あるアーティストに潜む真実と嘘 〜この夏の展覧会 2024〜
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コラム
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ヨーゼフ・ボイスの展覧会に行ってきました。この展覧会を選んだ理由は、現代アートを学ぶ上で必ず出てくる重要な人物だからです。先日の記事で紹介したアンゼルム・キーファーも、このヨーゼフ・ボイスに師事していました。
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『現代アートらしい現代アート』
なんとなく現代アートが観たくて、アンゼルム・キーファー(Anselm Kiefer)の個展「Opus Magnum」に行ってきました。北青山のファーガス・マ…
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展覧会の作品を見ても正直、最初は全く理解できませんでした。帰宅後、インターネットでヨーゼフ・ボイスについて調べたところ、特にswissinfo.chの記事「戦後を代表するドイツ人芸術家ヨーゼフ・ボイス 偽りだらけの過去」に注目しました。この中で「ボイスは多くの点で嘘つきだった。自分の伝記を自由に創造しても罰は当たらない」とありました。彼の過去の多くが偽りだったことに驚かされました。
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この記事から推測すると、ヨーゼフ・ボイスは自らを「アーティスト ヨーゼフ・ボイス」として演じていたのかもしれません。同時代のアンディ・ウォーホルも同様にアーティストを演じていた部分があります。ピカソやブラックが絵画のボーダーレス化を進め、マルセル・デュシャンがアート作品のボーダーレス化を推進したように、ボイスはアートの考え方をボーダーレス化したと言えるでしょう。
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彼の個々の作品に特別な意味を見出すのではなく、彼が生み出した全体的な作品を通じてアートの新しい考え方を提示したと捉えると、ヨーゼフ・ボイス自身が一つの作品であり挑戦であったのだと感じました。ですので、個々の作品はむしろパフォーマンスであったのではないかと思います。
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今回の展覧会の見所は、日本の6名の現代作家がヨーゼフ・ボイスから何を受け継いだかという点にあると感じました。受付で展覧会の冊子をいただかないと、どの作品が誰の作品か分かりづらいので、来場される方はぜひお気をつけください。ジャイルギャラリーで9月24日まで開催されています。是非、足を運んでみてください!