一言が、私の中で強く残りました。
──たしかに現場では、再雇用となった方々がどこか疲れたような表情で働いている姿を見かけます。
「年齢のせい」ではなく、何か本質的な問題があるのではないか?──そう思い、調べ、考え、言語化を試みました。
📊 データからも見えてきた「違和感」の正体
厚生労働省の広報誌や民間調査を読み解いていくと、次のような共通項が浮かび上がってきました。
再雇用後、仕事内容は大きく変わらないのに、給与が半分以下になるケースが多い
👉 パーソル総合研究所の調査では、定年後再雇用者の年収は定年前の**平均55.7%**に減少しているとされています。
出典:パーソル総研『定年後再雇用の実態調査』
役職や責任から外れ、補助的な業務になることで“活かされていない”と感じる
👉 厚労省の広報誌「厚生労働」では、藤波美帆准教授が「仕事内容が変わらないのに、“高齢者だから”という理由で給与を下げられることが、モチベーション低下の原因になっている」と指摘しています。
出典:厚生労働 2020年2月号
そもそも“やる気の源”が変わってきているのに、そこへの支援が追いついていない
👉 Works Human Intelligenceの2024年調査では、再雇用制度に関する課題として「対象者のモチベーション」「報酬設計」などを企業の半数以上が挙げています。
出典:PR TIMES:再雇用制度に関する意識調査(2024年)
つまり、制度として“再雇用”は整っている一方で、人の“心の設計”は置き去りにされている。
このことが、現場の“モヤモヤ”を生んでいるのではないでしょうか。
🔍 なぜ、やる気が戻らないのか?──3つの“本質的な要因”
再雇用者の“やる気低下”は、表面的には給与や年齢の問題に見えますが、実際にはより深い3つの心理的要因が絡み合っています。
① フローの崩壊 ── スキルと業務が噛み合わない
かつては重要な業務を担っていた方が、再雇用後には単調で補助的な作業に回されることが多くなります。
スキルに対して課題が“簡単すぎる”と、やりがいや達成感は生まれず、「自分の力が活かされていない」という感覚が強まります。
② 外発的動機の崩落 ── 報酬が下がることで、意味が薄れる
現在のシニア層は、戦後から高度経済成長期を通じて「モノを手に入れること」が目標だった世代。
「お金は我慢の対価」という働き方に慣れてきたからこそ、報酬が半分以下になると、“何のために働くのか”が分からなくなるのです。
③ モラトリアム未経験 ── 好きが分からないまま社会に出た
「親に言われて良い会社に入った」「成績がよかったから公務員に」──そうして社会に出た人ほど、
“自分で選び、意味づける”経験=キャリアの危機を乗り越えるプロセスを通ってこなかった可能性があります。
結果として、「本当は自分が何をしたいのか」「何が好きだったのか」が分からず、内発的動機を築きにくくなっているのです。
💡 では、どうすれば“やる気”を取り戻せるのか?
この3つの要因に対して、私は次のような実践的なアプローチを提案しています。
✅ ① スキルを活かせる“場”をつくる
若手のメンターやアドバイザーとしての役割付与
改善提案や仕組み化など、頭を使う仕事の再割り振り
「相談させてもらえますか?」と信頼を伝える声かけ
✅ ② 意味と承認を“報酬”として設計する
フィードバック文化の導入(ありがとうカード、簡単な日報への返信など)
名前や肩書きの工夫(○○マイスター、○○コーディネーター)
報酬が下がっても“役割価値が上がっている”と感じられる設計
✅ ③ 自分の“好き”と“価値”に出会うワークを
幼少期や10代の「夢中だったこと」を語るワーク
成功体験ではなく、「時間を忘れていた瞬間」をテーマにする
「今、大切にしたいもの」を言語化して、日常と結びつける
🎤 実は、このような内容を研修でお届けしています
私が設計しているマインドセットの研修プログラムでは、こうした考えをもとに、
モチベーションが下がるメカニズムを“共感的に解説”
自分のスキルと意味を再発見するワーク
明日からの一歩を描く行動宣言
までを一貫してお伝えしています。
📝 おわりに──「給与は下がっても、価値は下げない」
再雇用という制度は、人生の“終わり”ではなく、“問い直し”のチャンスかもしれません。
今こそ、自分の「働く意味」を再定義し、
もう一度、自分を輝かせるチャンスを掴んでほしい──
そんな願いを込めて、私はこのテーマに取り組んでいます。
📩 ご関心ある方は、研修や講演のご相談もお気軽にどうぞ。
✅ このnoteを読んでくださったあなたへ
もしあなたの周りに、
再雇用で“モヤモヤ”している方がいれば、
ぜひこの内容をそっと届けてみてください。