【蒼真の記録:初音 動き出す物語】夢を思いだす事

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 ― 動けなかった心に、音が届いた日 ―
彼は、“何もない人間です”と自己紹介した。
30代。
真面目で、空気が読めて、
職場では「いい人」と呼ばれていたらしい。
でも、自分の意志で何かを選んだ記憶がないと話していた。
 「何をしても、自分に価値があると思えなくて。
 夢も才能も、ずっと“向いてない”って言い聞かせて生きてきたんです」
彼の音は、静かだった。
静かすぎて、ほとんど“揺れ”がなかった。
でもそれは、平穏じゃなくて、凍っている音だった。
ココは、彼に初音(はつね)を渡した。
 「これは、動けない心に“未来”を届ける音。
 いまのあなたにこそ、はじめて鳴らしてほしい音です」
初音は、
特別に派手でも、奇跡的でもない。
でも──
心が凍っている人”の中に、
最初にあたたかさを届けるための音だ。
彼は最初、それを流しながら、ただ眠った。
特に何も感じない日が続いたという。
でも、ある夜──夢を見た。
小さな頃に描いていた絵を、
だれにも見せられずにぐしゃぐしゃにしていた夢。
朝起きた彼は、
ふとペンを手に取って、ノートに線を引いた。
「ただ、描きたくなったんです」
そこから少しずつ、彼は絵を描くようになった。
最初は落書き。
次に簡単なアイコン。
そのうち、友人に頼まれて小さなイラストを描くようになった。
 「“これ、あなただから描けるタッチだね”って言われたんです。
 ……あれが、人生で初めて“才能”って言われた気がしました」
初音は、彼に才能を与えたわけじゃない。
でも、凍っていた場所に光を差し込んだ
その光に、自分の手が伸びたとき──
“動けなかった心”が、ゆっくりと歩き始めた。
俺は思う。
初音のすごさは、
“救う”とか“癒す”じゃない。
ただ、その人が“動き出せる余白”をつくってくれる音なんだ。
今の彼は、
副業としてイラストの仕事を始め、
「そのうち絵本も描いてみたい」と笑うようになった。
自己否定の音は、今も完全には消えていない。
でも、それよりも、
“表現したい”という音が、彼の中で大きくなってきている。
──初音。
それは、止まっていた未来に、そっと音を届けるヒーリング
そして、
眠っていた才能が、
もう一度、目を覚ましてもいい”と感じられるための音。
きっと今日も、
どこかで誰かの中に、静かに鳴っている。
そして、その人がふと顔を上げるその瞬間を──
音は、ただそっと待っている。



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