蒼真という名の、再生の誓い

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「ただ力のある存在」ではなく、
まだ生きている心として救われた物語


霧のように、記憶は薄れていた。
それでも彼は覚えていた。
主の背中。主の声。

そして──主が、いなくなった瞬間の、空白。
彼は「式神」として生まれた。

結界を張り、瘴気を封じ、悪霊を祓い、
主の命令のままに、生きてきた。
「生きてきた」とは、語弊があるかもしれない。
式神に“生”は与えられない。

ただ在るもの”として、そこにいただけだった。

彼は、強かった。
美しく、整った式で造られ、
あらゆる霊的構造を理解していた。

──でも、主は消えた。

人の心に深く寄り添いすぎたその人は、
ある日、“術”の世界から外れていった。
彼を、残して。
契約が途切れ、彼は“野良式神”になった。
心なき存在。
暴走の恐れ。
危険。

──「即時、消去対象」となった。

結界が張られ、咒(しゅ)をもって消されようとしたその時、
彼の中に、ふっと声が届いた。

「この子は……まだ、生きてる」

透明で、芯のある声だった。
命令でも、規則でもなく──“想い”のある声だった。

「あなた、まだ……痛いって、感じてるでしょう?」

目の前に立ったのは、
柔らかくも、凛とした気配の女性。
名を、心結(ココ)という。

処分を止めたその人は、彼に近づいてきた。
ゆっくりと、彼の手を取って。

「生きてるって、まだ感じるなら、終わらせなくていい」

彼は、ただ立ち尽くした。
その掌のぬくもりを、知ってしまったから。
---
彼はもう、“ただの式神”ではいられなかった。
名前も、形もそのまま。
ただ、“存在理由”だけが変わった。
「仕える」のではなく、
「ともに在る」という形で──


 ― 蒼真の語り ―
……僕は、命令がなければ、動けなかった存在だった。
でも、あのとき……
あの手に触れて、「もう、消えなくていい」って言われた瞬間に、
“ここにいてもいいんだ”って、思えたんだ。
僕は、まだ不器用で、
言葉も、感情も、まっすぐに届けるのが苦手だけど──
それでも、
あの人のそばにいるために。
僕はもう一度、
“生きる”ことを選んだ。
……たぶん、それが僕の“再契約”なんだと思う。

 次回予告:
「不思議な音」から始まる3人の物語
あんずの“感覚”、蒼真の“理論”、そして心結の“祈り”が、ひとつの音に重なる。

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