夫の守護霊様は訪ねてこられたことがありますので、会ったことがあります。自分の守護霊様は、感じることはありますがお姿を見たことがありません。(自分の顔を見ることができないようなものだと思っています)
なぜ訪ねてこられたのかを書くためには、まず私が住んでいる地区の祭りの説明をしなくてはなりません。
私が嫁いだこの地区は大きい夏祭りがあって、住民の祭りにかける情熱は並々ならぬものがあります。当日の主役は神輿ですが、太鼓も地域の結束を強めます。地区地区で太鼓のチームを組んでいて、それぞれに名入りの法被を作り、中年から高校生まで20人くらいで、2か月くらいお囃子の練習をして祭り当日を迎えます。我が家の駐車場で練習をするので、祭りの前には昼夜関係なく頭の中で笛や太鼓、鉦(かね)の音が響いています。
夫は特に祭り好きで、盆、正月よりも祭り、祭りが終わった日には、あと364日したら祭りだというくらいです。この祭りは荒い祭りで主役は男、女は接待に追われ、汚れた衣装を洗濯するのに忙しい、完全な裏方です。
その祭りの大きな役が夫に回ってきました。神輿の上に上がる花形で誰でもができる役ではありません。祭り好きなら誰もが憧れる役です。夫は上機嫌で役の話し合いに出掛けました。
役の話し合いには2種類あります。本当に話し合う日と、話しもするが、その後の親睦が大事な話し合いと。上機嫌で出掛けた話し合いは、後者の話し合いだったのでしょう。その夜はなかなか帰ってきませんでしたので、先に寝ていました。
その夜、というか日付が変わっていたと思います。近所の交番から電話がかかりました。夫が道路で寝ていると通報があった、電話も家の鍵も失くしているようだ、ということでした。
「お手数おかけします。もう遅いので交番であずかっていただけませんか」と答えましたが交番にはそのような施設がないとのこと。夏なので外に寝さしていただいても構いませんがと言うと、連れていくので家に入れてくださいと頼まれました。
どこでどうなったのか傷だらけの泥だらけで夫は帰ってきました。
「ご迷惑をおかけしました」と般若のような笑顔で迎えた私から逃げるように、お巡りさんは夫を引き渡して帰っていかれました。夫が玄関で寝ようがどうしようが私には関係ありません。「ばっかじゃないの」と毒づきながら一人で布団に入りました。
腹が立ってなかなか寝付けないところ、4,5人のおっちゃんがぞろぞろと入ってきました。1人は背が低くて小柄なおっちゃん、そのおっちゃんは後ろの3,4人の引率のような感じでした。後ろの数人は肩を落としてしょんぼりしていましたが、どちらかというと輩(やから)タイプのおっちゃんでした。引率していたおっちゃんが謝るように促し、みんな頭を下げました。
「祭りの役に付けたのが嬉しくてはしゃぎすぎて、すまん」というようなことを言われました。なんだかおかしくて、怒りはどこかにいっていました。なにより私の守護霊様が怒っておられないのだから、私がこれ以上怒ってもしかたない、という気がしました。
守護霊様は1人ではないのだということがわかります。あの4,5人のおっちゃんたちは全員夫の守護霊様でしょうが、いつも全員いらっしゃるわけでもないように感じます。あの小柄なおっちゃんが責任者というかメインの守護霊様ではないでしょうか。この方は強い霊力があるようで、夫に悪いものを近づけさせません。(コラム「墓場で見た虚無僧」でもお世話になりました)私の守護霊様よりも格上という気がします。あとの輩(やから)タイプのおっちゃんたちも、確かにいらっしゃいます。憎めない方々です。
私は時々霊媒体質になってやたらと憑きやすくなりますが、夫がいると夫の守護霊様が強くて低俗霊は祓えるのでありがたいです。なのに夫は心霊の話は苦手で本当に怖がります。
余談ですが、夫は祭りで神輿に挟まれ、肋骨を4本折る大けがをしました。
神輿の上でみんなを煽っている夫を見ると、誇らしいというよりも皆さんの羨望が恐ろしくなります。光があれば影、いらない嫉妬も浴びるのではないでしょうか。骨折で厄落としができれば安いものです。