おはようございます。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。今日のテーマは、「その資格、国がお金を出してくれるかもしれません」についてです。
「何か資格を取ってみたい。でも、費用がネックで踏み出せない」――そんな方に知っていただきたいのが、教育訓練給付金という国の制度です。正確には、資格そのものに給付されるわけではなく、厚生労働大臣が指定した「教育訓練講座」を受講すると、一定の要件を満たした場合に、その費用の一部が支給される仕組みです。
「今さら勉強しても」「仕事をしながら資格なんて」「講座って高そう」「手続きも難しそう」「そもそも自分が対象なのかな」。そんな風に、学び始める前に、そんな理由がいくつも浮かんでくることがあると思います。でも、その一つひとつを調べてみると、「やらない理由」ではなく、「やってみる方法」に変わることがあります。
「なんだか手続きが大変そう」という思い込み
制度というものは、知らない言葉が並んでいるだけで、それだけで難しく感じてしまうものだと思います。「支給要件照会」「ジョブ・カード」「訓練前キャリアコンサルティング」。言葉だけを見ると、なんだか大変そうです。
でも、一つひとつ分解してみると、「自分が対象か確認する」「必要な手続きをする」「学ぶ」「申請する」という、シンプルな流れになっています。面倒に感じるのは、制度そのものより、知らない言葉が並んでいるからということもあるのかもしれません。
やることを、分解してみる
①講座を選ぶ前に、対象かどうかを確認する
厚生労働省の検索システムでは、資格名、地域、eラーニングの有無、訓練期間、訓練経費などから、気になる講座が対象になっているかを調べることができます。ここは、インターネットで完結します。
気になる講座を運営する資格スクールのサイトでも、「教育訓練給付金対象講座」といった案内が見つかることがあります。ただし、資格の種類そのものが対象区分に含まれていても、その特定の講座が実際に指定を受けているとは限りません。資格会社のサイトで見つけた情報は、厚生労働省の検索システムでも、あわせて確認しておくと確実です。
気になる講座が見つかったら、1校だけで決めず、まずは5校ほど比較してみることをおすすめします。可能であれば、無料説明会に参加してみるのもよいと思います。同じ資格でも、学び方やサポート体制は、スクールによって大きく異なります。
②自分が給付の対象になるか確認する(支給要件照会)
講座への申し込み・受講開始前に、自分が給付の対象となるかを必ず確認しておきましょう。問い合わせ先は、お住まいの地域を管轄するハローワークです。勤務先の近くではなく、住所地が基準になるので、まずは「ハローワーク 管轄」などで、自分の担当窓口を調べておくと、その後の手続きがスムーズです。
「教育訓練給付金支給要件照会票」という書類に記入し、本人確認書類とともにハローワークへ。電話ではできませんが、来所のほか、代理人や郵送、電子申請でも対応できます。
③(給付率の高い制度を使う場合)事前にキャリアコンサルティングを受ける
④講座を受講する
⑤所定の時期に、ハローワークへ支給申請
手続きは制度によって異なりますが、基本の形は、受講前の確認と、受講後の申請です。
いくら戻ってくるのか
◆一般教育訓練給付金:20%(上限10万円)
◆特定一般教育訓練給付金:40%、条件を満たすと最大50%(上限25万円)
◆専門実践教育訓練給付金:50%(6か月ごとに支給)、条件を満たすと最大80%(年間上限64万円)
たとえば、給付対象となる受講費用が50万円だった場合、最大80%なら、単純計算で40万円が支給される可能性があります。そうすると、結果、10万円で受講できることになります。一般教育訓練給付金であれば、20%が支給されますが、上限は10万円なので、50万円の講座でも戻ってくるのは、10万円までになります。
※実際の支給額は、講座の指定状況、支給要件、受講期間、上限額などによって異なります。
どんな資格が対象なのか
給付率によって、対象となる講座の傾向も変わってきます。
一般教育訓練給付金は、対象の幅が広く、簿記検定、宅地建物取引士、TOEIC、ITパスポート、税理士、社会保険労務士、Webクリエイターなど、幅広い分野の講座が指定されています。
特定一般教育訓練給付金は、一般より再就職やキャリアアップに直結する講座に絞られています。司法書士、行政書士、大型自動車第一種・第二種免許、介護支援専門員実務研修、介護職員初任者研修などが対象です。
専門実践教育訓練給付金は、看護師、介護福祉士、社会福祉士など、中長期的なキャリア形成に資する国家資格の養成課程も含まれており、キャリアコンサルタントの養成講座も対象になっています。
そして、いずれの区分も、対象になるのは「厚生労働大臣があらかじめ指定した講座」だけです。同じ「簿記の勉強」でも、指定を受けた講座で学ぶ場合と、独学や指定を受けていないスクールで学ぶ場合とでは、給付の対象になるかどうかが変わってきます。だからこそ、講座を選ぶ前に、その講座自体が対象になっているかを確認する、先ほどの①の一手間が大切になります。
この制度の、面白いところ
「えっ、キャリアコンサルタントとの面談まで必要なの?」そう思われるかもしれません。でも私は、これはむしろ大切な時間だと思っています。特定一般・専門実践教育訓練給付金を利用する場合には、原則として受講前にキャリアコンサルティングを受ける必要があります。資格を取ること自体ではなく、「その学びを、これからのキャリアにどうつなげるのか」を、一度言葉にしてみる。そのための時間でもあるからです。学ぶことを決めるのは自分です。使える制度を調べるのも、自分です。
おわりに
仕事を頑張って得てきたものを、少しだけ、自分自身のキャリアにも還元してみる。この資格を取ることも、今まで頑張ってきたご自身への、キャリアのご褒美なのだと思います。ただし、もらえるものは、ちゃんともらう。それも、賢いキャリアの育て方の一つだと思います。
知らないまま諦めてしまうのは、少しもったいないと思います。まずは、今気になっている資格を一つだけ思い浮かべてみてください。そして、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで、「資格名」を入れて検索してみる。
今日やることは、それだけで十分です。
※教育訓練給付金には、過去の受給歴などによって利用に関する要件があります。詳しくはハローワークでご確認ください。制度の詳細や最新の情報も、あわせてハローワークや厚生労働省でご確認ください。