太鼓の神様

記事
コラム
僕は、過去に登山を趣味にしていた時期がありました。

山登りは頂上を目指すというシンプルな目的があるからこそ、日常の悩みもすっかり忘れさせてくれるんです。

たとえば2000メートル級の山でも、登るには数々の危険があり、絶壁をよじ登ったり、突然の豪雨や落雷に遭遇することもある。

山では「生」を全身で感じる瞬間が何度も訪れます。

そして、山頂で食べるおにぎりの美味しさは格別🤤

初心者の頃は登山に慣れた人に同行してもらっていましたが、登山に慣れてからは一人で山に入るようになりました。

一人の登山は不安ですが、山道には蛍光テープが貼ってあったり、知らない誰かの親切に気づかされることもあります❤️

それでも地図とコンパスは絶対に必要で、入山前にはしっかり計画を立てなければなりません。山はそれほど危険なのです。

慎重派の僕ですが、一度だけ迷ったことがありました。

その日、山頂を目指して尾根を歩いていると突然の行き止まり。

その先は崖になっていて進めない。
地図を見直しても道を間違えたようには思えません。

でも、こういうときこそ冷静さが大事。

おやつのドライフルーツをつまんで一休みし、「よし、下山しよう」と決めました。無理をせず、来た道を戻ることにしたんです。

しばらく戻ると、清らかな沢が流れる谷に出ました。

狭い沢なので簡単に飛び越えられそうです。

でも、何かがおかしい‥‥

来たときには、こんな沢はなかったはず。間違えた道を歩いているのかと思い、内心大パニックです😱

時計を見ると、まだ午前9時頃で、「焦るな」と自分に言い聞かせます。
そして、もう一度周りをよく観察。すると、下流のほうに白い物体が見えたのです。

この時期は夏でしたが、山の高いところにはまだ雪が残っている場所もあります。

特に、沢沿いの陰の多い場所なら珍しくもない。でも、よく見るとその白い物体が動いている。そして、だんだんこちらに近づいてくるのです。

僕は「熊か?」と思い、その場を離れようとしました。

ですが、白い熊なんているはずがありません。でも、そういう場面では冷静に考えられないものです。

振り返って逃げ出した瞬間、後ろから砂利を蹴るが激しく響いてきました。

その足音に混じって、どこからか太鼓の音が聞こえてくる。どーん、どーん、と規則正しく近づいてくる太鼓の音。

意を決して振り返ると、そこには3メートルくらいの白い物体が。

ゴリラのような霊長類に見えましたが、白い毛に覆われ、二足歩行で、しかし腕はありません。顔には大きなまん丸の目がついていました。

僕は絶叫し、大パニック!「もう終わった…」と覚悟を決めたその瞬間、その白い物体は僕を追い抜き、さらに前方へ駆け抜けていきました。

訳が分からなくなりながらも、その白い物体を追いかける形になり、目の前にはそれが走り去る姿が。

白い何かの背中には、50センチほどの小さなおっちゃんが括り付けられています。

そのおっちゃんが、にっこり笑顔で太鼓を叩いているのが見えたのです。

僕は混乱し、力尽きその場で倒れ込みました。

ふと気がつくと見覚えのある登山道が目の前にありました。

遠くには登山客の気配も感じられる。

そうです。僕は正規の登山ルートに戻っていたのです。

それからはよく覚えていませんが、何事もなく下山を果たしました。

今思えば、最初に尾根で行き止まりに遭遇した時点で、すでにどこか不思議な世界に迷い込んでいたのかもしれません。

無事に山の入り口に戻った僕は、そこにある神社にお参りしました。

山の入り口には、登山者の安全を祈る神社があることが多く、入山料を払ったり、遭難対策で名簿を書いたりします。

境内を見回すと、そこに太鼓が祀られている一角があったんですよ😳

もしかすると、あの白い物体太鼓を叩いていた小さなおっちゃんは、僕を助けてくれたのかもしれません。

そして、ごめんなさい🙏

この話はフィクションですが、山にはそんなことが本当に起こりそうな不思議な魅力があります。

日本とは思えない壮大な景色が広がり、無数の命が息づく山は、自分がとても小さな存在であることを思い出させてくれます。

もし日常に疲れを感じていたら、ぜひ登山をお勧めします☘️


下山後の温泉と食事は格別ですよ✨

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す