キャリアの受け止め方|正解のない、問いに立つ

キャリアの受け止め方|正解のない、問いに立つ

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おはようございます。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。今日のテーマは、「正解のない、問いに立つ」についてです。

パソコンを開けば、AIが数秒で整った企画書や無駄のないスケジュールを差し出してくれます。その便利さに感心する一方で、目の前のタスクをただ処理していくだけの日々に、ふと「自分の仕事の本質はどこにあるのだろう」というモヤモヤを覚えることがあります。

AIが解ける問題、人間が立ち止まる問題

この戸惑いは、認知科学者ハーバート・サイモンの問題分類に照らしてみると、輪郭がはっきりと見えてきます。サイモンは、人間が直面する問題を「構造化された問題」と「構造化されていない問題」の二つに大別しました。前者は、ルールやゴールが明確で、過去のデータや手順に当てはめれば誰でも同じ正解にたどり着く問題です。これまでの学校教育や定型的な業務の多くは、まさにこの領域に属していました。

この「構造化された問題」の処理において、AIは圧倒的なスピードと正確性を誇ります。私たちがこれまで時間と労力をかけて培ってきた「素早く正解を導き出す」というスキルは、いまや機械が瞬時に肩代わりしてくれる時代になりました。

一方で、実際の現場やキャリアの局面を見渡してみると、私たちが日々向き合っているのは、ルールもゴールも存在しない「構造化されていない問題」ばかりです。そもそも何を課題とすべきか、前例のない変化の中でどちらへ向かうべきか、利害が対立する状況でどう合意を形成するか。こうした場面には、教科書通りの正解があらかじめ用意されていません。

正解のない問いに向き合う、3つのスタンス

こうした状況に直面したとき、私たちはどのようなスタンスで立ち向かえばよいのでしょうか。

一つは、「白地」の状況そのものを面白がる力です。あらかじめ道筋が決まっていない不確実な場面に出会ったとき、そこで思考をフリーズさせるのではなく、自分で新しいルールや道筋をつくり出すための余白だと捉え直す心の構えが、第一歩になります。二つ目は、不完全であっても自分なりの仮説を立てる勇気です。正解が分からないからと動けなくなるのではなく、現時点のデータと自らの直感を頼りに「まずこうではないか」と旗を立ててみる。AIを思考の壁打ち相手にしながら「なぜそう考えるのか」の輪郭を削り出し、小さく一歩を踏み出すことが、混沌とした状況を切り開く原動力になります。そして三つ目は、効率を超えた納得感をつくる対話力です。どれほどロジカルで正しい提案であっても、それだけでは人間の感情や組織は動きません。キャリアの相談現場で日々感じるように、利害の異なる人々の間に立ち、それぞれの想いや背景に寄り添いながら「この人たちと一緒に進んでいこう」という合意形成を生み出すプロセスは、まさに人間にしか担えない領域です。

おわりに

AIは私たちに、最短距離で正解にたどり着く方法を教えてくれます。それはとても頼もしい進化ですが、人生やキャリアの本当の面白さは、むしろ迷い、悩み、あえて遠回りしながら自分なりの答えを紡ぎ出すプロセスの中にこそ宿ります。

あらかじめ用意された正解を探すのではなく、誰も正解を知らない真っ白なキャンバスに向き合い、泥臭く問いを立て、自分なりの足跡を残していく。そんな人間らしい試行錯誤の価値は、AIがどれほど進化しても、決して色褪せることはないと私は思っています。

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出典
・Simon, H. A. (1973). The structure of ill structured problems. Artificial Intelligence, 4(3-4), 181-201.
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