"いつもの自分"は、思っているより頑固だ

"いつもの自分"は、思っているより頑固だ

記事
コラム
「"いつもの自分"は、思っているより頑固だ。」

「変わりたい。」
そんな言葉を、
人はよく口にします。

もっと前向きになりたい。
新しいことに挑戦したい。
今までとは違う自分になりたい。

そう思っている人は、
きっと少なくありません。

それなのに、
少し時間が経つと、
昨日と同じ考え方をして、
昨日と同じことで悩み、
昨日と同じ選択をしている。

私自身、これまで何度も
そのようなことと向き合ってきました。



以前は、それを「意志が弱いから」だと
思っていました。

でも今は、
少し違う見方をしています。

人は、
思っている以上に、
"いつもの自分"を
手放したくないのかもしれない、と。

手放したくないというより、
そこが一番、
慣れた場所なのでしょう。

慣れた考え方。
慣れた人間関係。
慣れた毎日。

たとえ少し苦しくても、
見慣れた景色には、
不思議な安心感があります。

知らない場所へ行くより、
知っている場所へ戻る方が、
心はずっと楽だからです。

新しい自分は、
まだ地図のない場所です。

どこに何があるか分からない場所で緊張するより、
勝手知ったる場所の方が、
心も体も軽く感じるのは自然なことです。



恋愛でも、
そんな場面を見かけます。

「もう、こんな恋はしたくない。」

そう話していた人が、
気づけばまた、
似たような相手を好きになっている。

仕事でもそうです。

「今度こそ違う働き方をしたい。」

そう言って環境を変えても、
以前と同じ役割を引き受け、
以前と同じように頑張りすぎてしまう。

環境は変わっても、
"いつもの自分"は、
案外そのまま一緒についてきます。

まるで、
引っ越しのたびに、
同じ家具を運び込むように。

部屋の形は変わっても、
座る場所はいつも同じだったりするものです。



だから私は、
人は変われないのではなく、
"いつもの自分"を、
何度も選んでいるのかもしれない、

そんなふうに思うことがあります。

もちろん、
無意識に。

選ぼうと思って
選んでいるわけではありません。

気づいたら、
そこへ戻っている。

それくらい自然なことなのでしょう。

選択というより、
呼吸に近いのかもしれません。

意識してするものではなく、
気づけば、
そのように行動しているものだから。



だからこそ、

「また同じことをしてしまった。」

そんな風に自分を責める必要は、
あまりないのかもしれません。

変われなかったのではなく、
見慣れた自分が、
今日も静かに顔を出した。

ただ、
それだけのこと。


そうやって考えると、
"いつもの自分"は、
思っているより頑固に思える。

でも、
その頑固さは、
敵なのか味方なのか。

私は、
まだよく分かりません。

ただ一つ言えるのは、
私たちは、
自分が思っている以上に、
見慣れた自分と、
長い付き合いをしているということです。


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