管理職になって悩んできたことがあります。
それは、「自分がどこまで手を出すべきか」ということです。
以前、私が本社の課長をしていた時、チームは私と担当者1人という小さな体制でした。
その時の私は、いわゆるプレイングマネージャーでした。
自分も担当者と同じように仕事をする。
一緒に考える。
困った時には自分が手を動かして解決する。
そのやり方で、チームの仕事は何とか回っていました。
タスクの進捗状況もよく分かりますし、担当者との距離も近い。
小さな組織では、それが強みになることもあります。
しかし、その後、多くの部下を持つチームの管理職になった時、同じやり方ではうまくいきませんでした。
自分が細かい仕事まで抱えてしまうと、管理職として本来やるべきことがおろそかになりました。
メンバー一人ひとりを見ること。
チーム全体の方向性を考えること。多数の課題の進捗状況を俯瞰すること。
問題が起きる前に手を打つこと。
そうした役割に時間を使う必要がありましたが、それができなかった結果、課題解決がうまく進まなかったり、部下からの信頼を失ってしまったこともありました。
そこで、私は「任せる」ことを意識するようになりました。
部下を信じて仕事を任せる。
必要以上に口を出さない。
自分で考え、成長する機会をつくる。
管理職としては大切なことです。
ただ、ここにも落とし穴がありました。
任せることを意識するあまり、現場の苦労との距離ができてしまったことがあります。いま現在もそんなことに悩んでいます。
部下からすると、
「課長は自分たちの苦労を分かっているのだろうか」
「相談しても理解してもらえないのではないか」
そんな気持ちになっているのかもしれません。
時には管理職自身が現場に入り、汗をかくことが大切ということも感じました。
実際に仕事を手伝ってみる。
現場の大変さを自分の体で感じる。
そこで働く人の工夫や苦労を知る。
そうすると、不思議なことに、それまで距離を感じていた部下が少しずつ相談してくれるようになりました。
もちろん、管理職が何でもやればいいわけではありません。
ずっとプレイヤーになってしまえば、部下の成長を妨げることにもなります。
大切なのは、
「仕事を代わること」ではなく、
「仕事を理解するために一緒に経験すること」
なのだと思います。
管理職に必要なのは、
「任せる力」と「寄り添う力」。
この2つは相反するように見えますが、実は両方が必要です。
任せるだけでは、部下との距離が広がる。
手を出しすぎれば、組織が育たない。
その間で悩みながら、自分自身も管理職として成長してきたかもしれません。いや、まだ成長途上ですが。
振り返れば、現場に入って汗をかいた経験は、単なる手伝いではありませんでした。
「この人なら相談しても大丈夫」
そう思ってもらうための、信頼づくりだったのだと思います。
組織を変えるのは、制度や仕組みだけではありません。
最後は、人と人との信頼関係なのだと感じています。
皆さんは、「任せること」と「関わること」のバランスをどう取っていますか?