何十年たっても忘れない、帰り道の幸せ

何十年たっても忘れない、帰り道の幸せ

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最近、何気なく
昔のことを思い出していました。

すると、不思議なくらい
鮮明によみがえってきた景色があったんです。

私は小さい頃、両親が共働きだったので
保育園に通っていました。

毎日、母が自転車で
送り迎えをしてくれていたんです。

今みたいに大きなマンションばかりではなく、
一軒家がずらっと並ぶ道を、自転車で走って帰る夕暮れ。

私が一番覚えているのは、
景色ではなく「におい」です。

ある家からは味噌汁のいい香り。
別の家からは、コトコト煮物を作っているような匂い。

「今日はカレーかな?」
「こっちは揚げ物かもしれないね。」

母とそんな話をしながら、
自転車はどんどん進んでいきます。

「今日はこのお家、お魚だね。」
「おいしそうだね。」

そんな何気ない会話が、
とても楽しかったことを覚えています。

家の数だけ夕飯があって、
家族の時間があって、それぞれの暮らしがある。

子どもながらに
そんな温かさを感じていたのかもしれません。

そして冬になると、
母が肉まんを買ってくれることがありました。

冷えた手で、湯気の立つ肉まんを受け取ると、それだけで幸せ。

母の背中を見ながら、自転車に揺られて頬張る肉まんは、
本当においしかったなぁ。

あの頃、私はまだ4歳か5歳くらい。
特別なことがあったわけではありません。
旅行でも、プレゼントでもありません。

でも、何十年たった今でも思い出すのは、
そんな何気ない帰り道なんです。

人の記憶って不思議ですね。

忘れていると思っていても、
ある日突然、小さな思い出が顔を出す。

そして、その頃の空気や温度、匂いまで連れてきてくれます。

きっと、幸せって特別な出来事だけじゃないんでしょうね。

誰かと笑いながら歩いた帰り道や、夕飯の匂い、冬の肉まん。

そんな何気ない毎日が、
心の奥で大切な宝物になっているのだと思います。

今日は昔の自分を思い出して、
少し心が温かくなりました。

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