夜のおやつがやめられないとき、食事制限より先に見直したい「睡眠」

夜のおやつがやめられないとき、食事制限より先に見直したい「睡眠」

記事
コラム
夕食の片づけが終わって、ようやく一息。
子どもが寝たあと、ソファに座ってお菓子の袋を開ける。

「今日は食べないつもりだったのに」
「また明日から、ちゃんとしよう」

そんなふうに、一日の最後に自分を責めていませんか。

こんにちは。トレーナーの渡辺です。

夜のおやつが気になると、まず「何を減らすか」を考えたくなりますよね。でも、その前に一度振り返ってほしいことがあります。

最近、ちゃんと休めていますか。

睡眠は、食欲や体重管理に関わる要素の一つです。ただし、「寝不足なら必ず太る」「長く寝れば痩せる」という単純な話ではありません。

今回は、研究で分かっていることと、忙しい毎日の中で試せる工夫を分けてお伝えします。タイトルの「食事制限より先に」は、食事を見直さなくていいという意味ではなく、制限を厳しくする前に休息も確認しよう、という提案です。

食欲は、意志の強さだけでは決まりません
お腹が空いたから食べる。
好きな味だから食べたい。ほっとする時間のお供に食べる。

同じ「食べたい」でも、背景はいろいろです。

食欲には、身体のエネルギーの必要量に応じた調節だけでなく、「おいしそう」「楽しみたい」と感じる働きも関わっています。
睡眠が短いと、こうした食べ物への反応や実際に食べる量が変わる可能性が研究されています。睡眠と食欲の研究レビュー(2026年)

よく見かけるのが、
「寝不足で食欲を促すグレリンが増え、食欲を抑える方向に働くレプチンが減る」という説明です。

ただ、誰にでもその通りの変化が起こるとまでは言えません。
性別による違いも調べた2025年のレビューでは、ホルモンの変化に一貫した傾向は見つかっていませんでした。

つまり、夜におやつを食べたというだけで、

「ホルモンが乱れている」
「睡眠不足が原因だ」

と判断することはできないのです。

「寝不足と食べすぎ」の関係は、どこまで分かっている?

2026年5月に公表されたレビューは、睡眠時間を操作し、食欲と食事量を調べた10件の臨床試験、11本の論文を整理しています。

そこで分かったのは、睡眠を短くしたときの空腹感や食べたい気持ちの変化は、研究によって異なるということ。
食事量が増えても、空腹感が同じように強くなるとは限りませんでした。

一方、体重との関係を示す研究もあります。
2026年7月公開の二つの試験の統合解析では、普段7時間以上眠り、心血管・代謝の病気のリスクが高い成人95人を調べています。
約6週間、睡眠を短くした条件では、十分に眠る条件より体重が平均約0.45kg高くなりました。

ただし、これは特定の参加者・期間・条件で得られた平均です。研究者も、個人差を詳しく調べるには限界があるとしています。
「自分も同じように増える」という予測には使えません。

睡眠は体重管理で見落としたくない要素。
でも、体重を決める唯一の要素ではない。

このくらいの受け止め方が、今の研究に合っています。

では、睡眠を増やせば痩せるのでしょうか
ここも、期待しすぎないことが大切です。

2022年の研究では、普段の睡眠が6.5時間未満で、BMIが25〜29.9の21〜40歳の男女80人を対象に、睡眠を延ばすための個別相談を行いました。
BMIは、身長と体重から計算する体格の目安です。

生活を変えずに過ごしたグループと比べ、相談を受けたグループでは睡眠が一晩あたり約1.2時間増え、1日の摂取エネルギーの変化に約270kcalの減少方向の差が見られました。

ただし、睡眠を延ばす介入は2週間。
もともと睡眠が短い人を対象にした研究で、不眠症や睡眠時無呼吸のある人などは除かれています。

この数字は「誰でも寝れば270kcal減る」という意味でも、「食べた分を睡眠で帳消しにできる」という意味でもありません。
長期的にどのくらい体重が変わるかも、この研究だけでは分かりません。

睡眠は、食事や運動の代わりになる減量法ではなく、身体づくりの土台の一つとして考えたいですね。

おやつを禁止する前に、三つだけ振り返ってみる
まずは数日、夜に食べたくなったときの状況を、短くメモしてみませんか。

昨夜は、だいたい何時間眠れたか。
昼食や夕食を抜いたり、少なく済ませたりしていなかったか。
今ほしいのは食事なのか、それとも「一日が終わった」と感じる休憩なのか。
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これは原因を診断するチェックではありません。
自分の生活を知るためのメモです。

たとえば、昼食を慌ただしく済ませていたなら、夜のおやつだけでなく昼の食事を見直す余地があります。
空腹と疲れが両方ある日もあるでしょう。
無理にどちらか一つに分けなくて大丈夫です。

一方で、おやつの時間が、ようやく確保できた自分の時間になっていることもあるはずです。

その楽しみを全部取り上げて「早く寝ましょう」と言われても、続けるのは難しいですよね。

目指すのは、おやつを一度も食べない生活ではありません。食事も休息も、無理なく取れる形を探すことです。

今夜からできる、睡眠のための小さな工夫

1.まずは「休めた感じ」を確認する

厚生労働省の睡眠ガイドは、成人について、6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することを勧めています。
ただし必要な時間には個人差があり、6時間眠れば全員十分という意味ではありません。
時間だけでなく、朝の「休めた感じ」や日中の眠気も振り返ってみてください。おやつの回数だけを成績表にしないことも大切です。

 2.自由時間をなくすのではなく、終わりを少し決める

いきなり1時間早く寝ようとせず、まずは夜の予定を15分だけ前倒しする、といった小さな変更を提案します。
この15分は、減量効果が証明された数字ではなく、始めやすさのための例です。

「動画は一本楽しんでから、寝る準備をする」
「明日に回せる家事を、一つだけ残す」

そんな決め方でも構いません。
スマホは寝床に持ち込まず、別の場所で充電する方法もあります。
夜のデジタル機器の使用を見直すことは、公的な睡眠ガイドでも勧められています。

眠くないのに無理に寝つこうと頑張るのではなく、眠る時間を圧迫している予定を少し減らすイメージです。

3.夕方以降の飲み物も見てみる

コーヒーだけでなく、お茶やエナジードリンクなどにもカフェインが含まれます。夕方以降は、ノンカフェインの飲み物へ替える選択肢を。
寝つきのためのお酒も、かえって睡眠を悪くするため勧められません。

「夜のお菓子を減らす」より、飲み物の変更のほうが始めやすい人もいるかもしれません。

 4.眠れる時間を、一人でひねり出そうとしない

育児や介護、仕事の都合で眠れない場合、生活の工夫だけでは難しいこともあります。

家事を一つ分担する。
夜の対応を交代できる日を相談する。
翌朝でよい作業を分ける。

まずは、休む時間をつくるための相談を一つ。
できなかった日があっても、睡眠まで「頑張れなかったこと」に加えなくて大丈夫です。

眠りの悩みが続くときは、相談してください

寝つけない、途中で何度も目が覚める、十分な時間を取っても休まらない。
そうした状態が続き、生活に支障が出ているなら、医療機関に相談してください。
生活習慣だけでは解決しない睡眠の病気が隠れていることもあります。

大きないびき、眠っている間に呼吸が止まるという指摘、強い日中の眠気なども、相談したいサインです。
これらがあるだけで診断はできませんが、睡眠時無呼吸などの評価につながります。

この記事は一般的な情報で、個別の診断や治療に代わるものではありません。

まとめ|「減らす」だけでなく、「休む」を足してみる

夜のおやつがやめられないとき、意志の弱さだけで説明しようとしないでください。

睡眠と食欲・体重管理には関係があります。
ただし、睡眠不足が必ず食べすぎや体重増加を起こすわけではなく、長く寝るだけで痩せるとも言えません。

まずは、最近の眠り、日中の食事、夜の過ごし方を一緒に振り返る。

そして今夜は、お菓子の禁止ルールを増やす代わりに、寝る前の予定を一つ軽くしてみませんか。

「もっと我慢しよう」から、「もう少し休める形にしよう」へ。

身体を整えながら、無理なく続ける。その一歩として、睡眠にも目を向けてみてください。

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