キャリアの捉え方|暗黙知を、言葉にする

キャリアの捉え方|暗黙知を、言葉にする

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おはようございます。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。今日のテーマは、「暗黙知を、言葉にする」についてです。

長年の経験を積んだ人には、言葉では説明しづらい「勘」や「感覚」があります。この暗黙知は、AIに任せることができるものなのでしょうか。

暗黙知は、どうすれば言葉になるのか

アメリカの哲学者マイケル・ポランニーは、1966年の著作『暗黙知の次元』の中で、「私たちは、語ることができるより多くのことを知っている(we can know more than we can tell)」と論じました。言葉にして伝えられる「形式知」に対して、長年の経験から身についた直感や勘、感覚的な判断などは「暗黙知」であり、簡単には言語化・伝達できない、という考え方です。

この暗黙知を、どのように形式知へと変えていくのか。経営学者の野中郁次郎と竹内弘高は、1995年の著書『知識創造企業』で、知識が「暗黙知」と「形式知」の間を循環しながら、新しい知識が生まれていく過程を、「SECIモデル」として示しました。これは、共同化(経験を共有することで、暗黙知を暗黙知のまま伝える)、表出化(暗黙知を、比喩やたとえ、言葉にして形式知にする)、連結化(形式知同士を組み合わせ、体系立てる)、内面化(形式知を実践の中で、自分の暗黙知として身につける)という、4つの段階からなります。

このうち「表出化」は、言葉になっていない暗黙知を、比喩やたとえ、モデルなどを使って、言葉や概念として表現していく段階です。ベテランの「勘」や「感覚」を、他の人にも伝えられる言葉に変えていく過程、というイメージです。

「言葉にできない」は、本当にできないのか

一方で、暗黙知は、本当に言葉にできないものなのでしょうか。経営学者ガーレイは、野中・竹内の具体例について、暗黙知が本当に言葉になったという証拠は十分ではないと指摘しました。ただ、別の見方もできるように思います。認知タスク分析という手法を研究する専門家たちは、専門家自身が「説明できない」と感じていることの多くが、適切な聞き取り方によって、実際には言語化できることを示してきました。「できない」と感じているのは、本当に不可能だからではなく、まだ言葉にする機会や方法に出会っていないだけなのかもしれません。

おわりに

暗黙知をどう形式知にしていくかを考えてきて、私は、仕事や業務は、どれだけ感覚や勘に見えても、その根拠を一つひとつ辿っていくことで、少しずつ言語化し、説明できる部分を増やしていけるのだと思います。あらゆる仕事は、詰まるところ、今の自分がどんな状態にあるのか、どうして今これをやっているのか、という自分自身の行動や動作に意識を向けることから始まるのだと思います。そこから、それを仕組み化し、周りからの意見を少しずつ取り入れながら、改良を重ねていく。いわば実験のようなものです。暗黙知を形式知にしていく営みも、この積み重ねの中で、少しずつ形になっていくのだと思います。

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出典
・Polanyi, M. (1966). The Tacit Dimension. Routledge & Kegan Paul.
野中郁次郎・竹内弘高 (1995). 『知識創造企業』(The Knowledge-Creating Company). Oxford University Press.
・Gourlay, S. (2006). Conceptualizing knowledge creation: A critique of Nonaka's theory. Journal of Management Studies, 43(7), 1415-1436.
・Klein, G. A., Calderwood, R., & MacGregor, D. (1989). Critical decision method for eliciting knowledge. IEEE Transactions on Systems, Man, and Cybernetics, 19(3), 462-472.
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