AI(Gemma 4)で毎月の請求書・領収書整理を全自動化した話

記事
IT・テクノロジー

■ はじめに


毎月届くクラウドサービスの請求書・領収書PDF。ダウンロードして、フォルダに整理して、スプレッドシートに金額を入力して……。

「これ、AIにやらせればよくない?」

ということで、ローカルLLM「Gemma 4」とGoogle Workspace CLIツール「gws」を使って、Gmailに届く請求書・領収書を全自動で管理する仕組みを作りました。月額費用はゼロです (Google Workspace利用料を除く)。

■ 何ができるようになったか


1. Gmailから請求書・領収書PDFを自動取得 — 取引先ごとに検索して添付ファイルをダウンロード
2. PDFからテキストを抽出 — pdftotext(テキスト埋め込みPDF)またはOCR(スキャン画像)
3. AIが内容を構造化 — Gemma 4が請求書・領収書番号、日付、取引先、金額、税額をJSON形式で抽出
4. データベースに保存 — PostgreSQLが正本。いつでも検索・集計できる
5. Google Sheetsに自動エクスポート — 閲覧用。スマホからも確認できる
6. PDF原本を自動リネーム・保存 — 電子帳簿保存法の命名規則に従って整理

■ 使っている技術


Gemma 4(ローカルAI)

Googleが公開している商用利用可能なAIモデルです。Ollamaというツールを使えば自分のPCで動かせます。APIの従量課金は一切不要。

請求書のテキストを渡すと、請求書・領収書番号・日付・取引先・金額・税額など13項目を正確に抽出。日本語の請求書・領収書も問題なし。

gws(Google Workspace CLI)

Googleが公開しているコマンドラインツール(ただしサポート対象外)です。Gmail、Sheets、Drive、Calendarなどをターミナルから操作できます。

GUIを開かなくても、プログラムからGoogle Workspaceの全機能にアクセスできます。

■ 処理の流れ


Gmail(請求書・領収書メール)
  ↓ gws CLIで検索・添付PDF取得
PDFファイル
  ↓ pdftotextでテキスト抽出
テキスト
  ↓ Gemma 4でJSON構造化
構造化データ
  ├→ PostgreSQL(正本データベース)
  ├→ Google Sheets(閲覧用エクスポート)
  └→ ローカルフォルダ(PDF原本を命名規則で保存)

■ 電子帳簿保存法への対応


2024年1月から、メールで受け取った請求書・領収書は電子データのまま保存する義務があります(印刷して紙で保存はNG)。

この仕組みでは:

・PDF原本を自動保存 — 「2026-03-31_取引先名_2090JPY.pdf」のような命名規則
・事務処理規程を策定 — 国税庁のテンプレートをベースにカスタマイズ
・検索可能な台帳 — データベースから日付・取引先・金額で検索可能

小規模法人(売上5,000万円以下)の緩和ルートに沿った、最低限かつ確実な対応です。

■ 実績:複数社20件分を全自動処理


テスト運用として、複数のクラウドサービスや通信会社等の請求書・領収書を20件分一括処理しました:

・月次のSaaS請求書(JPY)
・海外サービスの請求書+領収書セット(USD)
・パスワード付きPDFの請求書・領収書

合計20件のPDFを取得・構造化・保存。所要時間は約5分(Gemma 4の処理待ち含む)。

手作業なら1件あたり3〜5分、20件で1時間以上。それが5分。しかも毎月自動で実行できます。

■ 今後の対応予定


Webサイトからダウンロードする形式の領収書(クレジットカード明細、各種SaaS等)にも対応予定です。フォルダに放り込むだけで自動処理される仕組みを作っています。

■ なぜクラウド会計ソフトではなくこれか


freeeやマネーフォワードでもPDF保存はできます。でも考えてみてください:

freeeを解約したら、7年保存義務のあるデータはどうなりますか?

クラウドサービスに全面依存するリスクは見落とされがちです。この仕組みでは:

・正本はローカルのPostgreSQL — 自分が管理するデータベース
・PDF原本もローカル保存 — クラウドが消えても残る
・Google Sheetsはあくまで閲覧用 — 便利だけど依存しない

「クラウドは便利層、正本は手元」。これがフリーランス・中小企業のリスクヘッジです。

■ まとめ


・月額0円: Gemma 4はローカル実行、gws CLIは無料、Google Sheetsは既存アカウント
・全自動: Gmail検索→PDF取得→AI構造化→DB保存→Sheets出力
・電帳法対応: 命名規則、事務処理規程、検索可能な台帳
・クラウド非依存: 正本はローカル、Sheetsは閲覧用

「AIで経理を自動化」は大企業だけの話ではありません。フリーランスや中小企業でも、AIとCLIツールで極めて安価に実現できる時代です。

---

請求書・領収書管理の自動化やシステム構築についてのご相談は、プロフィールからお気軽にどうぞ。


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら