患者様の情報を外部のAIに入れないための、事務の分け方

患者様の情報を外部のAIに入れないための、事務の分け方

記事
マネー・副業
外部のAIに何を入れてよいかは、担当者ひとりで決めず、院内で先に決めます。この記事では、その分け方と、院長・事務長に出す確認文を置きます。


■ 1.まず3つに分ける


【入れないもの】
患者様の氏名・生年月日・診察券番号・受診日・連絡先・保険証の記載/検査の数値・カルテの記載・診断名/職員の個人情報/ログインIDとパスワード/実データが写った画面写真

【集計にしても、院内の確認が要るもの】
日報・予約数・検査件数・問い合わせ件数など。

1人ずつの行は使わず、氏名・患者ID・連絡先・受診日時・診療の内容を外して、件数だけにします。ただし、件数にしただけで入れてよいことにはなりません。人数が少ない、珍しい検査が含まれるなど、誰のことか見当がつく場合は使いません。集計は外へ送る前に院内で終わらせ、最後の可否は院内で決めてください。

【実際の人やログイン情報を含まないもの】
備品の在庫と発注/院内向けの手順書・掲示の下書き/書類の様式づくり/架空の数字を使った表計算の式づくり

これらも、院内の機密や未公開の情報が入っていないかを確かめ、院内で認められたサービスだけを使ってください。

また、「入れてよい」と「AIが作った文をそのまま使ってよい」は別です。とくに同意書は、何に同意をいただく書面かが院ごとに違います。院内で中身を確かめ、たたき台までにしてください。


■ 2.氏名を消しても、匿名とは限らない


氏名が無くても、年代・受診日・検査の種類などを院内の他の情報と突き合わせると、誰か分かる場合があります。氏名の列を消したことと、匿名になったことは別です。

私が眼科で検査を担当していた当時も、日時と検査の内容から、院内の職員が患者様を推測できる場面がありました。これは私の勤務経験の例で、法律上の匿名性を判定する基準ではありません。


■ 3.AIの側で止める仕掛けは、補助にしかならない


事務用の指示文に「患者様や職員を特定できる情報が入っていたら、処理を止めて知らせる」と1行入れ、架空の氏名を使った3件で試したところ、その3件では停止しました。

ただし、これは少数の試験の結果です。別の書き方や別のサービスでも止まる裏付けにはならず、送る前に人が情報を外す作業の代わりにもなりません。

それでも、試していない仕掛けは無いものと同じです。作った日に、A・B・C などの架空の情報を使って、止まるかどうかを試してください。患者様や職員の実際の情報を、試験に使ってはいけません。

例に使う名前も記号にしてください。それらしい院名を自分で考えて入れていたら、同じ名前の院が実在していました。A・B・C で足ります。


■ 4.院長・事務長に出す確認文


作り始める前に、院内の決まりを確認します。○○を書き換えて、院長・事務長・情報を見ている担当の方へお送りください。

----------
件名:外部のAIサービスの業務利用について(確認のお願い)

○○先生

事務作業で外部のAIサービスを使う前に、次の点をご確認ください。
分からない項目は、使うサービスの契約や設定を確認してから始めたいと考えております。

1.当院では、外部のAIを業務に使ってよいことになっているでしょうか。

2.よい場合は、使ってよいサービス名、アカウント、入力してよい情報の範囲、承認の手続きをお教えください。

3.入力した内容が保存・学習・再利用されるか、ほかの会社へ渡るか、誰が見られるか、いつ消せるか、事故が起きたときの連絡先は、確認済みでしょうか。

4.患者様や職員の方を特定できる情報、ログインIDとパスワード、実データが写った画面写真は、はっきりした承認がない限り入力しない運用でよろしいでしょうか。

5.使ってよいかを判断される責任者、または担当の方をお教えください。

確認が終わるまでは、実際の院内の情報は入力せず、架空のデータだけで検討いたします。
----------

「決まりが無い」という答えは、「使ってよい」という意味ではありません。

なお、厚生労働省が「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を出しています。2026年8月時点で第7.0版が最新です。対応は使い方や契約によって変わるため、担当の方ひとりでは決めないでください。


■ 5.ご相談について


私が行うのは、事務の流れをうかがい、AIを使わない作業・架空のデータで試す作業・院内の確認が要る作業に整理するところまでです。医学的な診断や診療の判断、電子カルテ・レセプトとの繋ぎ込み、法律に合っているかの判定、情報の安全についての監査は行いません。迷う情報は、入れない側に倒してください。

ご相談のときも、患者様や職員の実データ、画面写真、ログインIDとパスワードはお預かりしません。うかがうのは運用の流れだけです。見積り相談は無料です。


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す