リスの断指

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コラム
先日の患者さんはシマリス。
なんとケージに指をはさんでパニックを起こし、ぐるぐると体をよじらせたために、診察時には指の骨は骨折し、皮膚は破けて1㎜くらいでつながってぶら下がっている状態でした。
すでに受傷から時間がたっている様子もあり、出血もなく骨をくっつけることは難しいと判断して断指を行いました。
ちょこまかとすばしこいシマリスが診察室で逃げたらひとたまりもありませんので麻酔の際はとっておきの策を講じます。
プラケースにリスをいれ、ケースごとビニール袋に入れて吸入麻酔を充満させます。
少し時間がかかるのですが、無理に捕まえたり小さい体に針を刺すこともしないので最も簡単で安全な方法です。
しっかり眠ったところでケースから出して手術の始まりです。
使う器具は眼科オペ用のピンセットやハサミ、相手が小さいので術野もとても小さく手術は煩雑になります。
今回は指の関節部分で骨折した骨を取り外し、皮膚は縫合できるように多めに残してこれまた眼科用の縫合糸を使って縫合していきます。
リスはげっ歯類でかじることが仕事のようなものなので、糸に気が付いたらかじり取ってしまう可能性が高いです。
とは言え、この小さく薄い皮膚を皮内縫合するのもかなり難関。
今回は一つかじり取られても他の糸が残るようにするため、単純結紮縫合と言うものをいくつか行い、数個の結び目を作って終了しました。
断指したかけらはなんと数mm!!カメラをズームしないとゴマ粒にしかみえません。
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このリスは手術の後すぐ目を覚まし無事に退院しました。
もちろんこの小さな傷に包帯を巻くこともできないのでそのままですが、出血もなく、また本人も気にすることがなかったようで無事に治ってくれていたら嬉しいです。
リスの前足は指が4本なので、術後3本になってしまいましたが、生活に支障が出ることはなさそうでよかった。
飼う側が安全第一な住み家を与えてあげることが何より大切ですが、このリスには、もしまた指を挟むことがあっても、今度は慌てず焦らず対処するように言っておきましたとさ。

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