6、環境保全(preservation of the environment)
(1)レッドデータブック(Red Data Book)
絶滅の恐れがある野生動物をリストにして、その分布や生息状況を詳しく紹介するガイドブックのことで、「危機」を意味する赤い表紙からこのように呼ばれています。1966年に国際自然保護連合(IUCN=International Union for Coservation of Nature and Natural Resources)が作成し、この本に掲載されたリストを「レッドリスト」と言います。それによると、世界では4万2000種以上が「絶滅危惧種」に分類されており、日本でも3,700種以上が「絶滅危惧種」に分類されています。
(2)ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約=Convention on Wetlands of International Importance Especially
as Waterfowl Habitat)
1971年に締結され、1975年に発効しています。現在、締約国は170か国以上、条約で保護が定められた湿地は世界で2300か所以上になります。日本では釧路湿原に始まり、50か所以上が保護対象となっています。
(3)世界遺産条約(世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約
=Convention concerning the Protection of the World Cultural and
Natural Heritage)
1972年に国連ユネスコ総会で採択されました。日本では自然遺産として屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島、奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島など、文化遺産として法隆寺地域の仏教建築物、姫路城、古都京都の文化財、白川郷・五箇山の合掌造り集落、原爆ドーム、厳島神社、古都奈良の文化財、日光の社寺、琉球王国のグスク及び関連遺跡群、紀伊山地の霊場と参詣道、石見銀山遺跡とその文化的景観、平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群-、富士-信仰の対象と芸術の源泉-、富岡製糸場と絹産業遺産群、明治日本の産業革命遺産-製鉄・製鋼、造船、石炭産業-、ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-、「神宿る」宗像・沖ノ島と関連遺産群、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産、百舌鳥・古市古墳群―古代日本の遺跡群ー、北海道・北東北の縄文遺跡群、佐渡島の金山などが登録されています。
(4)ワシントン条約(絶滅の恐れのある野生動物の種の国際取引に関する条約:Washington Convention, CITES=Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)
1973年に採択され、絶滅の恐れがある動植物を次の3種類に分けて、国際取引を規制しています。
①絶滅の恐れの高い動植物(ゴリラ、ジャイアントパンダ、トラ、アフリカゾウ、チンパンジー、一部のサボテンなど)
ペットにしたり、売買することは禁止されています。学問研究のためなら取引はできますが、その動植物がいる国の許可が必要です。
②今すぐに絶滅することはありませんが、取引を規制しないと絶滅の可能性がある動植物です(ホッキョクグマ、カメレオン、サボテン、ラン、アロエなど)。
動植物がいる国内での売買は可能ですが、国外への持ち出しにはその国の許可が必要です。
③自国で希少種のため、国ごとの考えで保護の対象とする動植物です(セイウチ、アジアスイギュウなど)。
動植物がいる国内での売買は可能ですが、国外への持ち出しにはその国の許可が必要です。
(5)ロンドン条約(廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約=London Convention)
海洋環境を守るため、船舶等からの廃棄物や汚染物質の排出を規制(特に放射性廃棄物の海中投棄防止を目的としています)する条約で、1972年に採択され、1975年に発効しました。
(6)エコマーク(eco-mark)
「エコラベル」とも言います。環境にやさしい商品や資源の再利用商品に付けられるマークで、1978年にドイツで誕生した「ブルーエンジェル」が最初です。これを参考にして、日本でも1989年に発足し、日本環境協会が認定しています。
(7)バーゼル条約(有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約:Basel Convention on the Control of Transboundary
Movements of Hazardous Wastes and Their Disposal)
イタリア・ミラノの化学工場で1976年に起きたダイオキシン放出事故(3万人以上がダイオキシンを浴びた)の事後処理がきっかけとなったもので、「有害廃棄物の越境移動を国際的に監視する」「廃棄物は発生国で処分する」ことなどが盛り込まれています。1992年に発効。現在、約190か国が参加しており、特定有害廃棄物を制限対象として自国内処分を原則とし、他国に引き取ってもらう場合には、事前に相手国の同意を得なければならないとしています。
(8)生物多様性条約(Convention on Biological Diversity)
1992年の地球サミットの成果の1つで、先進国の資金により開発途上国の取組を支援する資金援助の仕組みと、先進国の技術を開発途上国に提供する技術協力の仕組みがあり、経済的・技術的な理由から生物多様性の保全と持続可能な利用のための取組が十分でない開発途上国に対する支援が行われることになっています。生態系、種、遺伝子の各レベルで保全を図り、遺伝資源から得られる利益を公正に配分するという、「環境」と「経済」の両面を持っています。生物多様性に富む地域は熱帯林などがある途上国に多く、土地の利用変更や気候変動、汚染物質、外来種の導入、国際紛争などが生物の多様性を失わせる要因とされています。
(9)環境汚染物質排出・移動登録制度(PRTR=Pollutant Release and
Transfer Register)
インド・ポパール市の農薬工場で起きた猛毒物質漏出事故(3,300人が即死)がきっかけとなったもので、越境監視だけでなく、化学物質の利用、排出状況全体を監視するとしています。具体的には、あらかじめ登録された化学物質を企業が使用したり、廃棄したりする場合、全ての量を記録する義務を課し、行政はこれをデータベース化して社会に公開するため、従来は企業の壁に覆われていた化学物質の実態を自治体や市民も把握する画期的なものとされます。
(10)環境アセスメント(環境影響力評価=Environmental Assessment)
事業者が事業を行う前に、あらかじめその事業が環境に与える影響について、調査・予測・評価を行って、その結果を公表し、市民や地方自治体などの意見を参考にして、その事業を環境保全上、より望ましいものにしていく仕組みを言います。1999年に施行された環境影響力評価法(環境アセスメント法)や自治体の条例に基づいて実施されます。
(11)アメニティ(amenity)
心地よさや快適さの度合いのことです。現代社会ではアメニティを重視した地域づくりが進められています。