キャリアの受け止め方|「遠慮」という字が、教えてくれること

キャリアの受け止め方|「遠慮」という字が、教えてくれること

記事
学び
おはようございます。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。今日のテーマは、「『遠慮』という字が、教えてくれること」についてです。

働きながら、家族の介護をしている方がいらっしゃいます。マイナビの調査によると、20〜60代の就業者のうち、その割合は6.5%だったそうです。年代別に見ると、60代(8.3%)が最も高く、次いで20代(7.5%)という結果でした。

孤独の理由は、思っていたものと少し違った

同じ調査で、介護をしている人は、していない人と比べて、私生活で孤独や孤立を感じている割合が13.3ポイント高いという結果もあったそうです。

「金銭面での心配」が理由の一位でしたが、これは介護をしていない人との差がわずか3.7ポイントで、誰にとっても共通する悩みでした。一方、介護をしている人がしていない人より圧倒的に高かったのは、「介護など家族の世話があるため」という項目で、その差は18.1ポイントにのぼります。孤独の背景には、お金の心配だけではなく、介護など家族の世話によって、人と会う時間や、自分のために使える時間が減っていくこともあるのだと思います。

「言い出しにくさ」という、もう一つの壁

さらに気になる調査結果がありました。介護に関する支援を職場に伝えることについて、「出産・育児よりハードルが高い」と感じる人が46.8%にのぼるそうです。両立支援制度がある企業でも、実際に介護をしている人の42.2%が、いずれの制度も活用していないという結果もあったそうです。

出産や育児は、周囲から祝福され、共有しやすい出来事です。でも介護は、家族の衰えという、本人にとって受け止めるだけでも重い出来事です。それを職場で話すことに、ためらいが生まれるのは、自然なことなのだと思います。

「遠慮」という字が、示していること

「遠慮」という言葉を、その字のまま眺めてみると、「遠くを慮る」と書きます。相手を思いやっているつもりで、実は、相手のことを深く考える手前で、立ち止まってしまっている。そんな状態を表しているのかもしれません。

介護をしている本人は、「評価に響くかもしれない」と考えて、言い出すことを遠慮します。周囲の同僚や上司も、「踏み込みすぎたら申し訳ない」と考えて、声をかけることを遠慮します。どちらも、相手を気遣う気持ちから生まれた遠慮です。でも、その結果、思慮そのものが、お互いから遠ざかってしまうのだと思います。

相談する前に、できることもある

介護における意思決定は、時に人の生死や尊厳に関わる、重い判断です。だからこそ、誰かに相談したいと思う場面も、当然あると思います。

ただ、私は、相談する前にできることも、もう一つあるように感じています。それは、自分自身で、少しずつ知識を蓄えておくこと。なんとなくの不安のまま相談すると、話す方も、聞く方も、漠然としたやり取りで終わってしまうことがあります。でも、自分の中に少し知識があると、「ここで迷っている」「これが分からない」と、具体的に言葉にできるようになります。相談の解像度が上がる、という感覚に近いかもしれません。

介護に関する資格や検定は、実はいくつも存在します。学ぶこと自体が、孤独を埋める答えになるとは限りませんが、いざという時に、自分の言葉で人に助けを求められるようになるための、一つの備えにはなるのかもしれません。さらには、もしかしたら、この資格や検定取得での証明こそが、ゆくゆくの自身のキャリアにも役立つ日がくるかもしれません。

おわりに

遠慮は、思いやりから生まれます。でも、思慮を遠ざけたままにしておくのではなく、少しだけ、その距離を縮めてみる。そのための一歩は、誰かに声をかけることかもしれませんし、自分の中に少しずつ知識を蓄えておくことかもしれません。

自分で決める。けれど、自分だけで決めない。――介護も、仕事も、一人で抱え込まなくていいのだと、私は思っています。

20260905_footer_遠慮は思いやりから生まれる.png


【参考・出典】 ※本記事では、以下の調査結果を参考にしました。
■ 株式会社マイナビ
「【20〜60代就業者に聞いた】ワーキングケアラーの実態に関する調査」
(2026年7月22日公開)
・ワーキングケアラーの割合:6.5%
・年代別では60代8.3%、20代7.5%
・孤独・孤立を感じる割合の差:13.3ポイント
・孤独を感じる理由
 「金銭面での心配」30.3%
 「介護など家族の世話があるため」21.3%
■ NTTデータ経営研究所
「ワーキングケアラー支援の実態とサービスニーズの調査」
(2026年2月26日発表)
・「出産・育児よりハードルが高い」:46.8%
・制度導入企業でも「いずれも活用していない」:42.2%
※各数値および調査内容は、公開資料をもとに確認しています。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す