歴史探究「パックス・モンゴリカ⑬」:驚くべき重商主義財政と自由経済のシステム

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①流通経済機構の整備と「ユーラシア世界通商圏」の創出
 モンゴル帝国は、先行する遊牧国家と同様に、商業ルートを抑えて国際商業を管理し、経済を活性化させて支配者に利益を上げることを目指す重商主義的な政策を採りました。内陸の国や港湾国家は一般に、通過する財貨に関税をかけて国際交易の利益を吸い上げようとしますが、モンゴル帝国は商品の最終売却地でのみ商品価格の30分の1の売却税をかけるように税制を改めました。遊牧民は生活において交易活動が欠かせないため、モンゴル高原には古くからウイグル人やムスリムの商人が入り込んでいましたが、モンゴル帝国の支配者層は彼らを統治下に入れると、「オルトク」と呼ばれる共同事業に出資して利益を得ています。占領地の税務行政が銀の取り立てに特化したのも、国際通貨である銀を獲得して国際商業への投資に振り向けるためでした。モンゴル帝国の征服がもたらした駅伝制「ジャムチ」の整備とユーラシア大陸全域を覆う平和も国際商業の振興に役立っており、モンゴル帝国の拡大とともにユーラシアを横断する使節、商人、旅行者の数も増加し、プラノ=カルピニ、モンテ=コルヴィノ、マルコ=ポーロ、イブン=バットゥータなどの著名な旅行家達が現われるのです。
 モンゴル帝国の再編とともに、ユーラシア大陸全域を覆う平和の時代が訪れ、陸路と海路には様々な人々が自由に行き交う時代が生まれました。モンゴルは関税を撤廃して商業を振興したので国際交易が隆盛し、モンゴルに征服されなかった日本や東南アジア、インド、エジプト、ヨーロッパまでもが海路を通じて交易のネットワークに取り込まれました。実に「パクス・モンゴリカ」「パクス・タタリカ」は「ユーラシア世界通商圏」が成立・繁栄した時代に他ならないのです。


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