日本におけるコワーキングスペース市場は近年急速に拡大しています。2022年12月時点で全国のコワーキングスペース数は推計2,129施設に達しており、2010年代から着実に増加を続けています。
特に2019年以降の伸びが著しく、2019年6月に799施設だったものが2021年12月には2,042施設と2年半で2.5倍以上に増えました。
この急成長の背景には、以下のような社会的動向が影響しています。
リモートワーク・テレワークの普及
2020年の新型コロナウイルス感染拡大を機に、多くの企業でテレワークが急速に広まりました。感染防止の観点から在宅勤務が推奨され、従来オフィスで働いていた会社員もコワーキングスペースを利用するケースが増えています。
また大企業がオフィス賃料削減のため社員にコワーキングスペース利用を促す動きや、コロナ禍で業態転換して空きスペースをコワーキングとして開放する例も出てきました。
政府も「働き方改革」の一環でテレワークを推進しており、こうした環境変化によりオフィスや自宅に次ぐ第三の職場としてコワーキング需要が高まっています。
利用者層の拡大(フリーランス・個人事業主の増加)
ランサーズの調査によると、2021年時点で日本のフリーランス人口は約1,670万人と過去最大に達し、全労働力人口の24%を占めました。
副業や複業を行う人も含め多様な働き手が増え、従来の自宅やカフェ以外に集中できる作業場所へのニーズが高まっています。
こうしたフリーランスやリモートワーカーにとって、好きな時に利用できるコワーキングスペースは魅力的な選択肢であり、今後も働き方の多様化に伴って利用者層が広がると見込まれます。
海外企業の参入
世界的なシェアを持つ大手コワーキング事業者も日本市場に本格参入し、市場拡大を後押ししました。
たとえば米国発のWeWorkは2018年に六本木・銀座・新橋で日本初の拠点を開設し、その後東京を中心に大阪、福岡、名古屋など主要都市へ約40拠点を展開しています。
WeWorkは世界39カ国で750拠点以上を運営する業界最大手であり、その存在感が日本国内でも認知を高め、市場を活性化させた要因の一つです。
上記の要因が重なり合い、コワーキングスペース市場は拡大を続けています。ただし2022年以降は成長ペースがやや落ち着き、2022年年間の施設数増加率は+4.3%とコロナ禍直後より低下しました。
これは急増期を経て一定の飽和感が出たためですが、今後もハイブリッドワークの定着によって需要は底堅く推移する見通しです。実際、米国JLL社は2030年までに全世界のオフィスの30%がフレキシブルオフィスになるとの予測を示しており、日本でも長期契約に縛られない柔軟なオフィスを求める企業が増えることでコワーキング需要は引き続き高まるでしょう。
地域別に見ると、コワーキングスペースは都市部に集中する傾向があります。首都圏(南関東ブロック:東京・神奈川・埼玉・千葉)には全国の約40%が集中しており、2022年時点で864施設が存在します。
次いで関西、九州・沖縄の順に多く、地方圏では自治体主導による施設開設支援も進みつつあります。
地方自治体が補助金を出し、遊休施設をコワーキングスペース化する例も増えており、地域の創業支援や空きビル活用、コミュニティ活性化に寄与しています。
実際、地方のコワーキングでは地元住民交流のイベント開催など地域コミュニティ拠点として成功するケースも見られます。