品詞(Parts of Speech)の重要性について
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英語では通常、「八品詞」という分類がされます。これは名詞(Noun)、代名詞(Pronoun)、形容詞(Adjective)、副詞(Adverb)、動詞(Verb)、前置詞(Preposition)、接続詞(Conjunction)、間投詞(感嘆詞、Interjection)の8つを指します。この場合、冠詞(Article)は形容詞に、助動詞(Auxiliary Verb)は動詞に含ませているので、これらを分ければ「十品詞」ということになるでしょう。そもそも「品詞」という概念は、古代ギリシア以来、読めない文献を読むための言語分析の方法として発達したもので、「難しい文法概念」と言ってしまえばそれまでですが、「文法の基礎概念」であることは間違いなく、これを知っているのと知っていないのとでは、文法理解のレベルが格段に変わってきます。
西欧で今日の「品詞」の原型となるような分析が行われたのは、紀元前100年頃のエジプト・アレクサンドリアにおいてです。それ以前にも、プラトンやアリストテレスに見られるように文法論議はありましたが、それはあくまでも言語を哲学的、論理学的に分析して考えることで、これに対してアレクサンドリアで起こった文法研究(ディオニュシオス・トラクス『テクネ・グラマティケ=文法の技術』がそれで、これからが本物の「文法」であるとされます)は、ある特定の文献を読むためだったのです。この特定の文献とは、具体的にはホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』などを指しますが、これらは西欧における古典的教養の最たるものです。インドなら『ラーマーヤナ』『マハーバーラタ』、日本なら『古事記』『日本書紀』に相当すると言ってもよいでしょう。つまり、ホメロスのギリシア語は紀元前10世紀頃のもので、それから900年後のアレクサンドリアで使われていたギリシア語とは大分異なっていたので、これをまず正確に読みたいという動機が八品詞分析の起源となったというわけです。こうした経緯を知っておくと、品詞を学べば文法が分かり、文法が分かればちんぷんかんぷんの外国語を誰でも読むことができるという結論になります。
ちなみにトラクスはギリシア語を八品詞に分類しましたが、その分類は冠詞のないラテン語にもうまく押し付けられて、古代のラテン文献学の集大成となるほどに成功しました。そして、今度はラテン語の八品詞が冠詞のある英語にまた押し付けられて、英文法の体系が結構うまくいったのです。イギリスのケンブリッジ大学の起源とも言われるグラマースクール(613年、東アングル族の王シゲベルトが創建、「英国の学問のゆりかご」と言われています)でも、文字を覚えた後には八品詞論から入って、古典語の読み書き、ラテン語会話、古典作家の購読といったものを教えていたようです。これは今の中学・高校から大学教養課程の英語の時間でやるようなことと一緒ですね。