おはようございます。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。今日のテーマは、「ちょうどいい、関わり方」についてです。
就活を控えたお子さんを持つ保護者の方から、「どこまで関わっていいのか分からない」という声を聞くことがあります。心配のあまり手を出しすぎれば過干渉になり、本人に任せすぎれば放任になる。この「ちょうどいい」加減は、どうやって見つけていけばいいのでしょうか。
「ちょうどいい」は、どこにあるのか
アメリカの発達心理学者ダイアナ・バウムリンドは、1960年代から70年代にかけて、親の関わり方と子どもの行動との関係を研究し、「権威的」「権威主義的」「許容的」といった養育スタイルを示しました。その後、この考え方は「応答性(子どもを温かく受け止めること)」と「要求性(期待や枠を示すこと)」という2つの次元から整理されるようになっています(Baumrind, 1966; 1967; 1971)。研究では、この権威的な関わり方が、子どもの自立性や社会的責任、達成などと関連することが示されています。
つまり、「ちょうどいい」というのは、過干渉と放任の中間をなんとなく取ることではなく、「温かく受け止めること」と「期待や枠を示すこと」を、どちらも疎かにせず、同時に満たし続けることなのかもしれません。片方を差し控えて釣り合いを取るのではなく、両方を手放さずに、均衡を保ち続ける、という感覚です。
分かっていても、難儀なこと
一方で、「温かさ」と「期待」を両方を均等に保ち続けると言われても、実際の場面でそれを行うのは、決してたやすいことではないように思います。例えば、お子さんが就活で落ち込んでいる姿を見れば、つい手を貸したくなりますし、逆に動きが鈍く見えれば、つい急かしたくなります。子どもの様子を見て心配になったとき、温かく受け止めながらも期待や枠を示す、という二つを同時に行うのは、理屈として分かっていても、とても難儀なことだと思います。
そのひとつの実践例として、まず始められることとすれば、手を貸す代わりに「問いかける」という関わり方を持ってみる。「不安なんだね」とまず気持ちを受け止めた上で、「じゃあ、どこから手をつけてみる?」と問いを渡す。答えを与えるのではなく、考える機会を渡すことで、温かさと期待を同時に示せることができるかと思います。これは、まさにキャリアコンサルタントが相談者に向き合うときの関わり方と近しいところがあります。
おわりに
保護者の関わり方について考えてきて、「ちょうどいい」とは、過干渉と放任の中間を取ることではなく、温かさと期待をどちらも手放さずにいること、そしてそれを問いかけという形で実践していくことなのだと思います。ただし、これは保護者に限った話ではないのかもしれません。何気なく発している言葉でも、いったん立ち止まって、「自分は今、どういう状況にある相手に、どんな言葉をかけようとしているのか」と、まず自分自身に問いかけてみる。自分が発する言葉に、深く関心を向けてみる。それは、家族だから、同僚だからという枠組みに限らず、誰に対しても当てはまる、普遍的な心がけなのだと思います。常日頃から自分自身に意識を向けることで、ようやく人への関わり方が見えてくるのだと思います。
出典
・Baumrind, D. (1966). Effects of Authoritative Parental Control on Child Behavior. Child Development, 37(4), 887–907.
・Baumrind, D. (1967). Child Care Practices Anteceding Three Patterns of Preschool Behavior. Genetic Psychology Monographs, 75(1), 43–88.
・Baumrind, D. (1971). Current Patterns of Parental Authority. Developmental Psychology, 4(1, Pt. 2), 1–103.
・Maccoby, E. E., & Martin, J. A. (1983). Socialization in the Context of the Family: Parent–Child Interaction. In P. H. Mussen (Ed.), Handbook of Child Psychology (4th ed., Vol. 4, pp. 1–101). Wiley.