私は2022年2月末に60歳でIT企業を定年退職し、あえて雇用延長は選ばずに派遣会社などで期間限定の仕事に就いています。前回までは雇用延長を選ばなかった理由、いまのライフスタイルを選択するまでの経緯、そして定年退職日までのことについてお伝えしました。
今回は、定年退職後の厳しい就業状況についてお伝えしたいと思います。
定年退職後はすぐには働かず、少しのんびりすることも兼ねて失業保険をもらおうと最初は思っていました。ただ、退職前に試しにいくつかのアルバイトの求人に応募したところ、最初はことごとく不採用でしたが十数社目である人材サービス会社が受託した某自治体事業のオペレーターとして採用されました。当時はコロナ禍の真っただ中で、コロナ関係の給付金の審査のため数十人規模の求人が何回かに分けてあり、その一つに何とか採用された感じです。
いちおう世間では名の知れた会社に40年近く勤め上げ、営業系の業務に幅広く関わったという自負もあり、正社員ではなくアルバイトならすぐに採用されるだろうという楽観的な気持ちでしたがこんな状況で、なんとなく「これは結構厳しいかも」という予感がしました。これはその後の就職活動の中で大きく実感に変わり、いまでも厳しいと感じています。
契約は一か月単位だったので、一か月で辞めて失業保険をもらおうと思ったのですが、業務の理解が進むにつれてわりと面白くなり、結果的にはこの事業が終了するまでの三か月間やりました。これまでの多岐にわたる業務を自分の裁量で進められる営業系の業務とは真逆で、始業・終業・休憩・残業の時間がシビアに管理され、詳細な業務マニュアルに従って業務を行い、不明な部分は必ずSV(スーパーバイザー)に確認して進めるということが徹底されていました。総勢数百人規模だったため、規律正しく動く集団のような感じでした。
審査業務も初めての経験であり(これまでは営業として受注した案件の審査を受ける立場でした)、規律正しく動く職場環境も相まって、さっそく新しい世界を覗いたという三か月でした。
その後、約五か月にわたり失業保険を受給しましたが、受給が終わった後の再就職に向けて、ハローワークでの相談や(失業保険を受給するには、すぐにその気がなくても再就職の意欲を見せて定期的に相談する必要があります)、何社か派遣会社への登録、大学時代に資格取得した簿記の復習、EXCELなどパソコンスキルの向上に取り組みました。
少し話がそれますが、40年近く正社員として勤務し、アルバイトとはいえ定年退職後も数か月そのまま働いていた状況から急にまったく働かない状況になり、最初は自由を満喫して趣味やレジャーを楽しみましたが、友人や知人が再雇用等で働いている中、自分が社会から取り残されて存在価値に疑問を持つなど、ウツまでではありませんでしたが脱力感を感じていました。それもあって意識的にこの様な活動をしたのだと思います。途中から、主に高齢者からのパソコンやスマホ利用の相談を受けるというIT関係のボランティア活動に参加したこともあり、無職中のネガティブな気持ちはだんだん薄れていきました。
人によるかもしれませんが、定年退職後、無職の期間があった場合に私のような心境になることも想定し、趣味やレジャーなどの楽しみだけでなく、次のステップに向けた活動や何か社会とのつながりが感じられることに関わることが必要かなと個人的には思います。
さて、失業保険の受給が終わる二ケ月ほど前から真剣に再就職活動に取り組みました。正社員ではなく派遣やアルバイトを希望していたのでこの頃もまだ何とかなるだろうという楽観的な気持ちでしたが、20社ほどの求人に応募するもことごとく不採用となり、ひどい時は午前中に応募して午後に不採用の通知が来るということもありました。これはいまだによくあることです。
応募した求人は一般事務や営業事務などのデスクワークがほとんどでしたが、あとから知ったことですがこの領域はわりと若い人や主婦の応募も多く、しかもこの世界を長年渡り歩いているという強者も多いです。就職氷河期世代が派遣やアルバイトでつないでいるという状況もありそうです。そのため競争率が高く、私のような年齢で、しかもひとつの会社で営業系で働いてきた人間(専門分野でのスキルや技術系の経験・ノウハウがない)には大変厳しいものだと強く実感しました。
ただ、捨てる神あれば拾う神ありで、退職後三か月間働いた人材サービス会社から某自治体の給付金の事業の審査オペレーター募集の紹介がありました。期間は四か月ほどでしたが、藁にも縋る思いだったのですぐ応募し採用されました。ひとつの会社で営業系での40年近くの就業実績ではなく、たった三か月の審査業務の実績が認められたのではと思っています。皮肉ですね。
この後もまだまだ60歳を過ぎた身にとっては厳しい就業状況が続きますが、
いっぽうで期間限定の仕事を渡り歩き、その中で厳しいだけではなく楽しさややりがいを見出した今のライフスタイルにつながっていきます。
続きは次回にお伝えしたいと思います。