感情には、味がある
「感情の味」こそが、人生を左右する
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感情には、味がある。
これは、新しく始まる連載です。
同じ言葉の感情でも、生まれ方によって、手触りがまるで違う。
そんな、感情の「質」にまつわる話を、ゆっくり綴っていきます。
案内するのは、響子という女性。
彼女の声を通して、少しずつ言葉にしていきます。
ねえ、あなたにも、こんな経験があるんじゃないかな。
同じ「嬉しい」でも、誰かに褒められた嬉しさと、大切な人とただ他愛のない話をしていて生まれる嬉しさって、まるで違う手触りをしてる。
同じ言葉なのに、味が違う。
そのことに気づいてる人は、案外少ない。
名乗るのが遅れたね。
響子(きょうこ)といいます。
あたしがどういう人間かは、追い追い話していくとして。
今日は、ずっと前から気づいてたのに、言葉にしてこなかったことを、はじめて言葉にしてみようと思う。
あたしは、感情って「味わうもの」だと思ってる。
甘い、辛い、苦い。
味には違いがある。
でも、どんな味でも「美味しい」がちゃんとあれば、それは満たされる。
感情も同じ。
充実感、満足感、幸福感、快感。
味は違うけど、質が高ければ、どれもあたしたちを満たしてくれる。
そしてこれは、単なる比喩の話じゃない。
この「感情の味」こそが、人生を左右してる。
関係も、仕事も、健康も。
今どんな味に自分がいるか、それがそのまま、その人の在り方を作っていく。
そうあたしは感じてる。
だから今日から、この味わい方を、少しずつ言葉にしていきたい。
味には、三つの違いがある
まず、今の自分がどんな味の中にいるか。
それを見分ける手がかりを、三つ持っておくといい。
一つ目は、続く時間。
快感は一瞬で鋭く、すぐに引いていく。
幸福感はじわっと長く続く。
満足感は、何かが終わったときにふっと訪れる。
充実感は、常に背景に流れているような味。
二つ目は、どこから来るか。
快感は身体から。
幸福感は誰かとのつながりから。
満足感は、何かを成し遂げたところから。
充実感は、ただ自分がそこにいる、という存在そのものから。
三つ目は、自分から動いて掴むものか、訪れるのを受け取るものか。
快感や幸福感は、どちらかというと訪れてくるもの。
満足感や充実感は、自分の在り方や行動で育てていけるもの。
この三つを知っておくだけで、「今、自分はどの味の中にいるんだろう」って、ふと立ち止まって確かめられるようになる。
味を、見つけにいく
味わうためには、まずその味が、そこになくちゃいけない。
じゃあ、どうやって見つけるか。
あたしが使ってる入口を、三つ話したい。
まず、記憶から呼び起こす方法。
過去に一度でも味わったことのある感情は、今ここに、もう一度連れてこられる。
ただ、当時の出来事を思い出すだけじゃ足りない。
あの時いた場所の光。
聞こえていた音。
身体のどこにあった感覚。
交わした言葉。
どの扉から入るかは、記憶によって違うから、いくつも扉を持っておいて、その記憶に合う扉を、その都度探ればいい。
次に、今すでにある微かな味に気づく方法。
これ、実はあたしたちの多くが、そもそも「探していい」って思ってないだけなのかもしれない。
忙しさの中で、探すという発想自体がない。
だから、いつでもいいから、自分に聞いてみる。
「今、何か微かに、いい感じがしないかな」って。
それだけで、気づいていなかった味に、ふっと触れられることがある。
三つ目は、少し毛色が違う。
きっかけを、自分から作りに行く方法。
その味が生まれやすい場所に、自分から足を運ぶ。
その味を引き出してくれる人や体験を、自分で選んで、関わりに行く。
大切な人に会いに行くこと。
好きな景色を見に行くこと。
それ自体が、もう能動的な選択になる。
この三つに、正しい順番はない。
どれから入ってもいいし、組み合わせてもいい。
見つけたら、ただ、そこにいる
味を見つけたあと。
ここから先が、たぶん一番大事なところ。
あたしたちはつい、見つけた感情を、どうにかしようとしてしまう。
分析したり、言葉で説明しようとしたり、もっと大きくしようと頑張ったり。
でも、違うと思う。
味が十分にリアルだったら、そこから先にすることは、もう何もない。
ただ、その味と一緒にいるだけでいい。
分解しない。
名前もつけない。
ただ、留まる。
不思議なことに、味が本当にリアルなら、この「ただ留まる」は、頑張らなくても自然と起きる。
逆に言えば、無理に留まろうとして留まれないなら、それはまだ、味が薄いだけ。
焦らなくていい。
もう一度、入口に戻ればいいだけだから。
これから
今日話したのは、まだ入口の入口。
観測して、味を見つけにいって、ただ、そこに留まる。
この繰り返しが、あたしたちの日々の質を、少しずつ変えていく。
あたしはそう信じてる。
次は、この四つの味、充実感、満足感、幸福感、快感を、もう少し一つずつ、丁寧に味わっていきたい。
またここで、話すね。
♪ 夕月