「決めない」と決めている自分

「決めない」と決めている自分

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コラム
決めなきゃ、と思っている。
もう何週間も、
同じところで止まっている。

転職するか、しないか。
情報は、もう十分揃っている。
求人も見た。給料も比べた。
家族にも相談した。

メリットとデメリットを
書き出して、並べてみた。

決めようと思えば、
今日にでも決められるはず。

それなのに、
気づけばまた明日に
持ち越している…。

転職や結婚のような
大きな人生イベントはもちろんのこと、
何カ月も前にamazonの
「お気に入りリスト」に入れた商品まで、
「決めなきゃ」は色々な場面で顔を出す。

「決められない」
とよく言うけれど、
本当にそうなのだろうか。

情報がないという理由で
決められないなら、
情報を集めればいい。

でも、今の時代、
調べれば情報はいくらでも集められる。

比較も、シミュレーションもできる。

それでも決まらないなら、
それは「決められない」のではなくて、
「決めない」と、決めているのかもしれない。

決めてしまえば、
可能性は一つになる。

転職すると決めた瞬間、
「今の会社に残った自分」は
もう存在しなくなる。

転職しないと決めた瞬間、
「新しい場所で働く自分」も
静かに消えていく。

気になっていた商品を買うか買わないか、も
同じことだ。

どちらを選んでも、
選ばなかった方の自分とは、
二度と会えなくなる。

決めないでいる間は、
選んでよかったと思っている自分も、
選んで後悔している自分も、
まだ同時に存在している。

今の安定を保ちながら、
新しい可能性も、
まだ自分の中にある。

いいとこ取りをしているわけじゃないのに、
どこかで、両方を手放したくない。

そんな贅沢な気持ちを、
捨てたくないのかもしれない。

だとしたら、
決めないことは、
弱さでも、優柔不断でもなくて、
何かを必死で守っているだけのようにも見える。

守るということは、
何か大事なものがそこにある、
ということでもある。

もし、
決めないでいる自分がいるなら。

決められない自分を責める前に、
一度聞いてみたい。

「何を守っているの?」、と。

その問いに、
すぐ答えが出なくてもいい。

問いを持ったまま過ごす時間も、
きっと意味があるはずだから。

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