キャリアの受け止め方|「しかない」を、あえて選ぶ

キャリアの受け止め方|「しかない」を、あえて選ぶ

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おはようございます。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。今日のテーマは、「『しかない』を、あえて選ぶ」についてです。

就活や受験の場面で、「もうあと3時間しかない」と焦ってしまうことがあります。同じ3時間でも、「まだ3時間もある」と感じられる場合もあります。「まだある」と思うとつい後回しにしてしまうけれど、「しかない」と思うからこそ、今すぐじっくり向き合おうと、行動そのものが変わることがあります。一般的には、「まだある」と捉える方が、気持ちに余裕が生まれると言われることが多いように思います。ですが、本当にそうなのだろうかと、考えることがあります。

「足りない」という感覚の、はたらき

行動経済学者のセンディル・ムッライナタンらの研究では、「足りない」という感覚そのものが、頭の中の処理能力を奪ってしまう現象が指摘されています。この指摘は、確かにその通りだと思う場面があります。一方で、「足りない」という感覚には、別のはたらきもあるように思います。時間が限られていると感じるからこそ、今何をすべきかに意識が集中し、行動につながっていく。そういう側面も、同じ感覚の中にあるのではないかと思います。

じっくり型だからこその、「しかない」

物事に、じっくりと丁寧にこだわって取り組みたいタイプの人ほど、時間はいくらあっても足りなくなりやすいように思います。こだわりたいことがあるからこそ、時間がかかる。だからこそ、私自身は、子どもが「もうあと〇ヶ月しかない」と焦っている姿を見たときも、それを「良くない焦り」とは捉えないようにしています。むしろ、「それだけ丁寧に向き合いたいんだな」と、その感覚を大切に見守ってあげたいと思っています。「まだある」と思うと、こだわりたい気持ちのまま、つい時間をかけ続けてしまうことがあります。「しかない」という感覚を持っておくことで、限られた時間の中で、どこまで丁寧に向き合えるかを、自分自身に問い続けることができるのだと思います。

心理学者のジュリー・ノレムが提唱した「防衛的悲観主義」という考え方にも、近い側面があるように思います。あえて「うまくいかないかもしれない」「時間が足りないかもしれない」と見込んでおくことで、油断せずに、入念な準備へと気持ちを向けていく。「しかない」という感覚も、焦りをなくすためのものではなく、丁寧に取り組むための準備の姿勢を保つためのものなのだと思います。

おわりに

「まだある」と「しかない」、どちらが正しいということではないのだと思います。ただし、我が家の場合は、「しかない」という感覚を、丁寧に取り組むための原動力として、これからも大切にしていきたいと思っています。

もし今、あたな自身も、時間がなくて焦っていたり、「まだ足りない」とモヤモヤを感じているとしたら、それはあなたが目の前のことに本気で、丁寧に向き合おうとしている証拠かもしれません。その焦りを無理に打ち消すのではなく、あえて前もって十分な時間を確保し、その物事に深く向き合える、自分らしい一歩を踏み出すための大切な原動力へと変えていけたら素敵ですね。

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出典
・Mullainathan, S., & Shafir, E. (2013). Scarcity: Why Having Too Little Means So Much. Times Books/Henry Holt.
・Norem, J. K. (2001). The Positive Power of Negative Thinking. Basic Books.
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