【エッセイ】「青い記憶と赤い記憶~感情とは彩りで有る~」

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青から真っ先に連想したのは、「青春」だった。
赤から真っ先に連想したのは、「仕事」だった。

青から掘り下げていく。
2002年、夏。

私は、高校受験を控えた田舎の中学生だった。
8月も終わりに近づいたある日、夏休みの宿題をしていた。受験生なのに、勉強は大嫌いで、受験勉強どころか、夏休みの宿題さえ適当に、答え写したり…
勉強なんて吸収しようとさえしなかった。

課題を解きながら…手が止まった。
「遊びたい…。」「私は何をしているんだ。」「今、この夏にしか出来ない事がしたい。」
何故かそう感じたのだ。

私はクラスで一番仲の良いAちゃんに、
連絡をした。
「ねぇ…今から遊ばん?川ではしゃごうよ。」と。
Aちゃんは、心良くOKをくれて2人で近くの川へ出掛けた。

私「ねぇ…夏休みの課題、進んどる?」
Aちゃん「…全くだよ。やる気ない。受験だから、やらなきゃなのにね。」
2人でそんな、会話をした。
2人共、勉強は好きでは無かったのだ。

私たちは、数時間川の浅瀬で水を掛け合ったり、プカプカ浮いたりしながら、夏の青空を眺めたりした。
たくさん、くだらない話をして笑ったり。
悩みを話したり。
そんな話声が、夏の暑さに溶けて行った。

「この空は…今しか見られない。これから受験勉強をそれなりにやらなくては成らない。空はあんなに自由なのに、私達は決められた枠を目指し競う…そんな、慌ただしさに飲み込まれるのか…。あぁ。もしかしたらこれが俗にいう、「青春」と呼ぶものなのか…。」
などと、ぼんやり考えた。

少し夕暮れに近づき、私達は川から上がった。
私「今日は、ありがとね。めちゃ楽しかったわ。課題仕方ないから、それなりに…頑張ろ。」
Aちゃん「だね~。私達、川来てる場合じゃないのにね。」
と、2人で笑い合った。

その後は、仕方なく夏休みの課題に取り組んだ。必ずあるのは、「自由作文」や「読書感想文」だ。
どちらを選んでも構わない。
私は「読書」が、苦手なので「自由作文」を選んだ。昔から唯一、なんとなく出来た事は、やはり物を書く事だった私は作文だけは、やりがいを感じらた。
テーマは、自由。
さて、何を書こうか…。

少し悩んで私はこう書き出した。
「中学校最後の夏休み。課題をやろうとしても進まない。受験生であれば、課題に加え受験勉強も必須であるのに、やる気が起きない。「本当に今やるべき事はこれなのか?」「いや。違う。友達と中学最後の夏の思い出を残す事だ。」私はそう考え、友達を誘い、川へ遊びに出掛けた。」
と。あの日の思い出を書き出した。

結びには、
「今やるべき事は受験勉強だったのかもしれない。しかし、今本当にやるべき事は私にとっては、今しかないこの夏休みに、大好きな友達と、遊ぶという思い出を作る事が一番大切だと感じた。こうして、私の中学校最後の夏休みは終わったのだ。」と。

題名は「勉強なんてしていられない」 
という破天荒なものだった。
私はそこへ、自分なりの「青春」を書き綴った。

その作文は、住んでいる地域の複数の学校から代表された物が載る、文集に掲載された。
なんの取り柄も無い私だが、この文集には、何故か毎年、選ばれていた。
今回のあまりにふざけた内容の物が、代表になるとは思ってもいなかった。

これから高校生になり、大人へ進む。
だんだんに、何かの枠や型に、うまく適応し、はまらなくてならない現実。
私はあの、川遊びの日。
見上げた「群青の空」を忘れたくは無かったのだ。

2003年、春。
私もAちゃんも、無事に志望校へ受かることが出来た。
数ヶ月経ち、ある他クラスの友達(他の中学校である)からこんな言葉を掛けられた。
「はなちゃんてさ。中3の時、○○文集に作文載って居たでしょ?川へ行ったお話し。」と。

私は驚いた。
あんなふざけた作文を、私という人物を知らないうちに読んでくれていた人が居たのかと。
その子は、こう続けた。
「あの作文、面白かった!凄い良かったから、記憶に残っていて、まさか同じ高校で友達になるとは、思ってなかった~(笑)」と。

私は、シンプルに嬉しかった。 
私のあの中学校、最後の夏。
「青い記憶は、人の心へ響いたのか。」と。


次は「赤い記憶」を書き綴る。

時代は一気に飛ぶが、30歳の時。
製造業のライン作業員のパートをしていた。
子供が小さかった為、「7時間の時短パート」だった。
大企業の子会社だった。
それなりに、厳しい世界だったが、私の人生の中で一番やりがいの持てた仕事だった。

最初は慣れない作業に、戸惑ったが「自分の居場所は、自分で作る」という、謎のモットーを掲げて、取り組んでいた。
これは、「頑張らなければ、自分がラインのメンバーとしての役割を果たせない。」と考えて居たからである。

のちに、私はの自分自身の理念は、「教えられた事を的確にこなすのが、作業。教えられた事、以上の事をするのが、仕事である。」と、なんとも片寄った、またも、破天荒な考えを持って働いていた。  

数ヶ月して、私は新しい仕事を教えて貰えるようになり、気がつけば幾つかの役割をこなせるようになっていた。
しかし、気がついた事があった。
私は周りの人よりも、のみ込みが遅く、物凄い器用という訳でも無い事である。
それに、自信を失くしたり、何度も負けそうになりながら、ライン作業のペースについていく為に必死だった。

しかし、その後。
時短パートだが「新人教育」を任せられる様になった。初めて任された時、「え!?何故こんな私が…?無理かも…。」と思ったが、上司からの指示は断れない。

振り返って見ると、「新人教育」とは、とても重要であり、もの凄い責任のある仕事であると今では思い返す事が出来る。

もちろん、言うまでもなく…
初めての新人教育は最低なものだった。

上司からは、「そんな教え方はダメだ!花咲さん、ちゃんと本当に理解して今までやってきたのか!!」「おい!ちゃんと○○である理由を説明してやれ!」など、かなりこっぴどく叱られた。
同じ同僚からは、「ねぇ、そこ違うから。ちゃんと教えて!」「私はこうやるけど?」みたいな横やりを入れられ、周りからも「何故、○○さんが教育してるの?」などと、そんな目線や言葉を浴びせられた。

悔しかった…。

しかし「ここで負ける訳には行かない!」と、赤い闘志のような、感情が心の中でもメラメラと、燃えたぎった事を鮮明に覚えている。
そこから、私は以下の事を学び直した。 

・作業手順書を頭に叩きいれ、どんな質問にも答えられるよう、読み返し続けた。
・過去トラブル、部品不良の再確認
・作業中にやってはいけないルールの伝え方と理由の把握
・新人作業者の手の位置、やり方、コツの説明
・その人特有のクセによる不良改善が出来るような、観察眼を持つ
・電動ドライバーの知識、トルクレンチの知識
・何故こう作業するかを端的に分かりやすく伝える工夫
・効率化へ対しての具体的な説明
・新人作業者の性格に寄り添った言葉掛け
・新人教育に関しての、上司への相談や報告
・不良集計処理。これにより、どこの、作業でミスが出易いかを把握する為。 
・正しい部品名、正しい部品の特性説明

以上、等々をありとあらゆる角度と視点から勉強し、自身の理解を深めまくった。

もちろん、誰も知らないところで1人、自分の仕事と向き合った。
これは本当に「真っ赤に燃え上がる私の闘志であり、プライド」であった。

2人、3人と教育をしていくうちに、段々と周りからの評価は上がって行った。
最終的には4年弱で8名の新人教育を担当させて頂いた。

「こんなに丁寧に教えて頂いたのは、初めてです。」
「やっぱり、教育は、はなさんが一番適任だよ。」
「はなさん。教育担当、いつも悪いね。ありがとう。」
そんな言葉を、新人作業者さん、同僚、上司から頂けるまでに成れた。

その経験の中で、「私は器用では無いけれど、私なりのラインへ貢献出来る力が有るんだ。」という事を学んだ。

ある日、新入社員の女の子の研修をした事があった。
その子はとても器用で、真面目な子だった。
しかし、初めての作業。
当然ミスも出る。
彼女がミスを繰り返す度に、泣きそうになっている事に気がついた。

彼女は「…すみません。ミスばかり。ご迷惑ばかりお掛けして。」と震えた声で私に言った。
私は、手を止めて、こう伝えた。

「○○さん。日本ではね。
【人に迷惑を掛けるような人間になるな。】みたいに教わるでしょ?

でもね。どっかの国ではね。
【人には迷惑を掛けなさい。その変わりに、あなたも人の迷惑を許しなさい。】
と、いう風に子供とかに教えるんだって。

だからね、迷惑なんて掛けて大丈夫なんだよ。
私は、それでそのやり取りの中から「信頼」が生まれると思っていて、それがラインの「仲間」だと思っているよ。
○○さんは、真面目でやる気もある。
私なんかより全然、器用だよ。
きっといい作業員に成るよ。

だから、先輩になった時、困ってる人を助けてあげてね。一緒に頑張ろう?」と。

すると、彼女の顔は見違えるほど明るくなって…
「はい。こんなにも…優しい言葉を。ありがとうございます。」と笑顔で答えてくれた。
その時、「温かなぽかぽかとした赤くまぁるい心の形」を、私は感じた。

その後、彼女は、まさにバリバリに仕事の出来る立派な作業員になった。

以上の2つのストーリーが、私の中に残る
「青い記憶」と「赤い記憶」だ。

「感情とは、時として色となり。彩りとなる。」
人は皆、眼には見えないその「彩り」を探し、
その「彩り」の中で、生きていると。

私は、感じる。

これからも、カラフルな人生を。
ひたすらに、生きよう。

【HANA。/花咲愛実】

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