キャリアの歩き方|早さの、使いみち

キャリアの歩き方|早さの、使いみち

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おはようございます。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。今日のテーマは、「早さの、使いみち」についてです。

政府が示す採用選考のスケジュールでは、就職活動は、卒業・修了年度に入る直前の3月から始まるとされています。けれど、ONE CAREERの調査によると、2027年卒業予定の学生の約半数は、2025年1月以前、つまり大学2年生の終わりから3年生の初めごろまでに、すでに就職活動を始めていたそうです。どうして、ここまで早く動き出す学生が増えているのでしょうか。

まずは制度を知る

背景には、2022年6月の三省合意(文部科学省・厚生労働省・経済産業省)の改正があります。これにより、一定の要件を満たすインターンシップで得た学生情報を、企業が2025年卒以降の採用選考に活用できるようになりました。すべてのインターンシップが選考の入口になったわけではありませんが、企業がインターンシップを通じて学生と接点を持ち、その後の採用活動にもつなげられるようになったことで、学生にとっても、早い段階から企業を知る機会が増えていきました。

こうした流れの中で、学生はどのようにインターンシップ先を選んでいるのでしょうか。

インターンシップ先の選び方

2026年卒の調査になりますが、マイナビの調査では、68.2%の学生が就活準備でSNSを使ったことがあり、中でもLINE(公式アカウント)45.6%、X36.4%、Instagram32.7%が多く利用されています。学生はSNSなどを通じて、早い段階から企業の情報を集め、自分に合う企業を探していることがうかがえます。

就職活動を早期に動くことのメリットとは

具体的に考えられるメリットとしては、いくつかあるように思います。一つは、複数の業界や企業に触れる時間そのものが増えることです。情報収集を早く始めれば、まだ志望業界を絞り込む前の段階で、幅広い選択肢に触れることができます。もう一つは、自己理解と仕事理解をすり合わせる時間が確保できることです。早い段階で色々な企業の情報に触れることで、自分が何を大事にしたいのか、どんな働き方が合っているのかを、時間をかけて言葉にしていくことができます。さらに、選考が本格化する前に、一度失敗したり、うまくいかなかったりする経験を積めることも、メリットの一つかもしれません。エントリーシートの書き方や面接の受け方は、場数を踏むことで磨かれていく部分もあると思うので、早く動いた分だけ、本命企業の選考を迎える頃には、経験値が上がっている可能性があります。

本来の、早期化の在り方とギャップ

企業側の早期化には、早い段階から学生との接点をつくり、採用につなげていくというねらいがあります。一方で、学生にとっても早期化は「早く知って、じっくり比較検討する」という、意思決定の前段階、準備期間をより多く確保することにもつながます。

ここでじっくりと考えてみたいことは、「企業と学生の『早期化』が同じ言葉でありながら、目的が噛み合っていない可能性がある。」ということです。

それは、本来、学生側は時間を「引き延ばす」ために早く動いているのですが、企業側の採用活動も早まることで、学生が比較検討のために確保したかった時間が、十分に残らなくなる可能性があります。学生からすれば、早期化した意味が薄れてしまうように私は感じます。

そう考えると、政府の日程ルールが担ってきた役割についても、改めて考えさせられます。政府(就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議)が示す日程のルールは、「広報開始はいつから、選考開始はいつから」という形で、学生が学業と就職活動を両立しながら、企業を比較検討するための時間を考えるうえでも、ひとつの目安になっていたのだと思います。ところが、このルールは法的拘束力を持つものではないため、企業の採用活動がその目安よりも早まってしまい、学生の早期化だけが独り歩きして、本来伴うはずだった比較検討の時間は増えないまま、というねじれが起きているように感じます。

おわりに

制度という外側の仕組みが機能しきれない今、学生一人ひとりを守るのは、結局、本人がその構造にどれだけ気づけているか、なのかもしれません。そして、その気づきを、一歩引いた視点から一緒に整理していくことこそ、キャリアコンサルタントに求められている役割のひとつだと、私は思っています。早さに流されず、学生自身が自分の目的を見失わないよう、その傍らで、小さな灯になれたらと思います。

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出典
【2027年卒 就活実態調査】2027年卒の学生の約半数が、2025年以前から就活を開始 | ONE CAREER(調査期間:2025年1月17日〜31日、有効回答100件)
SNS就活最前線!SNSを活用する学生の事情(第1章) | マイナビキャリアリサーチLab(「2026年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(10月)」、有効回答1,908件)
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