「このまま今の仕事を続けていいのだろうか」、「転職した方がいいのか、今の職場で経験を積むべきか」、「管理職を目指すべきか、専門性を深めるべきか」など、キャリアの悩みは、年齢や経験、ライフイベントによって変化していきます。
20代では「自分に合う仕事を見つけたい」という悩みが多く、30代になると「専門性をどう磨くか」「家庭や生活とのバランスをどう取るか」が課題になります。
40代以降は、「このままの働き方でいいのか」「今後どのような役割を担うのか」といった問いが出てきやすくなります。
こうしたキャリアの変化を整理する考え方の一つが、組織心理学者エドガー・シャインの「キャリア・サイクル」です。シャインのキャリア・サイクルでは、キャリアを一度きりの選択ではなく、人生の段階ごとに課題が変わっていくものとして捉えます。
大切なのは、「何歳だからこうしなければならない」と考えることではありません。今の自分がどの段階に近いのかを知り、その時期に合った選択をすることです。
キャリアの変化を段階から整理するキャリア・サイクルを解説します。
目次
1. 【結論】シャインのキャリア・サイクルから考える、自分らしい働き方を選択しましょう。
2. シャインのキャリア・サイクルの段階と課題
3. キャリアの悩みは、段階が変わるサインかもしれない
4. 自分らしいキャリア選択に必要な3つの視点
4.1. 1. 今の年齢ではなく、今の段階を見る
4.2. 2. 仕事だけでなく、生活全体で考え自分を理解する
4.3. 3. キャリアは選び直していい
5. キャリアの段階を整理する、シャインのキャリア・サイクル
【結論】シャインのキャリア・サイクルから考える、自分らしい働き方を選択しましょう。
シャインのキャリア・サイクルの段階と課題
キャリアサイクルの段階の表です。実際には、転職、異動、育児、介護、学び直し、独立などによって前後します。
段階 年齢の目安 この時期のテーマ 主な課題 自分らしい選択の視点
1. 成長・空想・探索期 0〜21歳頃 興味や可能性を広げる時期 自分の関心、得意・不得意、働くことへのイメージを育てる 「何が好きか」「何に向いていそうか」を試しながら知る
2. 仕事の世界へのエントリー期 16〜25歳頃 社会に出る準備をする時期 就職活動、職業選択、最初の職場選び 条件だけでなく、働く環境や価値観との相性も見る
3. 基本訓練期 16〜25歳頃 職業人としての基礎を身につける時期 仕事の進め方、職場のルール、人間関係に慣れる 最初から完璧を目指さず、学ぶ期間と捉える
4. キャリア初期の正社員資格期 17〜30歳頃 組織の一員として認められる時期 責任を果たし、成果を出し、信頼を得る 将来の選択肢を増やすために、基礎力と専門性を磨く
5. 正社員資格・キャリア中期 25歳以降 自分の専門性や役割を固める時期 専門職、管理職、異動、転職など今後の方向性を考える 「何が評価されるか」だけでなく「何を大切に働きたいか」を考える
6. キャリア中期の危機 35〜45歳頃 これまでの働き方を見直す時期 「このままでいいのか」と自分のキャリアを再評価する 違和感を否定せず、価値観・生活・将来設計を見直す
7A. 非指導者役のキャリア後期 40歳頃〜引退まで 専門性や経験を活かす時期 技術や知識を深め、助言者・熟練者として貢献する 管理職以外の形でも、十分にキャリアを築ける
7B. 指導者役のキャリア後期 40歳頃〜引退まで 組織や人を動かす時期 部下育成、意思決定、組織全体への責任を担う 役割の重さと、自分の生活・価値観とのバランスを考える
8. 衰え・離脱期 40歳頃〜引退まで ※個人差あり 中心的役割の変化を受け入れる時期 体力、意欲、責任範囲、仕事上の立場の変化に向き合う 「降りる」ことを失敗ではなく、次の役割への移行と捉える
9. 引退期 引退前後 仕事中心の生活から移行する時期 生活スタイル、収入、人間関係、生きがいを再設計する これまでの経験を、地域・家庭・学び・社会貢献に活かす
キャリアの悩みは、段階が変わるサインかもしれない
キャリアで迷うとき、多くの人は「自分に問題があるのではないか」と考えがちです。
しかし、シャインの考え方で見ると、悩みはキャリアの段階が変わるタイミングで自然に起こるものでもあります。たとえば、20代前半で仕事に不安を感じるのは、まだ基本訓練期にいるからかもしれません。
30代で今後の方向性に迷うのは、専門性や役割を固める時期に入っているからかもしれません。
40代で「このまま働き続けていいのか」と感じるのは、キャリア中期の見直しが始まっているサインともいえます。
つまり、キャリアの悩みは「失敗」ではなく、「次の選択を考える時期に来ている」というメッセージでもあります。
自分らしいキャリア選択に必要な3つの視点
1. 今の年齢ではなく、今の段階を見る
同じ40代でも、管理職として組織を動かしている人もいれば、専門職として現場で力を発揮している人もいます。
また、転職や学び直しによって、再び基本訓練期のような段階に戻る人もいます。
大切なのは、年齢だけで判断せず自分の段階を把握することです。
「今の自分は、何を学ぶ段階なのか」、「どんな役割を担う段階なのか」、「何を見直す段階なのか」を考えることで、選択肢が整理しやすくなります。
2. 仕事だけでなく、生活全体で考え自分を理解する
キャリアは、仕事だけで完結するものではありません。
収入、時間、健康、家族、住まい、老後資金、学び直しなど、人生全体とつながっています。
たとえば、年収が上がる選択でも、心身の負担が大きすぎれば長く続けることは難しくなります。
一方で、収入が少し下がっても、自分の時間や家族との時間、健康を守れる働き方の方が納得できる場合もあります。
キャリア選択では、次のような問いが役立ちます。
「この働き方は、自分の生活に合っているか」「これからの人生で何を優先したいか」「今の選択は、将来の安心につながるか」
自分自身を理解しましょう。
3. キャリアは選び直していい
一度選んだ仕事や働き方が、ずっと自分に合い続けるとは限りません。
若い頃に重視していたことと、30代・40代・50代で大切にしたいことは変わっていきます。
それは、過去の選択が間違っていたということではありません。
自分の役割や価値観、生活環境が変わったということです。キャリアは、一本道ではなく、正解はないです。
必要に応じて、働き方を変える、役割を変える、学び直す、ペースを落とす、別の形で経験を活かす。そうした選び直しを重ねながら、自分らしいキャリアを作っていくことができます。
キャリアの段階を整理する、シャインのキャリア・サイクル
キャリアの悩みは、年齢や経験とともに変化します。
若い頃は仕事に慣れることが課題になり、中堅期には専門性や方向性を考えるようになります。40代以降は、これまでの働き方を見直し、今後の役割や生活とのバランスを考える時期に入ります。
シャインのキャリア・サイクルは、こうした変化を整理するためのヒントになります。
大切なのは、年齢に縛られることではありません。
今の自分がどの段階にいて、何を大切にしたいのかを理解することです。
キャリアは、一度決めたら終わりではありません。
その時々の自分に合った働き方を選び直しながら、納得できるキャリアを作っていきましょう。
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