キャリアの見つめ方|学ぶ時間を、誰のために使うのか

キャリアの見つめ方|学ぶ時間を、誰のために使うのか

記事
学び
おはようございます。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。今日のテーマは、「学ぶ時間を、誰のために使うのか」についてです。

キャリアコンサルタントとして相談を受けていると、「資格を取りたいと思っているのですが、なかなか手がつけられません」「役割が多すぎてなかなか学習時間を持てません」という声を聞くことがあります。学生時代は、毎日のように机に向かい、学ぶことが生活の一部になっていた方でも、社会人になってからは、同じようにはいかなくなる。学生の頃は当たり前だった学びが、どうして大人になると難しくなってしまうのでしょうか。

役割が増えると、学ぶ時間が減るのはなぜか

ドナルド・E・スーパーは、1957年の著作『The Psychology of Careers』で基礎となる考え方を示し、その後1980年の論文("A life-span, life-space approach to career development," Journal of Vocational Behavior, 16(3), 282-298)で、人のキャリアを「生涯(life-span)」と「生活空間(life-space)」の両面から捉える理論へと発展させました。この理論を図示したものが「ライフ・キャリア・レインボー」で、人は、子ども・学生・余暇を楽しむ人・市民・労働者・配偶者・家庭を支える人・親・年金生活者という、複数の役割(role)を、人生の時期ごとに重なり合わせながら同時に生きている、とされています(Super, Savickas, & Super, 1996)。学生の頃は、「学生」という役割が、生活の大部分を占めていました。社会人になると、労働者としての役割に加えて、配偶者、親、市民など、担う役割そのものの数が増えていきます。学ぶ時間が取れなくなるのは、一つひとつの役割にかかる時間が増えるからだけではなく、向き合うべき役割の数そのものが、いくつも並び立つようになるからなのかもしれません。
ライフキャリアレインボー.png

他者の期待に応える日々のなかで

役割が増えれば増えるほど、それぞれの役割から寄せられる期待も増えていきます。早起きをしても、就寝の時間を削っても、それぞれの期待にちゃんと応えようとすれば、どうしても時間が足りなくなってしまう。これは、ごもっともなことだと思います。一方で、こうして役割の期待に応え続ける日々の中では、評価の基準が、どうしても他者の側に置かれやすくなります。会社からの評価、家族からの期待、周囲からの見る目。それらに応え続けることは、もちろん大切なことですが、その評価軸は、自分の外側にあるものです。

おわりに

他者からの期待に応え続けようとすることは、多くの気疲れが生じることだと思います。一方で、自分自身のために頑張ることの気疲れの度合いは、どうでしょうか。1日1時間だけでも、他者のためではなく、自分自身のために時間を使ってみる。私は、「まずは100日、続けてみましょう」と、キャリアコンサルタントとして相談者の方にいつもお伝えしています。資格を取ったり、検定に合格したりすると、会社の評価や世間の評価だけに頼らずとも、自己評価が得られます。「ここまで勉強したから、合格できたんだ」と、自分の成長を、自分自身で証明できる。学ぶ時間は、誰かが用意してくれるものではなく、自分の手で確保していくもの。その積み重ねが、他者からの評価だけに委ねられない、自分自身の成長の証になっていくのだと思います。

20261015_footer.png
出典
・Super, D. E. (1957). The Psychology of Careers. Harper.
Super, D. E. (1980). A life-span, life-space approach to career development. Journal of Vocational Behavior, 16(3), 282–298.
・Super, D. E., Savickas, M. L., & Super, C. M. (1996). The life-span, life-space approach to careers. In D. Brown & L. Brooks (Eds.), Career Choice and Development (3rd ed.). Jossey-Bass.
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す