日曜の夜、明日からまた仕事か、と考える。別に会社が嫌いなわけではないし、今すぐ辞めたいほどつらいわけでもない。だから、転職サイトを開くほどでもない。
でも、ふと考えることがある。
「この会社で働く以外に、私は何ができるんだろう」
育休から復職した。時短勤務になった。家族の事情で仕事を変えた。以前なら普通にできていた働き方が、今はできない。
そんな変化が重なると、「この先どうしよう」と考えても、浮かんでくるのはだいたい同じ選択肢です。今の会社に残るか、転職するか、思い切って辞めるか。
キャリアについて考えるとき、どうしてもこの枠の中で考えがちです。
でも今は、その間にもう一つあっていいと思っています。
会社員のまま、自分の仕事を小さくつくってみる。
そんな選択肢です。
「起業」と聞いて想像していたものとは、少し違った
「自分の仕事をつくる」と言うと、すぐに「起業」という言葉が出てきます。私も以前なら、起業と聞けば、会社を辞める、退路を断つ、事業一本で食べていく。そんな姿を想像していたと思います。
でも、そこまで大げさに考えなくてもいい。
自分が仕事で身につけてきたことを、誰か一人に提供してみる。困っている人に、自分の経験を使って手伝ってみる。小さなサービスをつくって、お金を払ってもらえるか試してみる。会社以外の場所で、自分の力を使ってみる。
これも、自分の仕事をつくることです。
会社を辞める必要はありません。むしろ、会社員という土台があるうちだからこそ、小さく試せることもある。私は今、そのやり方で個人の仕事を育てています。
私自身も、会社の外で仕事をつくっています
私は会社員として働きながら、個人ではキャリア支援の仕事をしています。国家資格キャリアコンサルタントを保有し、キャリアアドバイザーとしての面談を含め、これまで1,000件以上のキャリア面談に携わってきました。
今、個人で力を入れているのは、過去の具体的な経験を取材し、その人が仕事で力を発揮する条件まで言葉にすることです。何が得意なのか、何をしていると喜びを感じるのか、誰のため・何のためなら頑張れるのか。逆に、どんな環境では持ち味が出にくいのか。
それらを整理して、「働く私のトリセツ」として言語化する仕事をしています。
とはいえ、今もまだ試行錯誤の途中です。個人でサービスをつくっては試し、実際に人に届けながら、「これは役に立つのか」「どうすればもっとよくなるのか」を考え続けています。
その中で、サービスが終わった後に、自分自身の変化や感謝の気持ちを、長いメッセージで伝えてくださった方がいました。
会社の看板や肩書ではなく、自分で考えてつくったものが、目の前の人にちゃんと届く。その経験から、会社の外にも自分の力を使える場所はあるんだ、と少しずつ実感するようになりました。
ただ、私自身も会社員です。 家庭もあるし、子育てもある。会社の仕事もある。個人の仕事に使える時間が無限にあるわけではありません。
だから、「全部捨てて起業に賭ける」という方法を選んでいるわけではありません。会社員という基盤を持ちながら、会社の外でも自分で価値を届けられる状態を少しずつつくっています。
その先で会社員を続けるのか、副業との組み合わせを続けるのか、いつか独立するのか。それは今、決めなくていいと思っています。
先に、選択肢を増やしておけばいい、と思うのです。
強みを、今の会社だけで証明しなくてもいい
これは、普段キャリアの話を聞いていても感じることです。
育休や時短勤務、転勤、転職。環境が変わったあと、「昔より仕事ができなくなった気がする」「自分って何が得意だったんだっけ」と話す人がいます。
でも、具体的な経験をよく聞いていくと、本人の持ち味そのものが消えたわけではないことがあります。
仕事内容が変わった。任される範囲が変わった。一緒に働く相手が変わった。使える時間が変わった。仕事に感じられる意味が変わった。
つまり、強みがなくなったのではなく、その強みが働きやすい条件から離れていることがあるんです。
だったら、自分の持ち味を「今の会社の中だけで何とか発揮しなければ」と考えなくてもいい。会社の外で、小さく使ってみてもいいと思います。
そこで誰かに喜んでもらえれば、「こんな経験でも役に立つんだ」「私は、こういうことをしているときに力が出るんだ」と、会社の中だけでは見えなかったものが分かることもあります。
副業をすれば強みが見つかる、と言いたいわけではありません。ただ、自分の価値を確認する場所を、勤務先ひとつに限定しなくてもいい。
これは、私自身も個人の仕事を続ける中で感じていることです。
転職を重ねた先で、書店で手に取った一冊
私自身、これまで何度か転職をしてきました。そのたびに、自分に合う仕事や環境を探してきたつもりです。
でも、転職を重ねる中で少しずつ感じるようになったことがありました。
会社を選び直すことはできる。でも、自分が本当に描いている生き方そのものは、最後は自分でつくっていくしかないんじゃないか。
そんなことを考えていた頃、書店でたまたま手に取ったのが、新井一さんの『会社で働きながら6カ月で起業する』という本でした。
タイトルを見て、まず「会社を辞めなくてもいいんだ」と思いました。
それまでの私の中では、起業するなら会社を辞める、というイメージがどこかにありました。でも、会社員として働きながら準備を進めるなら、今の生活を全部ひっくり返さなくても試すことができる。
その考え方が、自分にはとても現実的に感じられました。
そこから知ったのが、今私が参加している「起業18フォーラム(通称:起業18)」です。
私に合っていたのは、「一気に変える」ではなかった
起業18に参加していていいと感じていることの一つは、起業に必要なことを体系立てて学べることです。
ネットで起業や副業について調べれば、情報はいくらでも出てきます。でも、商品をどう考えるのか、誰に届けるのか、どう形にしていくのか。一つひとつを断片的に調べていると、結局どこから手をつければいいのか分からなくなることがあります。
もう一つ、自分に合っていると感じているのが、その人なりのペースで前に進むことを後押しする雰囲気です。
家庭もある。会社の仕事もある。その中で個人の仕事も育てたい。毎日何時間も事業だけに使えるわけではありません。
だから私には、誰かと同じ速さで一気に結果を出すことを求められるよりも、今持っている土台を使いながら、自分のペースでも止まらず前へ進んでいくやり方のほうが合っています。
「全部を捨てて挑戦する」のではなく、会社員のまま、一つずつ自分の仕事を形にしていく。
私にとって起業18は、そのために学び、動いていく場所の一つです。
「ここしかない」から残るのと、「ここを選ぶ」のは少し違う
会社を辞める必要はありません。今の会社を嫌いになる必要もない。私自身、会社員という働き方を否定したいわけではありません。
ただ、「ここしかないから、この会社にいる」のと、「ほかの道もある。でも今は、この会社で働く」のは、同じ会社員でも少し感覚が違うと思うんです。
だから私は今、「会社を辞める準備」をしているというより、自分で選べる状態をつくる準備をしている。 そんな感覚で個人の仕事を育てています。
転職するか、会社に残るか。その答えがまだ出ていなくてもいい。その横で、自分の経験を誰かに渡してみる。会社の外でも、自分の力が通用する場所を少しつくってみる。
そんな、もう一つの選択肢もあります。