ヒトの記憶には種類がある!手続き記憶と陳述記憶とは?
「昨日の晩ごはんは何だった?」と聞かれて思い出せるのに、「自転車の乗り方を説明して」と言われると、うまく言葉にできない……。そんな経験はないだろうか?
実は、ヒトの記憶には大きく分けて 「手続き記憶」 と 「陳述記憶」 の二種類がある。この二つは、それぞれ異なる仕組みで記憶され、使われる場面も違う。
今回は、この二つの記憶の違いを、中学生のみんなにもわかりやすく説明していこう!
1. 手続き記憶とは?
手続き記憶(Procedural Memory)とは、体で覚える記憶 のこと。言葉ではなく、動作や感覚として身についている記憶だ。
例えば、
自転車の乗り方
ピアノの弾き方
箸の持ち方
スポーツの技術(サッカーのドリブルやバスケのシュートなど)
これらは、最初はぎこちなくても、何度も練習するうちに無意識にできるようになる。このような記憶が 手続き記憶 だ。
また、手続き記憶は脳の 大脳基底核(だいのうきていかく) や 小脳(しょうのう) という部分が関係している。特に小脳は、運動の調整をする役割があるため、運動スキルの記憶に重要なのだ。
2. 陳述記憶とは?
陳述記憶(Declarative Memory)は、言葉で説明できる記憶 のことだ。
例えば、
昨日の晩ごはんのメニュー
歴史の年号(「1603年、徳川家康が江戸幕府を開く」)
英単語の意味(「apple はリンゴ」)
これらは、頭の中に思い浮かべたり、言葉で説明できたりする記憶だ。学校の勉強で覚える知識のほとんどは、この陳述記憶にあたる。
さらに、陳述記憶は エピソード記憶 と 意味記憶 に分けられる。
エピソード記憶:自分が体験した出来事(例:「去年の夏休みに沖縄に行った」)
意味記憶:知識として知っていること(例:「地球は太陽の周りを回っている」)
陳述記憶には 海馬(かいば) という脳の部分が関係していて、新しい出来事を覚えたり、過去の記憶を思い出したりするのに重要な役割を果たしている。
3. 手続き記憶と陳述記憶の違いを比べてみよう!
手続き記憶
陳述記憶
記憶の種類
体で覚える
言葉で説明できる
例
自転車の乗り方、スポーツ、楽器の演奏
歴史の年号、英単語、昨日の出来事
関係する脳の部位
大脳基底核・小脳
海馬・大脳皮質
忘れやすさ
忘れにくい
忘れやすい
学習方法
繰り返し練習
理解して覚える
4. どちらの記憶も大切!
「勉強は陳述記憶だから、手続き記憶は関係ない?」と思うかもしれない。でも、実は どちらの記憶も重要 なんだ。
たとえば、数学の計算は 陳述記憶(公式や解き方を覚える) と 手続き記憶(計算の手順を体で覚える) の両方が必要になる。スポーツでも、ルールを覚えるのは 陳述記憶 だし、実際にプレーするのは 手続き記憶 だ。
つまり、勉強やスポーツ、趣味など、いろいろなことを上達させるには、 手続き記憶と陳述記憶の両方を上手に使うことが大事 なのだ。
5. 記憶を定着させるコツ
手続き記憶と陳述記憶をしっかり定着させるには、次の方法が効果的だ。
✅ 手続き記憶を定着させるコツ
繰り返し練習する(自転車の練習、楽器の演奏など)
実際に体を動かして覚える(書きながら覚える、発声しながら覚える)
途中で休憩を入れながら練習する(集中しすぎると逆効果)
✅ 陳述記憶を定着させるコツ
覚えたことを人に説明してみる
知識を関連付けて覚える(年号をストーリーにする、語呂合わせを使う)
何度も復習する(「エビングハウスの忘却曲線」によると、時間を空けて復習すると記憶が定着しやすい)
まとめ
ヒトの記憶には 手続き記憶(体で覚える記憶)と 陳述記憶(言葉で説明できる記憶)の二種類がある。
手続き記憶:自転車の乗り方やスポーツの技術など、繰り返し練習して身につく記憶。
陳述記憶:歴史の年号や昨日の出来事など、言葉で説明できる記憶。
どちらも 勉強やスポーツ、日常生活において大切な役割を果たしている。
うまく活用して、記憶力をアップさせよう!