物産展のブースデザインを担当することになったとき、あなたならどうデザインしますか?
・「世界観を統一して、お洒落な看板を作ろう」
・「すっきりしたレイアウトで見栄えを良くしよう」
もし、そんな風に「綺麗に作ること」ばかり考えているなら……黄色信号です。
実は、物産展の現場において、綺麗すぎるブースほどお客さんにスルーされてしまうという衝撃の事実があります。今回は、なぜお洒落なデザインが失敗するのか、そして現場で勝つためのデザインの正体をお話しします。
なぜ「お洒落な看板」は風景と同化してしまうのか?
デザイナーとして、色のトーンを合わせたり、洗練されたフォントを選んだりするのは当然のスキルですよね。しかし、熱気あふれる物産展の会場にそれをそのまま持ち込むと、思わぬ罠にハマります。
会場には、派手な旗や手書きのPOP、人混みが溢れています。その中で「整ったお洒落なデザイン」を置いてしまうと、周りのごちゃごちゃした熱量に負けて、まるで風景の一部のように馴染んで消えてしまうのです。
お客さんは美術館にアートを見に来ているわけではありません。「何か美味しいものはないか」と、ギラギラした目で歩いています。そこに綺麗にまとまった看板があっても、視線は素通りしてしまいます。
お客さんが見ているのは、デザインではなく「瞬間」
では、通りすがりのお客さんはブースのどこを見ているのでしょうか?
答えは、洗練されたロゴや美しいレイアウトではなく、「今すぐ食べたい!と思わせる美味しそうな瞬間」です。
・× 綺麗にスタジオで撮影された、お皿の上の料理写真
・◯ 肉汁がじゅわっと溢れ出ている、まさにその瞬間のアップ
あなたが良かれと思って綺麗にトリミングしたその写真、商品の「生っぽさ(野生味や臨場感)」を消してしまっていませんか?
洗練さを優先して、食べ物の「生々しい魅力」を四角い枠の中に閉じ込めてしまうのは、物産展の販促においては一番もったいないことです。
明日からできる「生っぽさ」を取り戻すデザイン
物産展のブースデザインで集客を増やすために、今すぐできる意識改革は以下の3つです。
・「綺麗さ」より「巨大さ」を選ぶ
オシャレな英語のキャッチコピーを小さく入れるくらいなら、「肉!」と書いた巨大な写真を1枚ドカンと配置する方が、100倍お客さんの足を止めます。
・文字は読ませるな、感じさせろ
歩いているお客さんは、1秒以上文字を読んでくれません。「〇〇県産の〜」という細かい説明は省き、一目で味が想像できる言葉(例:濃厚、爆汁、とろける)をフォントサイズ最大で載せましょう。
・完成された世界観をあえて「崩す」
あえて完璧な印刷物の中に、手書き風の目立つ色の要素(黄色や赤)を混ぜてみてください。その「違和感」こそが、お客さんの指ならぬ「足を止める」キッカケになります。
デザインの正解は「現場の熱量」の中にある
デザイナーとして、Macの画面に向かって「美しいレイアウト」を突き詰める時間はとても楽しいものです。
しかし、物産展という戦場で勝つデザインは、画面の中ではなく「ガヤガヤした現場でどう見えるか」の中にしかありません。
綺麗に作ろうとして、商品のいちばん美味しい「生っぽさ」を殺してしまっていませんか?
次にブースを手がけるときは、ぜひ「お洒落さ」を半分捨てて、「泥臭い美味しさ」を前面に出してみてください。それだけで、ブースの前の行列がガラリと変わるはずです。