キャリアの捉え方|何を変え、何を守るのか

キャリアの捉え方|何を変え、何を守るのか

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おはようございます。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。今日のテーマは、「何を変え、何を守るのか」についてです。

就職活動では、「なぜこの仕事をしたいのか」を問われる場面が多くあります。一方で、「なぜ企業は人を採用したいのか」という問いは、意外と語られることが少ないように思います。企業にとって、人を採用する理由は、必ずしも一つではなく、欠員の補充、事業の拡大、新しい知識の獲得など……。ただし、そもそも、どうして企業には人が必要なのでしょうか。

どうして人が必要なのか

経営学者チェスター・バーナードは、1938年の著書『経営者の役割』の中で、組織を「2人以上の人々による、意識的に調整された活動のシステム」と定義しています。一人では時間にも体力にも限りがありますが、複数の人が力を合わせることで、一人では到達できない成果に届くことがあります。バーナードは、組織をそのための協働の仕組みだと捉えました。企業もまた、人の集合体であり、何かを成し遂げるために人同士が力を合わせる場だと言えそうです。

では、人という形で協働する企業には、何が求められているのでしょうか。経営学者デイビッド・ティースらは、1997年の論文で、「ダイナミック・ケイパビリティ」という考え方を示しています。これは、企業が環境の変化に対応するために、内部・外部の資源や能力を組み合わせ、必要に応じて再構成していく力を指します。ここから見えてくるのは、企業が持続していくために大切なのは、常に変化し続けることそのものではなく、必要なときに変化できる状態を保っていることなのかもしれません。

何を変え、何を守るのか

一方で、企業の中には、売る商品や働き方、使う技術をその時々で変えながら、理念や顧客への姿勢だけは、何十年も変えていないところもあります。老舗と呼ばれる店が、味や素材、仕込みの時間だけは一切変えず、経営のやり方や発信の仕方は時代に合わせて更新していく。そうした姿を見ると、これは現状維持ではなく、「これだけは手放さない」という、むしろ能動的な選択であって、この「変えるべきものと、変えてはいけないものを見極め続ける」という営みこそが、人にしかできないことなのだと思います。

つまり、企業が人を必要とするのは、労働力としてでも、知識としてでもなく、「変化と不変を見極め続ける」という、人にしかできない営みを、企業自身が手放せないからなのではないかと思います。機械や仕組みは、作業を担うことはできます。一方で、「私たちは何を大切にし続けるのか」という問いを、最終的に引き受けるのは、人であり、だからこそ、採用とは、単に人手を増やす行為ではなく、その「見極め続ける力」を、企業の中に増やしていく行為なのだと思います。

おわりに

企業が人を必要とする理由を考えてきて、私は、採用とは単なる人手の確保ではなく、「何を変え、何を守るのかを見極め続ける力」を、企業の中に増やしていく営みなのだと思います。そして、それは就職活動をするお子さんにも、同じように、就職活動は、単にどこかの企業に選ばれるための活動ではなく、自分自身が何を大切にしたいのか、この日本で、どのような事業を持続可能なものにし、後々まで伝承していきたいのかを深く知り、見極めていく、一つの機会にもなれるのだと思います。

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出典
Barnard, C. I. (1938). The Functions of the Executive. Harvard University Press.
Teece, D. J., Pisano, G., & Shuen, A. (1997). Dynamic capabilities and strategic management. Strategic Management Journal, 18(7), 509–533.
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