サラリーマンのスーツ代や資格取得費用は経費になる?

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法律・税務・士業全般

1.そもそもサラリーマンには、もとから「一定の経費枠」が認められています。

①一定の経費枠とは?
自営業者と異なり、サラリーマンには、必要経費などの控除がありませんが、それに代わるものとして「給与所得控除」という一定の経費枠がもともと設けられています。
この定額の経費枠(=給与所得控除)は、年収によって、最低55万円~最大195万円の枠があります。「サラリーマンであればこの金額くらいは必要経費としてかかるでしょう、」という金額です。
この金額を給与から引いて、税金計算をしているので、控除額分の税金がかかっていない事になります。
要は始めからサラリーマンの必要経費が給与から引かれているのです。

②どのくらいの経費枠(=給与所得控除)があるの?

年収にもよりますが、年収額面の2割~3割程度が定額の経費枠(=給与所得控除)です。
例えば、年収400万円であれば、124万円の経費枠が設けられています。
スーツや革靴代、英会話代、会社の飲み会など考えても、こんなにかかっていない気がするので、これを見ると、それなりの枠が認められている(税制上配慮されている)というのがわかると思います。サラリーマンの特権ですね。実は結構優遇されています。
引用:国税庁「給与所得控除」

2.それ以上にめちゃくちゃ自腹の経費がかかったら?

①概要
先に説明した「給与所得控除」という定額の控除制度以外に、「特定支出控除制度」というのがあります。
特定支出控除制度とは、定額の経費枠(=給与所得控除)の半分よりも多く経費がかかった場合、半分の金額を超えてしまった分は、所得から差し引いて税金計算しましょう、という制度です。

②どんなものが経費になる?
重要なのは会社から補助をうけたもので、所得税がかかっていなもの(例えば立替経費や通勤交通費や出張旅費)は対象にならない、ということです。
あくまで、会社から補助を受けていない自腹の費用や、補助があっても所得税が課税されているものが対象になります。
通常は仕事でかかった立替経費はすべて清算されることが多いので、実際にこの制度の対象となるケースは非常にまれです。
また、原則として会社側に証明してもらう必要がありますので、事前に会社に相談するほうがよいでしょう。

③経費になるのはこの6種類!
(1)通勤費・職務上の旅費
通勤や勤務地を離れて仕事するときに必要な公共交通機関の料金やマイカー通勤の燃料費や高速代などが対象です(ただし、グリーン車料金は対象外)。もちろん、会社が通勤費・出張実費を精算している場合には、特定支出に含めることはできません。
(例)会社で定めている通勤交通費の上限を超えたり、特急券を利用して実費で負担している場合等
(2)転居費
転勤に伴う転居のために必要となった運賃や宿泊費、家財の運送料などを個人で負担した場合には、特定支出に含めることができます。転任に伴う転居のために、転任の日から1年以内に支出される通常必要となる費用について、認められます。
(3)研修費
仕事をするうえで直接必要となる、技術や知識を習得するための研修費用です。
もちろん、会社が研修費を負担するケースは対象にならず、サラリーマンが個人で研修費を支払う場合には特定支出とすることができます。
(4)資格取得費
①自動車免許、簿記、英語検定など、仕事に直接必要な資格取得のための費用
②法令の規定にもとづき特定の業務を営むことができる資格取得のための費用(たとえば、弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、医師、歯科医などの資格を取得するための費用)
(5)帰宅旅費
単身赴任者などの勤務地や居所から自宅に帰宅するための旅費について、最も経済的かつ合理的と認められる通常の経路および方法によるものも特定支出にあたります。
(6)勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費)
勤務必要経費については、平成25年の改正で範囲が拡大され特定支出について認められることになりました。この勤務必要経費は上限が65万円と決められています。
①図書費:仕事に関連する専門書、業界紙の購入費用
②衣服費:制服、事務服、作業着など、仕事場で着用することが必要な衣服の購入費(アパレル関係で業務中に着用が義務付けられる自社ブランドの服も対象になります)
③交際費:顧客や仕入先に対する接待、贈答費用
参考資料:国税庁「給与所得者の特定支出控除」
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