「診断コンテンツ」は、ユーザーを楽しませながら、自然と商品やサービスへと誘導できるとても効果的なツールです。
しかし中には、
・SNSで大きな話題になったのに、売上には結びつかなかった
・面白いと好評なのに、最後まで回答してもらえない
・診断結果を見ても「ふーん」で終わってしまう
といった経験をされた方も多いのではないでしょうか。
こうした失敗の多くは、ついワクワクする質問作りから始めてしまい、“ゴール不在”のまま進めてしまうことに原因があります。
本来、診断コンテンツの役割は「楽しませる」だけではありません。ユーザーの興味を引きつけながら、自然にビジネスの成果へとつなげることこそが目的です。
そのためには、まず「どんな結果を届けたいのか」を明確にし、そこから必要な質問を逆算して設計することが重要です。
本記事では、ユーザーの満足度と成果を両立させるための「診断結果から逆算する設計術」を、3つのステップでわかりやすく解説します。
STEP1:診断の「ゴール」を明確にしよう
診断コンテンツを成功させる第一歩は、「どんなゴールを達成したいのか」を明確にすることです。
ここでいうゴールとは、単に診断を完成させることではありません。ユーザーにどんな行動を取ってほしいのか、そしてビジネスとして何を得たいのかという目的そのものを指します。
なぜゴール設定が重要なのか?
診断コンテンツを企画するとき、あなたはまず何を考えますか?
多くの場合、「どんな質問にしよう?」「どんな診断結果ならウケそうかな?」と、つい質問や結果の内容から考え始めてしまいがちです。
しかし、その前に欠かせないのが「ゴールの設定」です。
ゴールがあいまいなままでは、せっかくユニークな質問や診断結果を用意しても、ビジネスの成果という目的地から大きく外れてしまいます。それはまるで、目的地を決めずに航海へ出る船のように、どこにもたどり着けないのと同じです。
だからこそ、最初に「誰に、何を伝え、どんな行動を起こしてほしいのか」を明確にしましょう。このゴールこそが、ユーザーの心に響く診断結果と、それへ導くための効果的な質問を生み出す、重要なポイントとなります。
ゴールの設定方法
診断コンテンツの成功は、「ゴール設定」にかかっています。なぜなら、ゴールがあいまいであれば、最終的な成果もまたあいまいになってしまうからです。
ゴール設定は、次の2つのステップで明確にしましょう。
①ビジネス上の目的(KGI/KPI)を具体的に決める
「集客を増やしたい」といった漠然とした目標ではなく、
・リード獲得数を30%アップする
・特定商品の認知度を20%向上させる
・メルマガ登録者数を月100名増やす
といった、数値で測れる目標を設定します。これにより、診断コンテンツがビジネスへどう貢献するかが明確になります。
②ユーザーに取ってほしい「具体的な行動(CTA)」を決める
診断結果を見たユーザーに、次に取ってほしい行動を具体的に設定します。
例:
・資料をダウンロードする
・商品ページを見る
・LINE公式アカウントに登録する
・診断結果をSNSでシェアする
診断の最後に提示する行動を事前に決めておくことで、結果から次の行動への流れがスムーズになります。
STEP2:魅力的な診断結果パターンを作ろう
ゴール設定が完了したら、いよいよコンテンツの核心部分である「診断結果」の設計に入ります。
ここで重要なのが、「逆算思考」です。ユーザーにどういう結果を伝えたいか、その結果を通じてどんな感情を抱いてほしいかを先に考えることで、質問内容が自ずと決まってきます。
結果パターンの作り方
診断結果の設計は、ゴールという目的地にユーザーを導くための案内図のようなものです。
まずは、STEP1で決めた「ゴール(CTA)」に自然につながる結果パターンを複数考えましょう。ここで重要なのは、ユーザーが「自分はこういうタイプだから、この行動を取るべきなんだ」と納得できる筋の通った理由づけを作ることです。
例:転職サービスの診断コンテンツ
ゴール設定:「個別キャリア相談への申し込み」
パターンA:「自己分析の鬼タイプ」
→ 自分の内面をもっと深く知りたいタイプ。そこで「自己分析セミナー」を提案し、さらなる自己理解のニーズに応えることで、個別相談へとつなげる。
パターンB:「とにかく行動派タイプ」
→ 今すぐ動き出したいタイプ。そこで「未経験OK求人特集」を提示し、具体的な行動をうながすことで、相談へのハードルを下げる。
パターンC:「慎重な情報収集家タイプ」
→ 失敗を避けたい慎重派。そこで「業界研究レポート」を提供し、十分な情報と納得感を与えてから個別相談へと誘導する。
このように、タイプ別に「行動の理由」と「具体的な提案」をセットで提示することで、診断結果からゴールまでの流れが自然になり、コンテンツの成果も高まりやすくなります。
結果パターン作成時のポイント
結果パターンを設計するうえで最も重要なのは、「ユーザーにどう感じてもらうか」という視点です。
人は診断結果を見て「自分のことを言い当てられている!」と感じた瞬間、そのコンテンツへの信頼感や好意が一気に高まります。そのため、各結果にはポジティブで納得感のあるネーミングと的確な解説を用意することが大切です。
例えば、同じ特性を表す場合でも、「優柔不断なタイプ」では否定的な印象を与えてしまいますが、「慎重な情報収集家タイプ」とすれば、ユーザーは「自分の特性を肯定的にとらえてくれた」と感じやすくなります。とら
さらに、「業界の情報を網羅的に集めてから動きたい」といった具体的で共感できる解説を添えることで、納得感が一層高まります。
このように、ネーミングと解説の工夫は、ユーザー満足度を高め、次の行動へとつなげる鍵となります。
STEP3:ゴールに導く「逆算質問」を組み立てよう
さあ、いよいよ診断コンテンツの最終ステップ、「質問作成」です。ここで、再度、確認したいのが、質問は“結果”のためにあるということ。
STEP2で作った結果パターンに、ユーザーを正しく振り分けるための質問を設計することこそが、診断コンテンツを成功へと導く逆算思考の重要性です。
この質問設計をていねいかつ戦略的に行うことで、ユーザーは「自分のことをよく分かってくれている!」と感じ、気持ちよく最終ゴールへと進んでくれます。
逆算質問の作り方
「逆算質問」の作成とは、結果ページへの道筋を一本の線でつなぐ作業です。
まずは、各結果パターンを構成する「要素」を洗い出します。これは、そのタイプに分類される人が持っているであろう考え方や行動特性を細かく分解する作業です。
たとえば、「自己分析の鬼タイプ」という結果につなげたい場合、必要な要素は以下のようになります。
・自分の価値観を重視する
・自分の強みを理解している
次に、これらの要素を「YES or NO」や「A or B」で答えられる具体的な質問に変換します。
要素:価値観を重視する
→ 質問:「仕事を選ぶとき、給与よりも『やりがい』を重視しますか?」
要素:自分の強みを理解している
→ 質問:「自分の得意なことや苦手なことを言葉で説明できますか?」
このように、要素 → 質問へと変換していくことで、ユーザーは自然と意図した結果パターンへと導かれます。つまり、質問作りは「偶然当たる」ものではなく、「狙って導く」ための戦略的プロセスなのです。
質問設計のコツ
診断コンテンツの成否は、質問のクオリティが大きく影響します。そのため、質問をつくる際には、ただ作るだけではなく、以下の3つのコツを押さえて、ユーザーが最後まで楽しく回答できる質問を設計しましょう。
①質問数は目的に合わせて調整する
商品やサービスの認知拡大が目的なら5〜8問程度、専門性の高い診断で信頼性を高めたいなら15〜20問程度がおすすめです。質問が多すぎると離脱につながるため、目的に応じた最適なバランスを見つけましょう。
②専門用語を避け、直感的に答えられる言葉を選ぶ
ユーザーは診断を「楽しむ」ために来ています。そのため、専門知識が必要な質問や、考えさせる質問は避け、誰でも「YES/NO」やシンプルな選択肢で答えられるようにしましょう。
③ユーザーが「自分ごと」として楽しめる世界観を設定する
「もしあなたが無人島に一つだけ持っていくなら?」のように、想像力をくすぐる質問は回答体験を楽しくします。また、質問の世界観を統一することで、ユーザーは「この診断、面白い!」と感じ、最後まで回答してくれます。
この3つを意識すれば、質問自体がコンテンツの魅力となり、ゴールへの到達率も高まるでしょう。
まとめ:あなたのビジネスに合った診断コンテンツを企画しよう
ここまで、診断コンテンツの質問設計について解説してきました。
成功する診断コンテンツとは、決して偶然の産物ではありません。本記事で紹介した「結果からの逆算」という思考法のように、しっかりとコンテンツ設計されていることが、その成否を左右します。
ゴール設定 → 結果作成 → 質問設計
この3つのステップを踏めば、ユーザーの心に響き、かつビジネス成果へと直結するコンテンツを生み出すことが可能です。
まずは、あなたのビジネスの「ゴール」と、ユーザーに取ってほしい「具体的な行動」を書き出してみましょう。それが、あなたのビジネスに貢献する診断コンテンツづくりの、力強い第一歩になるはずです。
なお、当方では様々な診断コンテンツのロジック開発を請け負っております。診断コンテンツの企画・設計から開発・運用まで、診断コンテンツ作成キャリア30年以上の筆者がサポートいたします。
診断コンテンツの活用を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。