〜異動文化がもたらす“予測不能な働き方”〜
脱公務員キャリアコンサルタントのしーもです。
キャリアコンサルタントになるための勉強を始めてから改めて、自分自身あまりキャリアというものを意識してこなかったなと感じました。
自分はどうなりたいのか、どういう経験を積みたいのか、どういうスキルを獲得したいのか、そういうことをぼんやりとしか考えていなかったように思います。
もちろん全く考えていなかったわけではないですが、一方で公務員という職業には、イメージしにくいというか、自分のキャリアというものを描きにくい側面もあるのだということに気づきました。
■公務員の宿命とも言える“異動制度”
地方自治体の職員であれば誰もが経験するであろう「定期異動」
おおよそ3年から5年周期で違う部署への異動を経験することになります。
異動希望調書や希望面談を行っている自治体も多いと思いますが、全ての職員の希望が叶う訳でもありません。
むしろ叶わないことの方が多いのが実情です。
やりかけのプロジェクトがあって、どれだけ今の業務にやりがいや手応えを感じていても、希望調書で異動したくないと意思表示していても、異動するなんてことは普通に起こりえます。
目の前の仕事をやり遂げたいという気持ちを持っていても、それをさせてもらえないのだから、キャリアプランを描きにくいのも無理のないことかもしれません。
■異動=異業種転職に等しいことも
公務員の異動は転職に等しいとよく言われることがあります。
役所の業務というのは非常に複雑で業務内容も多岐に渡るため、部署が違えば全く畑違いの仕事をすることになります。
福祉、教育、税務、法務、道路建設や施設管理、観光、、、などなど。
建設系の部署に在籍しているときは、いわば建設会社に勤務しているようなイメージで、そこから税務部局に異動するとなると、税理士事務所にでも転職するような、そんなイメージでしょうか。
それくらいの畑違いの転職を自分の意思でキャリアプランを描いて転職していくならそれはそれでいいのでしょうが、実際は多くの異動が本人の意思とは関係なくそういった異業種転職に等しい異動が行われています。
この先自分がどんな分野で仕事をするかもわからないので、キャリアに対してイメージしにくくなるのも仕方ないのかもしれません。
■専門性よりも“万能性”を求められる風土
自治体業務は多岐にわたりますが、それに対応するための人事戦略は決して専門性重視ではありません。
むしろ役所には「一人の職員が同じ部署に長くいることをよしとしない」という文化があります。
これは、不正や癒着の温床を防ぐ目的もあるのですが、結果として職員には専門性を深めるよりも、なんでもこなせるオールマイティさが求められることになります。
もちろんその戦略が間違っているというわけではなく、合理的な考え方であると言えますが、一方でこれが職員一人ひとりのキャリア形成への意識を育みにくくしている側面もあると言えるでしょう。
■公務員のキャリアとは??
では、公務員にはキャリア意識というものは必要ないかというと、もちろんそんなことはなく、職場環境的にキャリア意識を持ちにくい公務員だからこそ、しっかり自己のキャリアをどう積んでいくか、描いていくかということを意識する方がいいと思います。
その軸があるのとないのとでは、仕事をしていく上でのモチベーションや公務員を続ける意味も希薄になり、なにかの拍子に「何のために仕事しているんだろう」とわからなくなってしまうことも少なくありません。
ですが、前述のとおり、異動が前提のために「どういう仕事を経験するか」という視点ではキャリアプランが描けないのも事実です。
そこで、仕事の内容ではなく、求められるスキルに着目してキャリアを考えることをお勧めします。
窓口対応のある部署なら、対人コミュニケーションスキルやクレーム対応スキル、事務処理業務ならPCスキル、文章作成スキル、扱う法令が多い部署なら法令読解力など、求められるスキルも多岐にわたります。
またそれらの多くは、異動しても異動先でも活かせるスキルなので、畑違いの異動であっても自身のキャリア形成が途切れるような感覚を持つ必要もありません。
こういった持ち運びできるスキルのことをポータブルスキルと言いますが、これは何も役所内に限った話ではありません。
スキルによっては、役所以外でも役立つものも少なくありません。
そうすると、仮にもし自分が転職を考える場合にも、それらは自分の強みとしてPRする材料にもなりえます。
全ての役所、公務員の方がそうだという訳ではありませんが、同じような環境におかれている自治体は少なくありません。
役所という、業界の特性的にキャリア形成の視点を持ちにくいことを理解した上で、自分の公務員キャリアをどうイメージするか考えておくと良いのではないでしょうか。