「辞め時」を考える

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ビジネス・マーケティング
今回は今読んでいるAnnie Duke の『Quit』と言う本をご紹介します。この本では、「これまで投資してきたから」というサンクコストだけで物事を続けてしまう私たちの本能に、真正面から切り込む内容です。

特に印象に残ったのが、著者が語る “jumping the shark(潮目が変わる瞬間)” の考え方です。もともとはアメリカの人気テレビドラマ「Happy Days」のエピソードが由来の言い回しですが、どれほど人気があるドラマでもある点から下降線を辿り始め、最終的には打ち切りになってしまいます。すでに下り坂に入り始めている取り組みを、どこで見切るべきか――その判断基準を言語化する重要性です。

本の中では、著者がCDPベンダーのmParticleという企業をコンサルした際に「いつ撤退すべきか」の kill criteria(中止基準) を定義した事例が紹介されています。例えば、

- 最初の関心が「価値」ではなく「値段」に向いている
- こちらが提供可能な成功パターンと、相手が求める条件が根本的に合致していない
- そもそもRPFが競合他社に強く影響を受けている

こうしたサインは、冷静に見ると “赤信号” であることが多いです。この考え方は、私がいる ソフトウェアプリセールスの世界 で非常に重要です。

日々、多くの案件が舞い込む中で、
- どれにリソースを投下すべきか
- どこが失速しているのか
- どの案件が最も戦略的なインパクトを生むのか

こうした判断を、限られた時間の中で行う必要があります。

案件を失うこと自体はゲームの一部です。本当に問われるのは、「予兆をどれだけ早く見抜けたか」「そのリソースを別の案件に振り向けていれば、もっと大きな成果が出たのではないか」という視点です。

もちろん、後から振り返れば誰でも正しい判断ができます。難しいのは「渦中にいるとき」です。

プリセールスや営業の多くは諦めず、粘り強く努力する事でそれまで成功してきたので、撤退という判断は彼らの本能に逆らう行為でもあります。

だからこそ、事前にkill criteriaを持っておくことが、オペレーションの規律になります。

もちろん現実はきれい事では済まず、例外もグレーゾーンも山ほどあります。しかし基準がなければ、すべてが例外になり、判断は属人的で再現性のないものになってしまう。

そして、こうした意思決定の積み重ねが、プリセールスの仕事を奥深く、そして飽きないものにしているのだと思います。

『Quit』は非常に示唆に富む一冊でした。今回の記事では本業でどうこの考え方を適用出来るかについて考えましたが、転職を考える時、不健全な人間関係を断ち切る場合や株式投資で損切りを考えるときにも有効です。意思決定の質を上げたい方には強くおすすめします。
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