アンメットが描く「影のない世界への展望」

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コラム
ドラマ「アンメットは事故の後遺症によって記憶が一日でリセットされてしまうという症状を患う主人公であり脳外科医 河内ミヤビが患者や自らの症状と向き合っていく様子を描いたドラマである。

                               脳に障害がある脳外科医という設定

このドラマの素晴らしいポイントは枚挙にいとまがないが、このドラマへ視聴者を引き込み、前へ進んでいく力を与えてくれるのはまず若葉竜也 演じる三瓶先生と杉咲花演じる 河内先生のキャラ造形の素晴らしさによってだろう。

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三瓶先生は一見すると無愛想で声が小さく他人に興味のない天才肌の人間のように見えないこともない、でも彼は脳外科医として卓越した技術を持つと同時にその内面では患者の人生や幸せについて常に考えを巡らせ、この世界から影をなくしたいと語るロマンチストで確かな熱を持った人間なのである。
ノリが悪そうに見えて飲みの席には必ず出席していたり、世間話を同僚といつもしていたりというギャップもキャラを引き立てている。

河内先生は脳に障害があるからこそ、同じように脳機能障害に悩む人たちに寄り添うことができる。
溺れている人の苦しみを自分も溺れていながらなんとか泳いでいるからこそ理解することができる。
三瓶先生は技術や方法によって患者の人生を救おうとするのに対して、河内先生は患者の職場の人と話し合ったり、泥まみれになって練習に付き合ったりすることで患者がこの先、症状と向き合いながら生きていけるように患者の心を救うのである。 
だからこそ、その様子を見て三瓶先生は何度も目を細め、周りの同僚たちも心からの応援を送りサポートをする。

「障害のある人は人生を諦めてただ生きてればいいと思ってるんですか?」

1話にアンメットを象徴する言葉があった。
1日で記憶がなくなってしまう河内先生は患者の感情や自分が向き合って感じたことを文字として残すことしかできない、そんな不誠実な自分に手術はできないと三瓶先生に話す、そんな河内先生に対して三瓶先生は「僕は今の河内先生の知識や技術でできることを提案しています、できないことは周りがフォローすればいい、当然のことです、あなたは障害のある人は人生を諦めてただ生きてればいいと思ってるんですか?」
と言い放つ。

このドラマを見る前は脳外科というのは手術をメインにするのだと思っていた。
しかし実際は、リハビリや経過観察、アフターケアの時間が大半なのだと知った。
昨日までできたことが突然できなくなる、その症状もさまざまで、職業や性格によって辛さも人それぞれにある、そういう人に寄り添いながら再建の道を探っていくことこそが脳外科の本質だということを、アンメットは映像や音声を使って見せてくれる。(失語症になった人にとって言葉がどう聞こえるのか等)

つまり脳外科の河内先生にとってこの問いは愚問で屈辱的だが、自分を肯定してくれる言葉でもある、そしてぶっきらぼうに見えて優しいという三瓶先生の性格が表現された素晴らしい台詞になっている。

こんな言葉が1話で出てくる時点で、このドラマが伝えようとせんメッセージが素晴らしい物であることが確信できるはずである

さらにこの言葉は作品を飛び出して現実でも重要なである。


なぜ、障害のある人をサポートしましょうなのか

障害のある人をなぜ助けなければならないのだろうという問いに理路整然と答えられる人は案外少ないのではないだろうか。
倫理的になんとなく助けなければいけないような気はするけれど身体に接地した助けようという意識はどうにも薄い。
だからこそ、「障害のある人は人生を諦めてただ生きていればいいと思うのか」と自分に問うことには意味があると思う。
他者の手を借りればできることをやらせてもらえないことや障害があるからなんでも諦めろと言われることの辛さが、そしてそれは自分の身に起こる可能性もあるということを考えれば、「そう思わない」
と言えるはずでこの感覚は、おそらく身体に接地したもののはずだ

またアンメット6話で描かれたように障害があってもその人がいなければ仕事上の迷惑がかかったりすることもある、障がい者雇用によって税制優遇が受けられたりすることもある、つまり障害がある人にも普通に働いて欲しいし、場合によってはメリットがあるということだ。

綺麗事だけではなく必要だから助けあうという理屈と、できることまでやれないのは悲しいという感情、これら二つの軸こそ、当然のように助けあっていける世の中への足掛かりになる  かもしれない。


脳の障害への理解と助けあう意識への視座をくれる傑作ドラマ
「アンメット」
皆がこの作品を見ている状況になれば世界全体の思いやりがいくらかは上がるはずだ。












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