(7)コミュニケーションの原則
職場に限らず、どんな場でも必ず人間関係があり、そこでは不思議なくらい「自分の苦手な人」がいるものです。「この人には困ったものだな」「この人さえいなければけっこういい所なのに」とだんだんエスカレートし、相手が辞めたり自分が辞めたりして、ホッとしていると、また、同じようなタイプの人が入って来たり、新しい職場にもっと大変な人がいたりして、「何でここまで?」と首をかしげたくなるようなことはしばしば起こります。
これは「天の配剤」と言いますか、「人間関係の妙」とでも言うべきものなのでしょう。ある意味で「人間関係は自分の鏡。今の自分の課題を反映する」と言っていいようです。では、こうした苦手な人と場を同じくしている時、一体どうすればいいのでしょうか?
結局は、「コミュニケーション」に尽きると言えます。遠ざかっている限りは何も始まりませんが、コミュニケーションを重ねる中で反発も発展も起こるのです。変化を生じさせるにはコミュニケーションしかないと言ってもいいでしょう。
ここで重要なのは、相手の上に立とうとするのでも、対等に張り合おうとするのでもなく、「教えを請う」立場に徹することです。どんな人からでも学ぶべき点はあり、誰でも自分に対して謙虚に素直に尋ねてくる人には、一生懸命応えてあげようとするのが本心や良心の働きだからです。
(8)三段階発展の原則
どんな仕事でもチームを組んで対処するのが普通ですので、ここでチーム内の関係と対外的な関係とのバランスが問題になります。いわゆる「外面がよくて、内面が悪い」タイプは一時的には実績が出ますが、長期的にはもたなくなります。典型的な偽善者の道と言っていいでしょう。
実は外にプラスを与える前に、中にプラスを与える存在にならなければならないのです。つまり、プロセスとしては三段階からなり、まず「個人の充実(アイデア・企画・準備など)」→「内部への波及(人間関係の充実・フォロー・ムードメイキングなど)」→「外部への発展(実績や結果など)」となります。関係性で言えば、「対自」「対内」「対外」の三段階ということですね。
こうした段階がきちんとふまえられていないと、業務上の支障が出るばかりか、人間関係がギクシャクしたり、トラブルがトラブルを生んだり、とかく運やツキを失いやすくなってしまうのです。不思議なものですね。
(9)プレゼンの原則
あらゆる仕事から人間関係に至るまで、プレゼンテーションは不可欠の要素となっています。基本は「如何に相手に一目置かれるか」ということになりますが、ここで重要なのは単なる売込みでもアピールでもなく、「相手のニーズの延長上にそのニーズを満たす情報を提供すること」です。そうすると、人間の心はフシギなもので、「この方向に行けば、自分の求めているものが得られる」「この人に聞けば大丈夫だ」と思えれば、放っておいてもそちらの方向へ心が動いてしまうものなのです。
ここには強引なクロージングもしつこい説得も一切必要ありません。「プッシュならざるプッシュ」「トークならざるトーク」となってくるのです。したがって、まず第一に相手のニーズを的確に把握すること、次に手持ちの情報を相手に合わせて表現できるようにすることが肝心となりますので、人間研究と自己分析、及び表現技術の向上が必要になってきます。あらゆる仕事において、心理学の知識と技術が必要とされるのは、こういった所にもその理由があるのです。