学部生のときに相対論を勉強していて疑問に思ったことをQ&A形式に纏めておこうと思いました。
今回は、相対性理論で最も有名な結論の一つである「光速に近づくと質量が増え、光速を超えることはできない」という現象についてです。
Q1:光速に近づくとなぜ質量が増えるのでしょうか?
これは、相対論では有名な𝐸 =𝑚𝑐²という式に答えが隠されています。
(4次元の運動量を考える過程で導出される式です。)
この式は、エネルギー(𝐸)と質量(𝑚)が本質的に同じものであることを示していましたね。
物体を加速しようとすると、その運動エネルギーが増加します。そして相対性理論によれば、この運動エネルギーの増加は、物体の質量を増加させることにつながります。
つまり、加速によって外部から与えられたエネルギーは、運動エネルギーとしてだけでなく、質量という形で物体に蓄積されるのです。
この質量増加は、速度が光速に近づくにつれて加速度的に大きくなっていきます。
最終的に光速に到達するためには、質量が無限大になり、無限のエネルギーが必要となります。どれだけ大きなエネルギーを注ぎ込んでも無限に供給することはできませんから、質量を持つ物体が光速に到達することは物理的に不可能だ、という結論になるわけです。
逆に考えれば、質量を0に近づけたものこそが光であるとも言えるでしょう。
ちなみに、例え話ではありますがイメージをお伝えすると、「ロケットの速度を上げるには?」という問題を考えると良いのではないでしょうか。
ロケットの推進力を上げようとすれば大きな(つまり質量の大きな)ブースターが必要になるはずです。しかし質量が大きくなると加速がしにくくなりそうです。イメージとしてはこの様な形になると思います。
Q2:光の速さは何によって決まるのでしょうか?
光の速さは、何かの媒体を伝わる波の速さとは異なり、時空そのものの性質によって決まります。
具体的な要因として、私たちは真空の誘電率(𝜖0)と真空の透磁率(𝜇0)という、2つの物理定数に関係しています。
光は電場と磁場がお互いを生成しながら進む電磁波であり、その速さ𝑐は、「真空の誘電率(𝜖0)と真空の透磁率(𝜇0)の積の平方根をとった物理量の逆数」と等しいことが知られています。
これらの定数は、物質がない「時空そのもの」の属性だと考えることが出来ます。そして光の速さは関係式から時空の属性によって決まる、と解釈することができるのです。(「真空中」とは、大雑把には「物質がない」ということです)
つまり、もし我々の住む時空とは異なる性質を持つ時空が存在するならば、そこでの光速は変わる可能性があるということになります。
Q3:なぜ光の速さは誰から見ても同じに見えるのでしょうか?
これは特殊相対性理論の最も不思議な点の一つですが、その答えは「時間の遅れ」という現象にあります。
相対性理論では、光速が誰から見ても変わらないという物理法則を成立させるために、時間や空間が観測者によって相対的に変化するという結論が導き出されます。
例えば、あなたが高速で移動する物体を追いかけると、あなたの時間が相対的にゆっくり進むため、相手の動きや時計がスローモーションに見える、という例え話があります。
光を追いかける観測者の時間がゆっくり進むことで、光の速さが常に一定に見えるように「帳尻が合わされる」と解釈できると思います。
光速が時空の基本的な性質であるため、どの観測者から見てもその値が不変となり、その結果として、時間や空間が観測者によって相対的に変化するという、驚くべき結論が導き出されるのです。
まとめ
今回は、相対性理論における最も有名な疑問にQ&A形式で答えてみました。これらの不思議な現象は、𝐸 =𝑚𝑐2というエネルギーと質量の等価性、そして光速が時空そのものの属性であるという事実から、必然的に導かれる結論であることを確認できたら嬉しいです。
これからも、疑問を解決しながら、相対論の知識を深めていきましょう。
<参考文献>
記事を書くときに、部分的に参照したので載せておきます。
1)一般相対論入門 改訂版 : [須藤 靖 (著)]
2)第3版 シュッツ 相対論入門 I 特殊相対論 : [江里口 良治 (翻訳), 二間瀬 敏史 (翻訳), Bernard Schutz (著) ]
3)第3版 シュッツ 相対論入門 II 一般相対論: [江里口 良治 (翻訳), 二間瀬 敏史 (翻訳), Bernard Schutz (著)]
4)相対性理論入門講義 (現代物理学入門講義シリーズ 1) [風間 洋一 (著)]
5)基幹講座 物理学 相対論 [田中 貴浩 (著)]
6)時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎[James J. Callahan (著), 樋口 三郎 (翻訳)]
7)これならわかる工学部で学ぶ数学 新装版: [千葉 逸人]