歴史探究「パックス・モンゴリカ⑩」:「陸上帝国」と「海上帝国」を統合する「世界連邦」の誕生

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①多民族・多宗教・多文化を包含する「世界帝国」の出現
 元来シャーマニズムを信仰してきたモンゴルは、初代チンギス=カンの時代より多宗教の共存を許し、いずれも1つの天神(テングリ)を祀るものとして保護してきました。これは一種の「エキュメニズム」(教派一致・宗教一致を目指す超教派・超宗教運動)と見てもよいでしょう。
 中国の宗教で最初にモンゴルの保護を勝ち取ったのは金の治下で生まれた全真教を始めとする道教教団で、南宋の併合が進むと、後漢の五斗米道の系譜を引く正一教が江南道教の統括者の地位を与えられて、保護が拡大されています。
 仏教では初めに保護を獲得したのは禅宗で、遼の王族の子孫で代々金に仕え、モンゴル帝国が成立すると、初代チンギスと2代オゴデイに仕えた耶律楚材(やりつそざい)など、宮廷に仕える在家信者を通じてモンゴルの信任を受けますが、やがてチベット仏教が勢力を拡大し、モンゴル貴族の間にチベット仏教が大いに広まっています。
 また、国際交易の隆盛にともなって海と陸の両方からイスラーム教が流入し、泉州などの沿岸部や雲南省などの内陸に大規模なムスリム共同体がありました。
 もう1つの大宗教はキリスト教で、モンゴル高原のいくつかの部族で信仰されていたネストリウス派のキリスト教は元代でも依然として信者が多く、またローマ教皇の派遣した宣教師が大都に常設の教会を開いて布教を行っていたのです。

「彼ら自身はヤサと呼んでいる神の掟がある。第一は、汝ら相互に愛しあうべし、第二は、姦淫を為すべからず。(第三、以下は)盗むべからず。虚言をなすべからず。他人を欺くべからず。老人と貧者を敬わざるべからず。彼らの中にこれを犯すものあらば、極刑に処せらるべし。天使はこれを告げると、彼らの頭目が彼らがチンギス・ハンあるいは呼ぶところのカハンと名づけた。天使は、多くの国々と地方(支配地)を限りなく無限に増すことを彼らに命じた。」(アルメニア人歴史家グリゴル=アクネルツィ)
「またこのようにも言われている。この君候(チンギス・ハン)は高い山の上に行った。そこで世界の主たるイエス・キリストが彼の前に現れ、彼に正義、正しい信仰、清浄、公正、嘘と盗みと(その他の)あらゆる悪徳とに対する恐れを与え、そして言った。『もし汝がこの教条を守れば、私は汝の種族に全地上を与える。行って、汝に可能なあらゆる国々を従えよ』。」(14世紀にグルジアで記された年代記『モンゴル人侵入史』)
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