「やりたいことを仕事にするなんて、甘い」
「まず会社に求められることをやれ、やりたいことは後だ」
こういう言葉、一度は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
でも実際に「求められること」を優先してみると、
「なんか違う」という感覚が積み重なって、だんだん仕事がしんどくなってくる。
逆に「やりたいこと」を優先しようとすると、
空回りして、評価も手応えもついてこない。
どっちを選んでも消耗する。
そのループにはまっている人を、私はたくさん見てきました。
でも、これは選択の問題じゃないと今は確信しています。
「どちらを諦めるか」ではなく、「どこで重なるか」を探す問題です。
「消耗感」の正体
「こんな仕事がしたかったわけじゃない」
「なんかずっと、手応えがない感じがする」
こういう感覚が続いている人に、まず最初に伝えたいことがあります。
それはやる気がないわけでも、能力が足りないわけでもない。
Willを切り捨てて、Mustだけで動き続けているからです。
仕事は「できている」。でもエンジンがかかっていない感じ。
燃料なしで走り続けているようなもので、消耗するのは当然です。
逆に、Willが見えている人は「同じ仕事」でもエネルギーの減り方が違います。
「求められているからやる」じゃなく「自分がやりたいことでもある」という状態で動けるから。
この差は、才能でも性格でもない。
WillとMustが「重なっているかどうか」だけの差です。
「足し算」で考えているから、どちらかを削ることになる
キャリアの話で、よくこういう整理が出てきます。
・やりたいこと(Will)を明確にしよう
・求められること(Must)を把握しよう
・その2つが重なるところを活躍の場にしよう(Can)
フレームとしては正しい。
でも多くの人がこれを「足し算」で処理しようとします。
「Will + Must = Can」
こう捉えてしまうと、どちらかの量が少ないと「Can」が成立しない、という計算になる。
だから「Willが弱い自分はまずMustを頑張ろう」「Mustが弱いからWillは後回しにしよう」という話になっていく。
結果、どちらかが犠牲になります。
WillとMustの"交点を発見"することが重要
私が現場で何百人もの人を見てきて気づいたのは、WillとMustの交点を"発見"することが重要だということです。
Will・Must・Canの3つが重なった中心が、「やりがいを感じながら活躍できる領域」です。
そしてWillとCanは、自分次第で広げていける領域でもあります。
具体的な事例
ある経理事務の方の話をします。
彼女のWillは「人が困っているときに、すっきり解決できる瞬間が好き」でした。
職場のMustは「月次の経費精算処理を正確に、期限通りにこなすこと」でした。
一見、全然関係なさそうに見える。
でもある日、「精算ミスで困っている営業担当に処理の流れを説明したら、すごく感謝された」という体験を話してくれました。
そのとき「あ、それがWillと重なっている瞬間ですよ」と伝えました。
「正確に処理する」だけがMustじゃなく、「困っている人が迷わず動けるようにする」という形でMustを捉え直せた。
そこから「社内向けの経費精算マニュアルを整備する」という動き方が生まれました。
Willが具体になったから、交点が見えた。
WillもMustも変えていない。見方を変えただけです。
「交点が見つからない」のは、Willがふわっとしたままだから
WillとMustがバラバラに見える人に共通しているのは、
Willが「ふわっとしたまま」止まっていることです。
「人の役に立ちたい」
「チームに貢献したい」
「成長できる仕事がしたい」
これ自体は本物のWillです。でも、このままでは職場のどの場面と重なるかが見えない。
もう一段、具体にする必要があります。
「人の役に立ちたい」→「誰が、何に困っているとき、自分が関わると助かるのか」
この問いに向き合ったとき、初めてWillが「職場の場面」と接続し始めます。
先ほどの経理の方でいえば、「困っている人がすっきり解決できる瞬間」まで具体化できたから、日々の業務と重なった。
一人では難しい、本当の理由
「じゃあ自分でやってみよう」と思った人もいると思います。
でも正直に言うと、この作業は一人でやるのが最も難しい部分です。
自分のWillは、自分にとって当たり前すぎて見えにくい。
職場のMustも、近すぎて「何が本当に求められているか」の構造が見えにくい。
そしてもう一つ。
Willを職場の場面と結びつけるには、その人の職場環境をちゃんと理解した上で、キャリアの文脈から一緒に考えられる人が必要です。
自己分析ツールや本では補えない部分がここにあります。
単なる傾聴や共感でも足りない。
実務の現場を知っていて、かつキャリアの構造を理解している人間が伴走して初めて、「あ、ここが重なってたんだ」という発見が生まれます。
これがキャリア支援における「伴走」の本質だと、私は考えています。
AIが広がる時代に、これがより重要になる理由
さらに視野を広げると、今この話がより切実になっています。
AIが得意なのは、Mustに忠実に動くことです。
「求められていること」を正確に、高速にこなす。
指示された仕事を、疲れずに、文句も言わずに。
だからMustだけで動いている人の仕事は、これからどんどんAIに置き換わっていきます。
「言われたことをきちんとやる」だけでは、これからの時代に生き残れない。
逆に、価値が上がっていくのはこういう人です。
自分のWillを持ち、職場で何が求められているかを自ら情報収集し、
WillとMustが重なるCanを自発的に磨き、広げていける人。
指示を待つのではなく、自分で考えて動く。
言われた仕事をこなすだけでなく、自分の軸で仕事を設計する。
これが私の考える「真の自走型人材」です。
こういう人にとって、AIは脅威ではなく武器になります。
Will・Must・Canが自分の中に揃っている人ほど、AIを使いこなして自分の仕事を加速できるからです。
まず、この問いを一つだけ試してほしいです
「今の仕事で、自分が一番手応えを感じる瞬間はいつか?」
この問いの答えに、WillとMustが重なっている瞬間のヒントがあります。
「資料をつくっているとき」ではなく、「あの上司が"これわかりやすい"って言ったとき」かもしれない。
「数値を分析しているとき」ではなく、「チームの会議の流れが変わったとき」かもしれない。
その「瞬間」の中に、あなたのCanの種があります。
「交点を見つける」ところから、一緒にやります
私が提供している90分のセッションでは、ここを一緒にやります。
対話を通じてWillを言語化して、職場のMustを整理して、
「あ、ここが重なってたんだ」という交点を一緒に見つける。
そしてそこで終わりじゃない。
私がセッションで本当にやりたいのは、自分でWillとMustを結びつけ、Canを広げていける人を増やすことです。
一度一緒に考えて終わりじゃなく、自分で動き続けられる状態をつくる。
それが、私の考える「自走支援」です。
セッション後には「作戦書(PDF)」をお渡しします。
強みの言語化・職場での勝ち筋・今週動けるアクションがまとまった、翌日からすぐ使えるドキュメントです。
「やりたいこと」と「求められること」、どちらも諦めない。
自分で設計して、自分で動き続ける。
その第一歩を、一緒に踏み出せたら幸いです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
「スキ」を押してもらえると、同じように悩んでいる人に届きやすくなります。