キャリアの捉え方|「AIに奪われない仕事を探す」――その発想さえ、危ういのかもしれない

キャリアの捉え方|「AIに奪われない仕事を探す」――その発想さえ、危ういのかもしれない

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おはようございます。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。今日のテーマは、「AIに奪われない仕事を探す」――その発想さえ、危ういのかもしれない

「AIに仕事を奪われるから、AIに負けないスキルを身につけよう」。もっともらしく聞こえる言葉です。ただ、今日はあえて、この発想そのものに疑問を投げかけてみたいと思います。「AIに代替されにくい仕事・スキルを探せば安心できる」という発想そのものが、すでに危ういのかも?というそんな問いです。

エントリーレベルの仕事から、変化は始まっている?!

今、特に大きな影響を受けているのが、新卒・若手世代です。世界経済フォーラムが発表した「AIとエントリーレベル職の未来」という報告書では、日本国外の状況では、AIの台頭によってエントリーレベルのキャリアパスに大きな圧力がかかっていることが指摘されています。ハーバード大学の調査では、生成AIを導入した企業において、若手の雇用が9%減少し、エントリーレベルの採用は2023年以降、四半期ごとに80%も落ち込んでいるというデータもあります。ZipRecruiterの2026年版調査でも、新卒向け求人に占めるエントリーレベル職の割合は、3年前の44%以上から、2026年初頭には38.6%まで下がっているそうです。ただし、ここで一つ、公平のために付け加えておきたいことがあります。ある研究機関の分析では、テック業界のエントリーレベル雇用の減少は、生成AIよりも金利サイクルの影響が大きいという指摘もあります。デンマークの労働市場データでは、AIによる収入や労働時間への影響が統計的にほぼゼロだったという結果も出ており、「AIがすべての仕事を破壊している」と単純化するのは、まだ早いのかもしれません。

なぜ、「奪われない仕事を探す」発想が危ういのか?!

あくまで今回示したのは日本国外のこととはいえ、何かしらの変化が起きていること自体は事実です。ここで大切なのは、「今のAI」を基準にして、未来の安全地帯を探すことへの限界だと思います。10年前なら、「この仕事はAIにはできないだろう」と思われていたことが、今では多くできるようになっています。これから先も、「人間にしかできない」と思っている領域そのものが、変化し続ける可能性があります。つまり、今この瞬間に「安全な仕事」を特定できたとしても、その安全は長くは続かない場合もあるということです。

だからこそ、一本の糸に、人生を預けない

だからこそ、「AIに奪われない仕事を探す」より、「AIによって前提が変わっても、自分で状況を読み、選択肢をつくり、方向転換できる人になる」ことの方が、ずっと確かな備えになると思います。「この資格さえあれば」「この会社なら」「この職業なら」。そうした一本の糸だけに人生を預けるのではなく、複数の知識・経験・人とのつながり・資格・興味という、幾重もの糸を編んでおく。すなわち、「蜘蛛の巣」のような構造をつくっておくイメージです。一本の糸が切れても、他の糸につなぎ直せる。そんな状態をつくっておくことが、これからの時代の備えなのだと思います。

深めることと、広げることは、両立する

以前の記事で、キャリアは木を育てるようなものだと書きました。まず一つの資格に腰を据えて、根を張り、幹を太くする、という話です。今日の「一本の糸に頼らない」という話とは、一見これは矛盾するように聞こえるかもしれません。けれど、木を思い浮かべてみてください。根は、細い一本の根だけをどれだけ深く伸ばしても、太い幹を支えることはできません。土の中では、複数の根が、それぞれ深く張りながら、同時に広く伸びている。その掛け合わせがあって初めて、幹は太く育っていきます。つまり、「深める」ことと「広げる」ことは、対立するものではないのだと思います。一つのことを極める姿勢を持ちながら、同時に、その根をいくつも土の中に張り巡らせておく。深めつつも広げることこそが、木にとっても、キャリアにとっても、揺るがない根幹をつくるのだと思います。もう一つ、大切な感覚があります。それは、たとえ一本の糸であっても、その糸自体をどれだけ太くできるかということです。糸を張り巡らせて数を増やすことと同時に、それぞれの糸を太くしていく作業も欠かせません。広げるだけで、どの糸も細いままでは、いざというときに支えきれません。広げながら、同時に太くする。この両方があって、初めて頼れる備えになるのだと思います。それをキャリアに変換したならば、あなたはどんなイメージを想像することができますか?

「なくなるかどうか」より、「なくなったときにどうするか?」

「この仕事は将来なくなりますか?」という問いに、正確に答えられる人は誰もいません。だからこそ、なくなるかどうかを当てにいくより、なくなったときにどう対処するかを、あらかじめ考えておく方が、ずっと実践的だと思います。「もしAIによって今の仕事が変わったら」「もし希望する会社に入れなかったら」「もし資格が思ったように活かせなかったら」「もし途中で興味が変わったら」。こうした「もし」を、キャリアのハザードマップとして、今のうちから描いておく。すなわち、予期せぬ出来事を、予測可能な出来事に変えておくということです。

あなたが今、一本の糸に預けているものは何ですか?

さて、ここで少し立ち止まって、考えてみてください。今、あなたが「これさえあれば大丈夫」と思っている資格、会社、職業、スキルはありますか。もし、それが一本きりだとしたら、他にどんな糸を編み足せそうでしょうか。

おわりに

「AIに負けない人」を目指すことすら、AIの進化によって、いずれ意味を持たなくなるかもしれません。本当に必要なのは、今の前提が変わったときに、問いを立て直せる人になることだと思います。想定していなかった出来事がやってきたとき、慌てず、こう言えるかどうか。
じゃ〜どうする?®
この前向きな自問自答こそが、AI時代のキャリア論なのだと思います。


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