青の教室 「三つの色」 / 第2章 桐生朔:母の足跡の中で

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第2章 桐生朔(きりゅう さく):母の足跡の中で

朔は、
 いつも歩幅が小さかった。

学校へ向かうときも、
 家に帰るときも、
 青の教室へ向かうときも。

まるで、
 自分の歩く道が“誰かの足跡”の上にしか存在しないかのように。

朔の母は、
 かつて夢を諦めた人だった。

その夢は、
 朔の人生の上に影のように落ちていた。


1. 朔の家庭:母の「足跡」

朔の家は、
 いつも静かで、
 いつも緊張していた。

夕食の時間、母は言った。

「朔、今日のテストは?」

「……まあまあ」

「まあまあって何点?」

「……72点」

母の表情が固まった。

「どうして?
  あなたならもっとできるはずでしょ」

朔は、箸を止めた。

「……ごめん」

「謝ってほしいんじゃないの。
  朔には、ちゃんとした未来を歩いてほしいの」

“ちゃんとした未来”。

その言葉は、
 朔の胸に重く沈んだ。

――僕の未来は、母の未来の続きなのか。

朔は、そう思った。


2. 学校での朔:影の中の子

朔は、学校では“目立たない子”だった。

成績は平均より少し下。
 授業中は静かで、
 休み時間は教室の隅で本を読んでいる。

「朔って、なんか暗いよな」

「話しかけても返事小さいし」

そんな声が聞こえることもあった。

朔は、誰かに嫌われているわけではない。
 ただ、誰の目にも“映っていない”だけだった。

――僕は、ここにいてもいなくても同じだ。

朔は、そう感じていた。


3. 青の教室との出会い

ある日、母が言った。

「朔、青の教室って知ってる?」

「……知らない」

「評判がいいの。
  成績が伸びるって。
  あなたも行ってみたら?」

朔は、母の期待が重くのしかかるのを感じた。

しかし、
 その期待の奥に“焦り”があることにも気づいていた。

母は、自分の人生の続きを朔に歩かせようとしている。
 朔は、それを知っていた。

「……行ってみる」

朔は、静かに言った。


4. 青の教室:友彦との出会い

青の教室のドアを開けると、
 木村友彦が微笑んだ。

「こんにちは。朔くんだね」

「……はい」

「来てくれてありがとう」

朔は、少し驚いた。

“ありがとう”と言われたのは久しぶりだった。

友彦は、朔の目を見て言った。

「朔くんは、どんな色をしてるんだろうね」

朔は、言葉を失った。

――色?

そんなことを聞かれたのは、生まれて初めてだった。


5. 朔の「影」が言葉になる

友彦は、机の上に積み木を置いた。

「好きに積んでみて」

朔は、積み木を手に取った。
 しかし、積もうとすると手が止まった。

「……どうしたの?」

「……どう積めばいいのかわからない」

「わからないって、いいね」

朔は、顔を上げた。

「……いいんですか?」

「うん。
  朔くんは、いつも“正しい足跡”を探してるんだね」

朔の胸がざわついた。

「……足跡?」

「誰かの足跡の上を歩こうとしてる。
  でも、朔くんの足跡は、まだどこにもない」

朔は、積み木を見つめた。

――僕の足跡?

その言葉は、朔の世界を揺らした。


6. 朔の「はじまり」

朔は、ゆっくりと積み木を並べた。
 まっすぐでもなく、きれいでもなく、
 ただ、朔の手が動くままに。

「これは……何の形?」

友彦が尋ねると、朔は言った。

「……わからない。
  でも、なんか……落ち着きます」

友彦は、静かに微笑んだ。

「それが朔くんの“はじまり”だよ」

朔は、胸の奥が温かくなるのを感じた。

――僕にも、はじまりがある?

その思いは、朔の世界を静かに動かし始めた。

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