(1)コーディネーションの思想
「コーディネーション」とは「カラー・コーディネート」「インテリア・コーディネート」というように、元々「整合」「調整」「調和」という意味ですが、その真髄はまさに「多様性の調和」にあります。中には「気が付けば全部好きな色で上から下まで揃えている」「好きなキャラクター・グッズで固める」という極端なケースが見られますが、これは「コーディネーション」というより「単一化」「画一化」と呼んだ方がいいでしょう。
実はこの「コーディネーション」の思想は単にファッションや部屋作りといった次元にとどまらず、あらゆる仕事から勉強、人間関係に至るまで、幅広く応用することができるものなのです。逆に言えば、「コーディネーション」の発想をうまく使うことなしに、豊かなアイデアを生み出して、創造性あふれる人間になることは難しいとさえ言えるのです。
(2)同系コーディネーション
「同系コーディネーション」は一番基本的な「コーディネーション」です。服の組合せで「黄色系統で統一する」とか、部屋の家具や壁紙を「木目調で統一する」など、一般的によく使われる手法と言えます。
実はこれは仕事や勉強であれば、「関連分野にまで手を広げて、その道を極めていく」手法となります。例えば、信託銀行の職員は宅建取得が必要とされますが、さらに土地家屋調査士・不動産鑑定士と進んでいくと、不動産関係のエキスパートとなっていきます。また、語学の勉強でもフランス語をやったらイタリア語も、あるいはスペイン語をやったらポルトガル語も、というのも「同系コーディネーション」ですね。人間関係では似たもの同士のグループ作りといった感じですが、すぐれたリーダーはたいていここから「ブレーン集団」を形成します。
(3)グルーピング・コーディネーション
「グルーピング・コーディネーション」は「あるコンセプトに基づいてグループ化を行ったコーディネーション」です。「コンセプト・コーディネーション」と言ってもいいでしょう。例えば、「青・白・赤」でキメれば、「トリコロール・カラー」(フランス国旗の色)と呼ばれます。個々の要素が対等である場合もあれば、1つの中心と他の付属的要素からなる場合とがあります。
ビジネスでもカルテル(企業連合)やトラスト(企業合同)といった「同系コーディネーション」に対して、これは「コンツェルン」(企業連携)、「コングロマリット」(複合企業)といったものになります。また、「士(さむらい)業」を集めて、弁護士・公認会計士・司法書士・弁理士・行政書士の総合事務所を開く所も出てきました。これは最強の総合力を生むコーディネーションと言えるでしょう。そして、成功のカギは「コンセプト」そのものにあるのです。人間関係でもこれは「機能集団」を形成することになります。
(4)連続性コーディネーション
「連続性コーディネーション」は「グルーピング・コーディネーション」の一種ですが、「虹の7色」のように「変化」「動き」、さらには「蓄積」といった効果が生み出されます。
「同系コーディネーション」「グルーピング・コーディネーション」が「静的」「同時性」であるとすれば、「連続性コーディネーション」は「動的」「無限性」を感じさせる所に強みがあると言えます。ささいなことでも「10年偉大なり、20年恐るべし。30年にして歴史になる」と言われますが、これは「連続性コーディネーション」のすごさをよく言い表していると言えるでしょう。あるいは、日記を付け、時々読み返して過去の自分の経験や考えを今の自分に活かす作業も、アイデンティティの幅を広げることになりますが、これも「連続性コーディネーション」の応用となります。
(5)対極コーディネーション
「対極コーディネーション」は「コーディネーション」の究極です。最も難しい調和ですが、「極と極は通じる」と言われる如く、意外な調和を生み出します。人間関係でも、最も合わない人と通じるようになれば、最早通じない人はなくなるでしょう。あるいは「お金持ちになりたければ、トイレ掃除から」とよく言われますが、これは「皆が一番好むもの」と「皆が一番嫌うもの」がつながっているという好例です。
他にも例えば、語学で西洋諸語と東洋諸語を同時に学んで、理解の奥行きを一気に深めるのも、仕事で営業と開発といった全く違う分野を同時にこなしていくのも、「対極コーディネーション」です。一見、最も困難ですが、成功すれば、最も実り豊かなものを生み出すのが「対極コーディネーション」であり、ある意味では「コーディネーションの奥義」とも言えるでしょう。
(6)コーディネーションの応用
例えば、ビジネスでも勝ち組になるために「コラボレーション」したり、音楽シーンでも味を出すために「ユニット」と組んだりします。あるいは技術開発やビジネス・モデルでも全く新しい組み合わせを生み出すことを「イノベーション」と言いますが、これらはいずれも「コーディネーション」の応用例です。パートナーシップでも、趣味が一致する相手なら「同系コーディネーション」、共通の価値観や夢を持つ相手なら「コンセプト・コーディネーション」、自分に無いものを相手が持っていて、互いに補い合う関係なら「対極コーディネーション」となります。
実は豊富なアイデアを生み出す人達はこうした「コーディネーション」を駆使しており、場合によっては「同系コーディネーション」「グルーピング・コーディネーション」「連続性コーディネーション」「対極コーディネーション」の全てを同時に駆使することすらあるのです。