「もう、決まってたんですね」と彼女は泣いた。
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「独立したいけれど、こわくて踏み出せない」
そう書いて、私のところへ来る方を、
私は、何人も、見てきました。
・・・あなたにも、
心当たり、ありませんか。
会社員として、安定したお給料。
でも、心は、ずっと、
別のほうを、向いている。
「このままで、いいわけがない」と思いながら、
「でも、今が、安全だから」と、
自分に、言い聞かせる。
・・・その繰り返しで、
すっかり、すり減って、いらっしゃる。
そして、私は、
あることに、気づいたんです。
その方たちは、みんな、
長い、長いご相談の、
いちばん最後の、ほんの数行に、
ほとんど、つぶやくように、
「本当の答え」を、
書き残していく、ということに。
ある、50代の女性も、そうでした。
ご相談の、最初の一行は、
ほかの方と、同じ。
「独立したいけれど、踏み出せない」
でも、いちばん、最後に。
ほとんど、消えそうな声で、
こう、書いてあったんです。
「・・・本当は、もう、
やりたいことが、決まってるんです」
「ずっと、前から、決まってるんです」
「でも、踏み出す勇気が、なくて」
その夢が、何かも、
ちゃんと、書いてありました。
小さな、お花屋さん。
いつか、自分の手で持ちたいと、
長いあいだ、こころの奥で、
あたためてきた夢でした。
私は、カードを、並べました。
出てきたのは、
華やかな成功のカードでも、
不安を、あおるカードでも、ありませんでした。
カップの8。
8つの杯を、うしろに残して、
ひとりの人が、月明かりの下を、
遠くの山へと、歩いていく絵です。
私は、いつものように、
その絵の中に、入ってみました。
・・・その人の足は、
もう、こちらを、向いていない。
背中は、まっすぐ、山のほうを、向いている。
迷っているように見えて、
足は、とっくに、
前へ、踏み出している。
私は、見えたままを、
鑑定書に、書いていきました。
「あなたは、まだ迷っている、と思っていますよね」
「でも、カードの中のあなたは、
もう、歩き始めているんです」
「・・・心の中では、とっくに、
決めて、いたんですね」
そう、一通の手紙のように、
書き終えて、お送りしました。
お返事が、届いたのは、
それから、しばらく、経ってからでした。
たった、一行。
「もう、決まってたんですね」
そのすぐ、あとに、
もう一行だけ、添えられていました。
「すみません。涙が、止まりません」
私は、何も、特別なことは、していません。
未来を、当てたわけでも、ない。
背中を、強く押したわけでも、ない。
ただ、その方が、
ずっと前から、自分の中に持っていた答えを、
「それで、いいんですよ」と、
そっと、肯定しただけ、です。
人は、答えを知らないから、泣くんじゃ、ない。
答えを、ずっと、
ひとりで、抱えてきたから、泣くんです。
「決まってた」
「でも、誰にも、言えなかった」
その重さが、
誰かに、認められた瞬間に、
ふっと、ほどけるんです。
だから、みんな、
相談の、最後の一行に、そっと書く。
・・・誰かに、気づいて、ほしくて。
数ヶ月後。
その方から、ご報告が、届きました。
「あの日、踏み出しました」
短い、でも、力のある、一文でした。
あの、月明かりの下を、
山へ向かって歩いていた、背中。
それが、いま、
自分のお店に向かって、歩いている。
そう思うと、
私のほうこそ、
胸が、いっぱいに、なりました。
さて。
あなたの、こころの中の、
いちばん最後の一行には、
いま、何が、書いてあるでしょうか。
・・・もしかしたら、もう、
答えは、そこに、あるのかもしれません。
ただ、それを、
「それで、いいんだよ」と、
言ってくれる人が、
いないだけ、かもしれない。
そういうときは、
私を、使ってください。
あなたの、最後の一行を、
いっしょに、迎えに、いきましょう。
・・・となりに、います。
ここまで、6回のお話に
おつきあいいただき、ありがとうございました。
迷ったときは、いつでも、
最初の話に、戻ってきてください。
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あなたの中にも、もう、答えが、あります。
それを「言ってもいいんだよ」と、
私が、となりで、肯定します。
あなたの答えを、いっしょに迎えにいきましょう。
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