のどが痛む、イガイガする、乾燥しているときに頼りになる「のどスプレー」。
しかし、薬局やドラッグストアで見ると、さまざまな成分が含まれており、どれを選ぶべきか迷うことも多いのではないでしょうか。
今回は、薬剤師の視点からそれぞれの成分の特徴と、適切な使い方について解説します。
よく見ていただきたいのが、有効成分の欄です。
私がよく見るのは、ポピドンヨード、アズレン、セチルピリジウムあたりの有効成分なので、順に見ていきましょう。
1. ポビドンヨード含有スプレー:ウイルス・細菌の徹底除去
ポビドンヨードは、強力な殺菌・消毒作用を持ち、ウイルスや細菌を物理的に破壊する成分です。
風邪やインフルエンザなど、ウイルスや細菌による感染症の初期症状に対して効果的です。
のどの粘膜にウイルスや細菌が付着している段階で使用することで、感染の拡大を抑え、症状を軽減することが期待されます。
使用が適している症状・状況
風邪やインフルエンザの初期症状がある
外出後、感染リスクのある環境にいた場合のケア
ウイルスや細菌による炎症が原因ののどの痛み
注意点
ポビドンヨードは強力な殺菌成分のため、長期使用や頻繁な使用は避けましょう。
甲状腺疾患がある方やヨードアレルギーがある方は使用を控えましょう。
ポビドンヨードはのどの粘膜を刺激する可能性もあるため、短期間の使用にとどめるのが望ましいです。
2. アズレン含有スプレー:のどを優しく保護し、炎症を抑える
アズレンは、抗炎症作用を持ち、のどの粘膜を保護する効果がある成分です。
ポビドンヨードのような殺菌作用はないため、ウイルスや細菌の感染が原因でない場合、例えば、乾燥や声の使いすぎによる炎症や不快感に適しています。
のどを優しくケアしたいときに最適です。
使用が適している症状・状況
空気の乾燥やエアコンの使用でのどが痛いとき
声の酷使によるのどの炎症(教師や歌手など)
軽度ののどの痛みや不快感を和らげたいとき
注意点
アズレンは長期使用が可能であり、副作用が少ないため、日常的なのどケアに向いています。しかし、感染症の疑いがある場合には、他の成分を使用するほうが適しています。
3. セチルピリジウム含有アズレンスプレー:殺菌と炎症抑制のダブル効果
セチルピリジウムは、穏やかな殺菌作用を持つ成分で、細菌や一部のウイルスを抑制する効果があります。
アズレンと組み合わせることで、殺菌効果と抗炎症効果の両方を備えたスプレーとなり、のどの炎症や痛みを和らげつつ、細菌の増殖を防ぎます。
ポビドンヨードのように強力な殺菌作用を必要としないが、軽度の感染リスクがあるときには、この組み合わせが適しています。
使用が適している症状・状況
軽度のウイルスや細菌による炎症が疑われるとき
風邪の予防としてのどの保護を行いたいとき
炎症があり、かつ殺菌ケアも必要な場合
注意点
セチルピリジウムはポビドンヨードほど強力な殺菌作用はありませんが、日常のケアや軽度の感染予防に有効です。長期使用でも大きな問題はありませんが、症状が改善しない場合は医師に相談することをおすすめします。
4. 成分の使い分け方:状況に応じて適切に選択する
のどスプレーの選択において最も大切なのは、症状や状況に応じて適切な成分を選ぶことです。以下のポイントに基づいて使い分けると良いでしょう。
ウイルスや細菌の感染が原因ののどの痛みや炎症には、強力な殺菌作用を持つポビドンヨード含有スプレーが適しています。感染初期や予防としての効果が高いです。
また比較的低価格のことが多いため、こちらを選ぶ方が多い印象ですが、長期間使うと、かえってのどの粘膜を刺激する可能性もあるため、短期間の使用がおすすめです。
乾燥や声の酷使による炎症やのどの不快感には、アズレン含有スプレーが最適です。殺菌の必要がなく、優しいケアを提供します。
軽度の殺菌と炎症のケアを同時に行いたい場合には、セチルピリジウムとアズレンのダブル効果を持つスプレーを選びましょう。
炎症を抑えつつ、軽い感染予防も行えます。
※個人的には、風邪をひいたとき、アズレン、セチルピリジウム含有ののどスプレーを選ぶ時が多い気がします。
5. まとめ
のどスプレーの使い分けは、成分の特徴と自分の症状を理解することが鍵となります。
自分の症状や生活状況に合わせたのどスプレーを選ぶことで、より効果的にのどをケアし、健康を守ることができます。
薬剤師として、皆さんの選択が的確であり、快適なのどケアができるようサポートできれば幸いです。