「看護師に向いてる?向いていない?」

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 看護師として働いていると、仲間や学生さんからよくこんな声を聞きます。

「私は、本当に看護師に向いてるのかな…。」
「優しくできない自分はダメなんじゃないか?」
「毎日つらくて、向いているか自信がなくなる…。」

 これまでの私の経験の中でも、自分の向き・不向きを考えて悩んでいる方はとても多いと感じます。

 でも、私はいつも思うんです。

 向いている・向いていないを決めるのは、他の誰でもない“自分自身”だと。
 そして、その答えは「経験の中」でしか見えてこないものだとも思っています。

「優しさ」だけじゃない、厳しさが必要な場面もある

 看護師という職業に対して、多くの人が「優しい人が向いている」と思っているかもしれません。

 確かに、相手を思いやる心や丁寧なコミュニケーションはとても大切です。
 でも、看護の現場では、優しさだけでは足りない瞬間があるのも事実です。

 たとえば早期からのリハビリ。
体を動かすことがつらく、痛みが伴う患者さんに対して、それでも体を動かすことが早期の回復に繋がる。
 そんな時には、私たちはあえて厳しい言葉をかけることがあります。

「今日はベッドから起きてみましょう。」
「このままだと、治るのが遅れるかもしれません。」
「つらいのは分かりますが、今動くことが早期治療に繋がりますよ。」

 それは決して冷たさではありません。
むしろその人の人生の可能性を信じているからこそ、あえて背中を押す厳しさです。

 優しさと厳しさ、その両方を持っていることが、看護師としての強さに繋がっていくのだと思います。

「向いていない」と思うのは、それだけ真剣に向き合っている証

 「向いていない」と悩んでしまうとき、それは大抵、自分にダメ出しをしているときです。

「ちゃんとできなかった」
「もっと上手くやれたはず」
「患者さんにあんな対応をしてしまった…」

 私自身も、毎日のように思うことがありました。

「これで本当によかったのか?」
「もっといい方法はなかったのか?」
「私は本当に、患者さんのためになるように接することができていたのか?」

 一日の終わりに、こうして自分の対応を振り返っては悩んでしまうことがあります。

 でもそれって、看護と真剣に向き合っているからこそ湧いてくる感情なんですよね。

 本気でやっているからこそ、自分を責めたくなる。
 誰かを大切に思っているからこそ、「もっとできたかも」と思ってしまう。
 それは、向いていない証拠ではありません。

むしろ、看護師として成長している証拠なのだと思います。

どんな職業でも「向いていないのでは」と悩むもの

 この「向いている・向いていない」という悩みは、看護師に限った話ではありません。

 先生も、保育士も、営業マンも、会社の社長も――どんな職業であっても、自分の適性に悩むことはあります。
これは普遍的な人間の悩みだと思います。

 でも不思議なことに、悩んでいる間も、私たちは毎日仕事をして、患者さんに関わり、誰かと向き合っているんですよね。

 つまり「向いていないかもしれない」と思いながらも、ちゃんと“看護師として生きている”ということです。

看護師は「なる」ものではなく、「育っていく」もの

 看護師になるというのは、国家試験に受かった瞬間だけではありません。
現場に立ち、たくさんの経験をし、患者さんと関わりながら、学び続ける事で少しずつ看護師になっていくものだと私は思います。

1年目はできないことばかりで当たり前。
5年目でも、悩むことがあって当然。
10年目を過ぎても、「あれでよかったのかな?」と考える日が続きます。

 それは、正解のない仕事だからこそ起こることなんです。
迷いながらも、日々考えながら、自分なりの看護をつくっていく。
そして、その繰り返しの中で、“自分だけの看護師像”が形づくられていきます。
 看護観というのも徐々に作られていくものだと思っています。

最後に

 もし今、あなたが「自分は看護師に向いていないかも」と悩んでいるなら――
 それは、きっと“成長の途中”なんだと思います。

まだ知らないことがある。
まだ経験していない場面がある。
まだ伸びしろがある。

それって、すごく希望のあることだと思いませんか?

 看護師という仕事は、つらいことも多いけれど、その分だけ深く人と関われる、かけがえのない仕事です。

 「患者さんのために何かしたい」と思っているあなたなら、もうすでにその一歩を踏み出しているはずです。

焦らなくて大丈夫。
答えは日々の中にあります。

あなたの人生はあなた次第で変わるのだから。
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