成長促進とは何か
ストレングス・ファインダーの資質の一つである「成長促進」は、他者の可能性や成長の「芽」を見つけ、その芽が育っていく過程に喜びを感じる資質です。たとえば職場で後輩が少しずつできることを増やしていく様子を見たり、チームメンバーが新しいスキルを身につけた瞬間に立ち会ったりすると、大きなやりがいを感じます。「人の成長を見るのが好き」「気づくと周囲の人にアドバイスをしている」といった人は、成長促進の資質を強く持っているかもしれません。
日常生活でも、家族や友人が新たな挑戦をするときに手助けしたり、学びの機会を一緒に探したりといった行動が自然とできるのが特徴です。小さな変化やわずかな進歩を見逃さず、「もっとこうしたらよくなるのでは?」とアイデアを出したり応援したりする姿は、まさに成長促進がうまく働いている例です。一方で自分自身も、他人の成長に刺激されて「もっと頑張ろう」と感じることが多いのも、この資質の魅力といえるでしょう。
成長促進がもたらす強みと注意点
強み
他者の強みに敏感になる成長促進を持つ人は、周囲の人が「どんな面で伸びそうか」を感覚的に見つけるのが得意です。チーム内で誰がどのタスクに向いているかを見極めたり、後輩や同僚が得意分野を伸ばせるようなサポートを積極的に行ったりします。そのため、組織やチームのパフォーマンス向上にも大いに貢献できるでしょう。
ポジティブな影響力を発揮できる人の良い部分や伸びしろを見つけるのが得意なので、周りの人に希望や安心感を与えられます。上司・先輩・同僚という立場を超えて、「あの人といると前向きになれる」と思われる存在になることもしばしばです。
他者に寄り添うサポートができる成長のプロセスは一朝一夕で終わるものではありません。成長促進を持つ人は、相手が小さな一歩を踏み出すたびに共感したり、励ましたりできるため、「長期的に人を育てる力」があります。教育担当やOJTリーダーなどの役割を担う場面で、高い能力を発揮できるはずです。
注意点
自分の成長がおろそかになる他者を育てることに喜びを感じる一方、自分自身のスキルアップやキャリアに目が向きづらくなる場合があります。人のサポートに一生懸命になりすぎて、自身の課題や学びがおろそかにならないよう注意が必要です。
相手の変化を強要しすぎるリスク「もっとこうすれば成長できる」「この部分を伸ばそう」と過度に口出ししすぎてしまい、相手のペースを乱してしまうことがあります。特に繊細な人や自分のペースを大切にする人にとっては、押し付けられているように感じるかもしれません。適切な距離感を保つことが重要です。
周囲の失敗や後退に強いストレスを感じる前向きに人の成長を支えたい思いが強い分、相手の挫折や停滞を目の当たりにすると、必要以上に落ち込んだり責任を感じたりすることもあります。自分の力だけではどうにもならない部分があると認め、無理に背負い込みすぎないようにしましょう。
セルフコーチングで成長促進を深める10の質問
セルフコーチングとは、自分自身に問いかけを行い、内省を通じて行動や考え方を整理し、前進をうながす方法です。ここでは成長促進の資質を高めるために役立つ10の質問を紹介します。各質問に込められた意図や、回答例もあわせて解説するので、ぜひメモを取りながら取り組んでみてください。
「最近、誰の成長に喜びを感じたか?」
意図: 成長促進が自然に発揮された場面を思い出し、自分がどんな人のどんな成長を喜ぶのかを振り返る。
回答例: 後輩が初めて大きなプレゼンに挑戦して成功したとき、子どもが新しい習い事で上達したときなど。
「そのとき、自分は具体的にどんな行動をしていたか?」
意図: 自分が周囲の成長をサポートするとき、どんな行動パターンが出るのかを明確化する。
回答例: 資料づくりを手伝った、失敗しても励まし続けた、練習メニューを一緒に考えた、など。
「相手の成長を助けるために、自分はどんな強みを使っていたか?」
意図: 他者をサポートするとき、自分の他の資質や特技がどう組み合わさっているかを知る。
回答例: 分析思考で課題の整理をサポート、共感性で相手の気持ちを理解しやすい、ポジティブで相手を鼓舞できる、など。
「逆に、サポートに失敗した・うまくいかなかった経験はあるか?」
意図: 成長促進が裏目に出た経験を掘り起こすことで、注意すべきポイントを明らかにする。
回答例: 助言しすぎて相手がプレッシャーを感じた、相手のペースを尊重せず強制的に進めてしまった、など。
「その失敗や違和感をどう改善できそうか?」
意図: 成長促進がうまく働かない原因と対策を考え、今後の行動指針を具体化する。
回答例: 自分の意見を押し付けずに相手の話をもっと聞く、行動計画は相手と一緒に作る、など。
「自分の成長にはどんなサポートが必要か?」
意図: 他人の成長ばかりに目を向けがちな成長促進が、自分自身の向上にも取り組むきっかけをつくる。
回答例: スキルアップのための勉強会に参加する、キャリアについてメンターに相談する、コーチや先輩にフィードバックをもらう、など。
「自分の強みや資質をもっと活かしていくために、これから何ができるか?」
意図: 成長促進以外の資質や得意分野を掛け合わせて、より大きな成果を生み出すヒントを見つける。
回答例: 戦略的思考を活かして育成プログラムを作る、コミュニケーション力を使って個別フォローを強化する、など。
「周りからどんな評価をもらったときに、特にモチベーションが上がるか?」
意図: 成長促進を発揮するとき、自分自身のモチベーションの源泉を把握し、さらに伸ばす方法を考える。
回答例: 「〇〇さんがいたから頑張れた」という一言、相手の成功を自分のことのように喜べたとき、など。
「目の前の人をもっと成長させるために、すぐにできる小さなアクションは?」
意図: 行動に移しやすい形で、具体的なステップを考えさせる。
回答例: 相手の興味や目標を聞く、褒めるポイントを一つ見つけて伝えてみる、簡単な目標設定を一緒に考える、など。
「周囲の人の成長をサポートしながら、自分自身も一緒に成長するためにどんな工夫ができるか?」
意図: 他者サポートと自己成長を両立させる方法を探り、継続的にバランスをとる視点を持つ。
回答例: 定期的に振り返りの時間をつくり、相手と自分の成長プロセスを共有する、学んだことをアウトプットする機会を増やす、など。
成長促進を活かす行動アイデア
成長促進の資質をもっと活かしたい、または今ある強みをより意識的に伸ばしたいと思う方に向けて、具体的な行動アイデアをいくつか紹介します。明日からでも取り組めそうなものを選び、ぜひ実践してみてください。
1対1で「ミニ目標」を共有する機会をつくるチームメンバーや後輩など、身近な相手との会話で「今どんな目標を持っている?」「どんなスキルを伸ばしていきたい?」と尋ね、一緒にミニ目標を設定します。小さなステップをサポートすることで、相手も気軽に挑戦しやすくなり、あなた自身も成長促進の喜びを味わえるでしょう。
ポジティブ・フィードバックの習慣化相手の良いところや進歩を積極的に言葉で伝えましょう。たとえば1日に1回は「あなたのここがすごいと思った」「あのときの判断は素晴らしかった」と具体的に褒める時間を設けるだけで、相手は一気にやる気が高まります。感謝や賞賛の言葉を送り合う文化をつくることも、成長促進を支える大切なポイントです。
学びの場を企画・提供する仕事の中で学習しやすい環境をつくるのも、成長促進を持つ人には得意なはずです。たとえば社内勉強会を企画し、知識共有の時間を作るなど、仲間の学習機会を増やす仕組みづくりに挑戦してみましょう。自分自身もファシリテーションやリサーチを通して学びが得られます。
自分用の成長ノートをつける他者の成長に注目しがちな一方、自分の成長を見逃してしまう傾向があるなら、日記やノートを使って「自分が成長したと感じたこと」を書き留めてみてください。ほんの小さなスキルアップでも記録することで、「自分もちゃんと伸びている」と実感しやすくなります。
フィードバックを受け取る練習をするコーチやメンター、あるいは信頼できる同僚から定期的にフィードバックをもらい、自分も客観的に評価を受ける経験を積むのも大事です。他者の成長ばかりに意識が向くと、自分の行動やマインドセットを見直す機会が減りがちなので、自発的にフィードバックを依頼してみましょう。
ストレングスコーチングを受けることのおすすめ
セルフコーチングによって自分の資質の使い方や注意点が見えてくると、「もっと早く気づいていればよかった」「もう少し深く掘り下げたい」と思う瞬間が増えるかもしれません。そこでおすすめしたいのが、プロのストレングスコーチと一緒に取り組むことです。
ストレングスコーチは、あなたの強みや資質を客観的な視点で捉え、具体的な行動計画や取り組み方をサポートしてくれます。成長促進を含む複数の資質がどのように組み合わさっているかを整理したり、相手の成長を手助けするだけでなく、自分自身の目標をどう叶えていくかを明確化したりするのも得意分野です。私が提供しているストレングスコーチングなら、成長促進を活かすための具体的なアクションプランも伴走サポートします。自分だけの視点では気づかない強みを掘り下げるうえでも、ぜひ検討してみてください。